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リ・ワイルディング【再野生化】を考える【講演&映画】

 

リ・ワイルディング【再野生化】を考える【講演&映画】

オランダ、イエローストーン、そして日本。再野生化とはなんだろう?

 

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「リ・ワイルディング」はオランダの首都アムステルダム近郊で、の再野生化された元干拓地の様子を記録したドキュメンタリー映画です。

干拓事業によってつくられた土地が、放置され、人が介入することなく10年が過ぎ、沼はやがて水草で覆われ湿地帯へと変化、おびただしい野鳥が集まり、鳥たちが整えた水際にキツネなどの小動物もやってきました。自然がみずからの論理(緯度、日光、降水量、地形、土壌など)にしたがって、元来の動植物相を回復してゆく過程を描いています。


一方アメリカのイエローストーン国立公園では1926年にオオカミを根絶して後、大型の草食獣であるエルクジカが増えすぎて、植生被害に始まる動植物の多様性低下などの生態系被害が大きくなったため、1995年に捕食者であるオオカミを再導入し、生態系の復元に成功しました。オオカミが導入されることによって、シカが食べつくした植生が回復し、回復した植物を食べる小動物も昆虫も蝶も鳥類も増え、川の魚にまで影響した現象が観察されました。

『オーストファールテルスプラッセン』自然保護区と日本の森林生態系の今の状態は、実は自然が回帰しつつあるという点、捕食者が不在という点でとよく似ています。

そしてイエローストーンのオオカミ再導入による生態系の復元は、日本の将来の姿として学ぶべき手本といえます。

その両方を見ることで、日本の野性動物問題を考えます。


   

【日時】

2017113

1600
【第一部】イエローストーンにオオカミが戻ってきたら自然が元に戻った!


イエローストーン公園公認ガイド 
スティーブ・ブラウンさん(日本語)

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1800
【第二部】「リ・ワイルディング」上映

  【あたらしい野生の地】

   http://rewilding.mejirofilms.com/

 

(どちらかだけの部分参加も可)

【入場料】

一部二部通し 二部のみ2000円(1ドリンク付き)

一部のみ 500円(1ドリンク付き)

 

【場所】

AMPcafe

 

東京都杉並区高円寺南4-30-1 カームステージ高円寺102

 

高円寺南口ロータリーのYonchome Cafe(1Fが花屋のビル)を左へ。

 坂を下り、公園の手前を右へ。 一つ目の交差点右側のコンクリートビル。

JR高円寺駅より徒歩2〜3分。

 

Amp

【申し込み】

オオカミと森の研究所   朝倉 裕

携帯:080-6778-9891

Email: wolfwars@outlook.jp

FAX042-403-5863

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2017年7月30日 (日)

オオカミは日本の森林を守ることができるか?

「日米独オオカミフォーラム2016」で来日されたシャノン・バーバマイヤ博士がインターナショナルウルフセンターの機関誌International Wolf Magazineに、日本のレポートを寄稿されました。

 

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A Look Beyond

 

という欄にありますが、HPに掲載されているのはさわりだけなので、全文を翻訳しました。

 

 

Shannon Barber-Meyer

 

シャノン・バーバーマイア (アメリカ)

 

 学術博士。イエローストーンや五大湖地方のオオカミによるシカ類の頭数調節を研究。合衆国地理調査研究所(USGS)研究員。

 

 

International Wolf Magazine

 

Summer 2017

 

http://www.wolf.org/wolf-info/wolf-magazine/summer-2017/

 

 

 

A Look Beyond

 

Can Wolves Help Save Japan’s Mountain Forests?
by Text and photos by Shannon Barber-Meyer

 

Japan is facing a major problem. The understories of its beautiful mountain forests are being killed by overabundant sika deer and wild boars. Even taller trees are suffering from bark stripping
and girdling by deer. Efforts to halt soil erosion on steep mountain slopes consist of concrete lattices and soil “dams” embedded into the mountainside. Fences are erected to keep deer out—but fences must be maintained, deer can jump fences, and fencing simply can’t be put everywhere it’s needed.

