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