 

 

 

日本は大きな問題に直面している。美しい森林の下層植生が増えすぎたシカとイノシシによって殺されようとしている。高木でさえシカによる樹皮剥ぎで影響を受けているのである。

 

切り立った山の斜面からの土壌流出を止めるために格子状のコンクリートと砂防ダムが造られている。シカ入れないためにフェンスが建てられているが、フェンスは維持管理しなければならないし、シカはフェンスをジャンプしてしまう。それにフェンスが必要なところにどこでも建てるわけにはいかない。

 

正規のハンターになるには複雑な資格要件が必要なこともあり、ハンターの数は限定され、シカやイノシシの頭数を許容可能なレベルに抑えられずにいる。そして科学者は気候変動がこの問題を悪化させると指摘している。最近の降雪が少ないため、シカが今までなら通うことができなかった山岳地帯へ年間通じて通うことができるようになった。

 

オオカミはこうした死につつある日本の森林を救うことができるだろうか。

 

日本のオオカミは1905年までに、家畜を襲ったことが原因で人間が迫害し、懸賞金をかけて、また狂犬病やその他の病気が原因で絶滅した。ふたつの亜種がもともといたと認識されている。エゾオオカミは最北の島北海道に(この島はカムチャツカ半島に隣接している)、もう一つのニホンオオカミは本州と他の島で見つかっている。(朝鮮半島に隣接している)絶滅以来、オオカミ目撃の噂はあるけれども(おそらく野生のイヌだが)、アメリカ人動物学者が採集した標本によって本州で記録されたのが、日本で最後のオオカミである。

 

1990年代前半から、日本オオカミ協会(JWA)は農村地帯の生態系修復だけでなく、文化的にも重要な動物(オオカミは神話や民話に描かれ、多くの日本人にとって神聖な動物である)としてオオカミの日本への再導入を提案してきた。201610月、JWAは私と他に二人の人物を招聘し5都市で「日米独オオカミフォーラム2016」を開いた。私は、オオカミと獲物の関係に関して発表し、オオカミは獲物動物を減らす傾向があることが科学的に明らかになったと説明した。この効果は特に、オオカミが狩猟の対象とされず、人間が有蹄類を狩猟する(たとえばシカやムース)、そしてクマが存在する場合に起きる。

 

私が聞いた日本の森林に関する発表によれば、また三つの島(本州、四国、九州)を旅し、シカとイノシシの増えすぎによりダメージを受けた山を訪ね、また破壊の驚くべき速さを見て、私は確信するようになった。オオカミが役に立つ。

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2017年3月19日 (日)

ニホンジカ捕獲・環境省方針は倫理的に間違っていないか?

 

 

根室で3年ぶり駆除 追い込み猟で102頭 /北海道

 毎日新聞2017316日 地方版

http://mainichi.jp/articles/20170316/ddl/k01/040/199000c

 

  エゾシカの越冬地となっている根室市の落石岬で、3年ぶりに追い込み猟による駆

 除が行われた。2月19日と3月5日の計2回行われ、2日間で計102頭(うち雌

 49頭)を駆除した。・・・・・・・・・

 今年の駆除は、地元猟友会のハンターら延べ60人が参加。新たに購入した無線機

で連絡を取り合い、追い立て役の勢子(せこ)が海岸線にエゾシカを誘導し、高台に

陣取ったハンター20人が次々とエゾシカを仕留めた。【本間浩昭】

*********************************

 

上記の記事を見て、10年ほど前の伊豆を思い出した。

ニホンジカの増加に困った伊豆市が、猟友会に依頼して、追い込み柵を作り、100頭ほどを追い込み、一斉射撃を行ったことがあった。

射手は20人ほどだったが、柵に追い詰めたニホンジカを次々に射殺し続けて、およそ半分くらいまで減ったころ、誰からともなく銃の音がやみ、誰も撃たなくなってしまったという。

伊豆の猟師さんたちはそのころ、狩猟行為ではなく、ただひたすら殺し続けることに耐えられなかったのである。

このような駆除を非難するつもりはない。シカを減らすという目標達成のためにはあらゆる手段をとらなければならないのだから。

 

しかし、問題はその方針である。

今環境省の推計では、2012年に本州に約249万頭のニホンジカが生息し、約32万頭を捕獲している。

しかし増加が止まることはなく、さらに捕獲率を上げなければならないと、環境省は発表している。

環境省の方針を継続する場合、シカの生息数を10年後に半減させるためには、いま生息しているシカの実におよそ5割を毎年人の手で殺していかなければならないことになる。

https://www.env.go.jp/press/files/jp/26914.pdf

 

そのごくごく一部をジビエとして消費し、「命をいただく」と言い訳したところで、これは倫理的に正しい方針だろうかという疑問をもたざるをえない。

今生きている動物の約半数を、毎年毎年、人間の手で殺さなければならない政策は、正しいのだろうか?倫理に反してはいないだろうか?

 

やはり、頂点捕食者であるオオカミを再導入し、食物連鎖の壊れた生態系を修復することで、生態系のバランスを回復し、シカやイノシシを漸減させていくのが理にかなった方法である。

 

人間が関与するのは、農地への進入を防ぐための狩猟だけでよい。

 

2016年10月 9日 (日)

日・米・独 オオカミフォーラム2016

今年も行います「日・米・独オオカミフォーラム」

昨年に引き続き、今年もオオカミとその復活に関する国民の理解を得るためにフォーラムを行います。今年の重点地域は西日本。徳島(10/22)、福岡県添田(10/23)、広島(10/24)、京都(10/25)、横浜(10/27)の5都市です。


ゲストの専門家は米独から4名が来日します!(通訳付き)
参加費無料!多くの方ご参加をお願い致します!

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【日時&会場】

10月22日[土] 開演13:30-16:30

〔徳島〕ふれあい健康館(パネル展示あり)
徳島県徳島市沖浜東2丁目16番地〈地図〉
徳島市営バス「ふれあい健康館ゆき」松林直行
〈お問合せ〉佐伯雅子(JWA四国支部:TEL090-6282-9550)

10月23日[日] 開演14:30-16:30

〔福岡〕添田町民会館(パネル展示あり)
福岡県田川郡添田町大字添田517-1〈地図〉
添田駅から徒歩9分
〈お問合せ〉武貞誉裕(JWA九州支部:TEL090-2965-8081)

10月24日[月] 開演17:30-20:30

〔広島〕鈴峯女子短期大学 会議室(パネル展示あり)
広島県広島市西区井口4丁目6-18〈地図〉
広電宮島線修大付属鈴峯前下車北へ徒歩3分 山陽線五日市駅下車東へ徒歩15分
〈お問合せ〉新田由美子(JWA中国支部:TEL082-278-1130)

10月25日[火] 開演18:15-21:00

〔京都〕キャンパスプラザ京都 4F第三講義室
京都府京都市下京区西洞院通塩小路下る東塩小路町939〈地図〉
京都駅烏丸中央口出て左へ徒歩5分
〈お問合せ〉物部礎(JWA近畿支部:TEL090-5057-1187)

10月27日[木] 開演13:30-16:30

〔横浜〕神奈川県民ホール 大会議室6F(パネル展示あり)
神奈川県横浜市中区山下町3-1〈地図〉
みなとみらい線日本大通り駅3番出口より徒歩8分
〈お問合せ〉白木登(JWA神奈川県支部:TEL080-5408-9775)
写真などのパネル展示は、11:00-13:30[隣接小会議室]

【後援】
ドイツ連邦共和国大使館、公財)日本生態系協会、伊豆ユネスコクラブ、NPO法人神奈川県自然保護協会、アカザを守る会、市民活動連盟キーストーンちば、NPO法人四季の森里山研究会、公社)徳島県労働者福祉協議会、公財)徳島県勤労者福祉ネットワーク、徳島新聞社、朝日新聞徳島総局、毎日新聞徳島支局、読売新聞徳島支局、高知新聞社、
RKC高知放送、愛媛新聞社、コープ自然派しこく、四国放送株式会社、添田町教育委員会

※1、大任町教育委員会※1、川崎町教育委員会※1、日田市教育委員会※1、北九州市教育委員会※1、田川市教育委員会※1、みやこ町※1、添田町※1、香春町※1、赤村※1、横須賀市教育委員会※2
※1 福岡フォーラムのみの後援になります。
※2 横浜フォーラムのみの後援になります。

【主催】
一般社団法人日本オオカミ協会

2016年7月17日 (日)

オオカミ再導入とマングースの失敗【再々】

「オオカミ再導入なんてバカなことを言ってはいけない。沖縄や奄美のマングース導入がどんなことになったのか知らないのか」

というようなことは、以前から言われていた。最近はなかったので沈静化したかと思っていたら、またちょっと出始めた。

この「オオカミ再導入」論議に新規に参入する人たちが再燃させるようだ。

新規に参戦する反対派の方たちは、この記事を読んでから来てほしいものだ。


オオカミ導入はマングース導入と同じ?①

http://blogs.yahoo.co.jp/pondwolf39/36556579.html

オオカミ導入はマングース導入と同じ?②

http://blogs.yahoo.co.jp/pondwolf39/36556602.html

オオカミ導入はマングース導入と同じ?③

http://blogs.yahoo.co.jp/pondwolf39/36556630.html

オオカミ導入はマングース導入と同じ?④

http://blogs.yahoo.co.jp/pondwolf39/36556649.html

オオカミ導入はマングース導入と同じ?④

http://blogs.yahoo.co.jp/pondwolf39/36556665.html

2016年5月 7日 (土)

長野県のニホンジカ管理計画~~~これで減るの?!

3月に、長野県のニホンジカ管理の新たな計画が発表されました。

長野県第二種特定鳥獣管理計画(第4期ニホンジカ管理)

http://www.pref.nagano.lg.jp/yasei/dai4kisikakeikaku.html

 

長野県は下記のような地域に分けて管理しようとしています。

 

Photo

 

そのうちサンプルとして八ヶ岳ユニットだけかいつまんで考えてみたいと思います。

各ユニットの推定生得頭数は糞粒法による調査では

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こうなっています。

八ヶ岳では、79,611177,585頭、中央値で128,598頭です。

これに対して、捕獲スケジュールでは、

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です。

年間24,000頭の捕獲を続けていくと、中央値128,598頭のシカが5年後に34,00076,000頭に減るのだそうです。

・・・・・

私には、この捕獲頭数で半減するという計算式は、見当がつきません。

本当にこの計画でニホンジカは減るのでしょうか。

仮に中央値128,598頭を採用して、その頭数が正しいとします。

おおよその年間増加率は20%と言われていますから、24,000頭は確実に増えます24,000頭の捕獲では、増加分を減らすだけです。

メスが14,400頭と多くなっていますので、出生率が減るという計算をしているのでしょう。しかし、雄雌の比が50%であれば少し出生は抑えられることになりますが、60%が雌だったら出生率の減少にもなりません。

 

この計画で本当に減るのでしょうか?



環境省だって言っているではありませんか。

いまの2倍以上獲らなければニホンジカの生息数は減らないって!

いま、獲らなければならない理由」
 

http://www.env.go.jp/press/files/jp/27241.pdf


2016年3月17日 (木)

オオカミ復活が必要な理由?オオカミは生態系の扇のカナメだから!

今までは、自然を壊すのは人間だけだった。


 

たとえば・・・

●ブルドーザーが森を切り開き、コンクリートで固める=動物の生息地を壊し、植物をつぶしてしまう。



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●農薬を散布し、小さな動植物を殺し、生き物のつながりを壊してしまう。



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●毛皮のために野生動物を乱獲した。




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2015年8月 8日 (土)

IWMC2015 世界野生動物管理学術会議・見聞記 おまけ②

このスズキ氏とはもう少し突っ込んだ話ができるかな・・と思った時、向こうからスズキ氏に声をかけるべく近づいてくる人が。「やあ、さっきの質問はよかったねぇ。問題点が明確になったよ」って・・

Σ(゜Д ゚;) 梶教授だっ

 ってか、この二人やっぱり知り合いかー。知床のセッションの場がオオカミ復活に肯定的な雰囲気になってしまうのを阻止したかった想いは共通していたようです。


 

梶教授が来たからってそそくさとこの場を去るのはロコツで不自然だし、失礼だろうし、ええぃ仕方ない、この際思い切ってご挨拶だ!と名刺をゴソゴソ。 その動きにつられて梶教授も名刺を出しかけましたが、私がオオカミ協会を名乗ると「あ~・・」と意味ありげに笑い、手を止めてしまいました。私の名前など知る気がないオーラ全開。こ・れ・は、名刺を出すタイミングが・・と戸惑う私にむかって、梶教授は「やっぱりオオカミはダメですよ」と一方的に持論を展開し始めました。・・ヲヲッ?(゚▽゚;)ノノ


「有蹄類はやはりボトムアップですよ。なぜエゾオオカミが絶滅したと思いますか?大雪でエゾシカが大量死して、それで餌がなくなって牧場を襲って駆除されたんですよ」(はぁ、知ってます。ってか、その前に人間によるエゾシカ大乱獲があって、その影響が長く続いたと梶教授ご自身、ご自分の本でお書きになってますけど?)


「アメリカでだってオオカミによる家畜被害は多いし」(家畜損失の原因の中で、オオカミが占める割合は1~2%です)



「セッションの後で研究者に確認したら、イエローストーンではエルクがまた増えてきたらしいですよ」(それは初耳ですが、そういうこともあるかもしれません。日本でも、オオカミが来たからといってエゾシカが根絶される心配はないってことですよね)


「フランスでは、イタリアからオオカミが入ってきて、困った農家は何をしてると思いますか。ノロジカを増やして放しているんですよ。何でそんなことを、というと、オオカミに食べさせるんだと」(つまり野生餌さえ豊富にいれば家畜への害は減らせるってことですよね)


・・・etc. etc. とにかくご自身が見聞きして知っているオオカミ関連情報を次から次へと披露して下さるのですが、どれも断片的(もちろん立ち話ですから仕方ないことですが)で目新しい話もなし。教授の頭の中で「オオカミ=害獣=絶対阻止」という図式が強固に出来上がっていることだけはよく伝わってくるのですが、お顔はにこやかでもこちらの話は聞く耳もたずの姿勢で、話題は次々に変わるし、私はおろかスズキ氏も口を挟めません。


と、たまたま通りすがった主催者の方が「打ち合わせが始まりますよ」と声をかけたため、「とにかくオオカミだけでシカは減らせませんよ」と捨て台詞のように決めつけて、行ってしまいました。

ポカーン( ゚□゚;)


残されたスズキ氏も私も、何だかもうこれ以上話をする気が失せていました。「・・とにかく、ちゃんとした議論にならないと」とスズキ氏がいうから「こんなふうに、議論にならないんですよね~」と苦笑してみせると、さすがにたった今目の前で展開された梶教授の態度を否定することもできず、何だかお互い気まずい感じで「じゃ、どーもー」「よかったら明日の発表、聴きに来て下さいー」みたいな感じで別れたのでした。チャンチャン。


IWMC2015 世界野生動物管理学術会議・見聞記 おまけ①

おまけ。

 終わって会場を見渡してみても、先ほど反オオカミの意見を述べたスズキ氏の姿は無し。途中で入ってきて、言いたいことだけ言って先に出ていったらしい。・・結局ああいう人って、知床や日本の自然のことを全体として (現状だけじゃなく理念やら将来像やら社会的な面も含めて)考えようとはしないんだよなー・・と思いながら、さてホテルに戻るかーと1階に降りるエスカレーターに乗っていたら、降りた先のフロアを横切っていくスズキ氏を発見!思わず呼び止めて話しかけてしまいました。もちろん日本語で!(^^;)

「あーさっきの質問ね。あれは司会者がダメだよ、喋ってたの誰か知らないけどさー(スズキ氏はマッカラー博士のことを知らないらしい)、好き勝手にベラベラベラベラ一方的に喋らせて。30分くらい一人で喋ってたぜ。 ああいう時は司会者が議論の方向性を示さなきゃいけないのに、何も言わないで聞いて、ハイ次。あれじゃだめだよな。議論になってなかった」

(・・・スズキ氏のこの反応からも、よほどマッカラー博士はオオカミ復活に有利な話をしてくれた、のかな?と思うのですが・・嗚呼、英語力の無さが返す返すも悔やまれる・・ダメもとでコッソリ録音すればよかった・・)

「イエローストーンでのオオカミ復活は俺もいいと思ったけど、カナダではオオカミはものすごく増えて駆除されてる。そういう現実を考えると、日本で、というのはさすがにねー(肯定はできないの意)。俺は科学者だから。」

(・・・なにそれイミフ。俺様基準?)


しかしここで議論をふっかけるほど私も子供じゃないです() せっかくの機会を逃す手はありません。ニッコリ礼儀正しく、カナダ在住だというスズキ氏からオオカミ情報をゲットする方向に話を変えました。

 前々からfacebook等で断片的に情報に触れて気になっていたカナダでのオオカミ駆除のこと。カナダでは、ウッドランドカリブー(シンリントナカイ)が減少しているので、その保護のためにオオカミを駆除している。「でもカリブー減少の原因は天然ガス開発のせいだとも聞いたのですが」と私。するとスズキ氏、やおらまじめな顔になって少し詳しく話してくれました・・というのも、翌日に彼はそのテーマで口頭発表をする予定だったのです!自分の発表内容に関することですから、関心をもって質問されるのは研究者としては嬉しいことですよね(笑)


かいつまんでいうと、シンリントナカイは未開の森林(成熟林)に適応した動物で、ガス田開発のために成熟林を切り開くと、林縁や草地が増えて、そういう場所を好むエルクやムースが進入してくることになる。そしてそれを追ってオオカミが来てしまい、増えてしまった。シンリントナカイが、増えたオオカミに捕食されるのは困るので、オオカミを駆除することになった、と。


・・・これって一見、因果関係がもっともらしく思える。でもよくよく考えると、ちょっとへんだな、と思いませんか。

 彼ら反オオカミ派は、オオカミは生態系に必須の動物とは認めず、邪魔な、余計な存在で、いない方がいろいろと都合が良いという発想から出発しています。だからオオカミがやってきたら困る、増えると困ったことが起こるから駆除する、という流れ以外にはないと思い込んでいる。

でも一方で彼らは、動物の生息数は利用可能な資源量に規定されるという「ボトムアップ理論」を信奉しています。オオカミは餌である有蹄類に依存して生きているだけであって、有蹄類の生息数を制御することはない、まして有蹄類の健全な存続や能力の発揮に貢献している・・などという発想はない。


・・・とすれば。彼らの信奉するボトムアップ理論からすれば、カリブーを追い詰めているのは、オオカミではない、はずです。カリブーを追い詰めているのは、成熟林を切り開いて彼らの好適な生息地を奪い、林縁を作り出したり草地にしたりしてしまった人間の開発であり、その恩恵にあずかって進入してきたエルクやムースとの「餌の競合」が、カリブーにとっては第一の脅威と考えられます。科学的な思考をするなら、そういう結論になるはず。


・・では、なぜその事例が、日本でのオオカミ復活に反対する根拠となるのでしょう?

 「俺は科学者だから」って、何?

 

 

 

本当はこういうふうに「そちらが信じるボトムアップ理論から言ったら、それはへんじゃないですか?」「もし仰るとおりなら、問題の焦点はそこではないですよね」・・って感じの議論を、感情的にならずにやりたいんですよね。そういう「科学的な事実を踏まえた理詰めの議論」をすることで、賛成反対お互いに見えてくるもの、学べることがある。マッカラー博士もそれを肯定するからこそ、あえてコメントでオオカミ問題を取り上げてくれたのかもしれません。でも日本は往々にして「議論になった」=よくなかった、という雰囲気があります。議論の場で主張をたたかわせ「今日はお互いに有意義だったな!HAHAHA!」という風土が日本人研究者の中にないのです。



スズキ氏がセッション会場で、オオカミの困る点として挙げた長距離を移動する個体のことについても、私たちはミッチ博士のシンポジウムで既に情報を得ています。オレゴン州から州境を越えて150年ぶりにカリフォルニアに戻った雄オオカミ「OR-7」 愛称ジャーニー。彼に対してカリフォルニアの州政府は何をしたでしょうか。州境にハンターを配置して追い払った?進入阻止のフェンスを作った?いいえ。600ページに及ぶオオカミ管理計画を作成しました。たった1頭のオオカミのために、それだけの用意をしたのです。


 要は人間の側に「オオカミと共存する意志」があるかどうか、関係者にやる気があるかどうかの問題なのです。オオカミがどんな動物であるかの問題ではない。

オオカミを論じることで、実はそのことがあぶりだされてしまうのです。だから反オオカミ派は「オオカミは危険だ、何か悪いことがあるに違いない」と言い立て、いかにもオオカミ復活が非現実的なアイディアのように演出をし、それ以上の議論をさせたがらないのです。余計な仕事はしたくない、というのが本音なのかもしれません。



IWMC2015 世界野生動物管理学術会議・見聞記③

・・・そしてマッカラー博士は、既述のとおり情熱的かつ容赦ないスピードのネイティヴ英語でイエローストーンでのオオカミ復活の経緯やその後に起こったエルクの生息数減少・ほかの動植物に及ぼした影響などについて語り、発表者③キース・オーネ氏も有蹄類をめぐるエコシステムの変化についてそのことを肯定。図らずも外国人発表者が3人とも、結果的には何がしかオオカミについてコメントすることになりました。

 細かい言い回しやニュアンスはよく分からず()、結局のところ議論がどこに落ち着いたのかいまいち分かりませんでしたし、マッカラー博士自身、オオカミの復活は時間がかかるもので、日本はまだ時期尚早かも、ということも口にしていましたから、知床関係者側としては「ご意見ごもっとも」と拝聴する姿勢を貫いただけ、とも言えますが、少なくとも知床のセッションで「オオカミ問題」は議論の俎上にちゃんと載りました。

やったー、無視されなかった\(^^)

 

 

 会場には、知床の科学委員会の最初の座長をつとめ「オオカミ問題は長期的な視点で取り組む問題だからこの委員会で扱う分野ではない」と宣言し(エエッ Σ(@@;)科学委員会が長期的な視野の問題を議論しないで、誰がするっていうの?)「そもそも知床にエゾシカは殆どいなかったのだから、根絶させてもかまわない、それぐらいの覚悟で強い捕獲圧をかけろ」と強度の間引きを主導している梶教授の姿がありました。また、反オオカミ論文として一番多く引用される米田論文(2006)の、草稿の段階から内容の方向性を主導した自然環境研究センター(環境省の外郭団体)の常田氏もいました。でも両者とも沈黙。



かわりにカナダの大学所属のスズキノブヤという人が司会の指名も待たずにマイクのところに進み出て「自分は途中から参加したからここまでどんな議論になっていたのか知らないが、イエローストーンでのオオカミ復活には賛成するけれども、オオカミはカナダではカリブー保護のために駆除されているし、北米では家畜被害もあり、オレゴンからカリフォルニアまでとんでもなく長距離を移動するオオカミもいる。地域によって事情が違うのだから、知床だけでオオカミを考えることはできないのではないか」ということを英語でまくしたてました。


これに対しマッカラー博士は、苦笑交じりに肩をすくめて「だから私が10年前に提案したのは、入れたオオカミがどこかに行っちゃうのがいやなら半島の基部にフェンスを張るといった方法もあるよ、ということだった。いずれにせよ、知床をどういう地にするのか、決めるのは日本人だ」


・・・その10年の間に日本人がやってきたことと言えば、観光資源としての利用状況の改善(これは将来に向けてとても大切なことだけど)、そしてエゾシカを減らすために、駆除の利便性向上のための仮設フェンスを張ったりヘリを飛ばしたり餌づけをしたり狩猟規制を緩和したり。オオカミやカワウソを復活させEcological Integrityを目指す動きは(少なくとも外部からは)まったく感じられず、「エゾシカ駆除はこんなにうまくいきましたよ」と誇らしげ。でも一応、世界自然遺産地域なので「これで良いとは思ってません」のポーズで「知床の将来像はどうあるべきか、また誰がその責任を担うべきでしょうか」と、ひどく答えにくい問いを会場全体に投げかけて終了。


・・しかしこの問いかけも、申し訳ないけど、国際会議用のパフォーマンスとしか思えなかったです。オオカミやカワウソの復活問題は、知床の理念にとって非常に重要なキーファクター(カギとなる要素)なのですが、それを真剣に、深刻に考えているような印象は今回、日本側から感じることはできませんでした。


 

今回のこのセッション内容、はたして今後、広く日本社会へ向けて発信されるでしょうか(たとえば前回のシンポ内容が出版されたように)

もし何らかの発信があれば、それでも少しは希望の芽が知床にも残っていることになります。でも「寝た子は起こすな」とばかりに封印お蔵入り、ということも十分ありえます。


 

その後、場所を斜里町に移してタウンミーティングも開催されたようですが、そこでもオオカミの話題が出たかどうかは分かりません。

IWMC2015 世界野生動物管理学術会議・見聞記②

 

 

 

こんなことなら、想定問答やら日本情報やらを事前に準備しておくんだった!・・などという後悔をしている余裕もなし!とにかくブロークンイングリッシュで話をするしかないっ(^^;) マッカラー博士、すっごく優しくて親切で、「学びたい日本人には何でも教えてあげるよっ!!」オーラ全開でした() ・・ ただ、そのわりには容赦ないネイティブのスピードと語彙で、喋る喋る喋る喋る・・・

 

 ・・わ、わからないっ \(^^;)/ オテアゲ

 

 

 

でも、即答でしたよ。「オオカミ?ああ、シカを減らすよ。知床にオオカミが戻ったら役に立つと思うよ(大意)」ですって。

 

オオカミは生態系に有益である、確かに家畜被害などは出すがそれは割合としてはごくわずかである、そして人々が想像しているような「悪い」動物ではない。この3点が人々に共有されれば、再導入は可能だろう。だが社会が変わるのには時間がかかる。米国でできたから日本でも、と考えるのは違う。まして羨望(jealous)が動機ではいけないよ、みたいなことを仰って下さってた・・・気がする・・・英語力の無さが、む、無念。。。orz

 

 

 

 

 

 それから、苦笑まじりに「どうも日本人研究者は、オオカミを恐れているようだねJapanese scientists seems to be afraid of wolves. (←正確な文章ではありませんが)」 みたいなことを。

 

あ、やっぱり、お感じでしたか。

 

それで「私たちは、オオカミ復活に賛成でも反対でも、とにかくオープンに議論がしたいんです、議論することから分かってくることがあり、得るものがあると思っています。でも反対派は議論そのものを望まず、オオカミを無視しようとするのです」と申し上げました。

 

それに対して博士は「古い時代の科学や伝承を信じている人はオオカミを受け入れないだろう。いいかい、そういう人は、いくらあなたが頑張っても考えを変えない。しかし社会は変わり、新しい科学のもとで育った若い世代はそうではないかもしれない。大切なのは若い人たちへの教育だ」と。

 

 

 

教育が大事。

 

それが休憩室での会話の結論でした。

 

 

 

もう私自身はこれで大満足で、「じゃあね」と立ち去るマッカラー博士にお礼を申し上げて見送り、あとは午後のセッションを楽しみに、心を落ち着けて、お昼を食べていました。

 

 

 

・・午後の知床のセッションが、あんな感じになるとは予想もせずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしていよいよ午後、知床のセッション。

 

 世界自然遺産登録から10年、知床ではどのような取り組みが進み、イエローストーンは今どういった状況なのか。加えて、ロシア極東のシホテ・アリン保護地域は北海道に近く、オオカミもカワウソもいる豊かな自然が残っており、大いに参考になる地域なので、その情報も交えて、① 3地域の共通点と相違点の理解 ② 知床の将来像を考える、という趣旨の集会です。

 

・・・まず冒頭で、撮影禁止と言われた(ように聞こえた・・orz )ので、写真は無しです。

 

 趣旨説明に続いて、発表者①(敬称略)環境省の担当者から知床の紹介。自然遺産とされるには評価基準(criteria)がいくつかあるのですが、知床は「海と森のエコシステムのつながり」と「生物多様性」の2基準で選定された場所です。そこで今、おこなわれているのは?そう、人の手によるエゾシカの間引きです。発表者②がその説明をしました。道沿いに誘因餌を撒いてシカを集め、国道を通行止めにして移動しつつ車上から効率的に撃っていく方法と、全長3キロの一時柵を半島内に設置してシカを追い込み撃つ方法。・・本来、人の手はなるべく加えず、自律的な健全な自然を保つべき世界自然遺産地域。そこで「我々は将来もこれを続けるべきなのでしょうか?」発表者①も②も、最後にそう問いかけるだけで、答えを示そうとはしません。

 

 続いて発表者③がイエローストーンの話。タイトルは大型有蹄類の保全と管理となってはいますが、そのベースとなる「保全と管理」の考え方、という部分に力点が置かれていました。いわく、守るべきは Ecological Integrity であると。システム・ダイナミクス、エコロジカル・プロセスが重要であり、個々の動植物をどうこう・公園地域かそうでないかというよりも、公園地域を核とする周辺一帯の、たとえば捕食という行動とか、季節移動とか、自然発火の野火とか、そういうものを我々は守っていくのだ・・・みたいな話でした。

 

 発表者④は知床のヒグマ管理の現状報告。高架木道とガイド付き少人数ツアーを行っていること、ウトロの町を電柵で囲い、人の生活圏とクマとを分離していること、餌やり禁止キャンペーンやウォッチングツアーの紹介などを行いました。休憩をはさんで、発表者⑤がイエローストーンのヒグマ管理の簡単な歴史と現状報告。当地のヒグマは、子グマの死亡率が以前と比べて高くなっているのに、数は増えているんだそうです。興味深いですね。そしてロシアの自然保護地域の話ですが、発表者がビザか何かの事情で来日できず、この地域でカワウソの生息地調査を行った日本人研究者が代読しました。

 

そして総合討論。日本人の司会者が「増えすぎているシカ問題」「公園内外を考えたヒグマ管理」「その他」について話題をふったりしていましたが、いまひとつ盛り上がらず。社会状況も違うし、だいいち、オオカミとカワウソがいなくてシカとクマが1種類ずつしかいない知床と、複数の有蹄類がいてクマも2種類いて大型ネコ科もいる他2地域とでは、噛み合う議論や助言はなかなか難しいのだろうな、という感じがしました。

 

 

 

 

 

そして最後にマッカラー博士のコメントです。

 

・・・ここまででお分かりのように、発表者からはほぼ「wolf 」という単語は出ませんでした。発表者⑤に対しての来場者からの質問に、子グマの死亡率増加には、再導入されたオオカミは影響しているのか?というものがあったけど、それくらいでした。

 

でもマッカラー博士は冒頭からオオカミの問題にズバリ切り込んできました。

 

おおっと!

 

 博士「10年前、ここ北海道で知床の話をし、そして10年後、同じディスカッションの場に戻って来れて嬉しい。いろいろな取り組みが進められ、状況が改善しているのを知って嬉しく思います。」

 

 司会者「 期待していた通りの方向か、どうでしょうか」

 

 博士「そうですね。でもオオカミの問題が進んでいないのは残念です」

 

 

 

 

 

 

 

思いがけず長期連載になってしまいましたww もう少し書きたいことがあるのでお付き合いください。

 

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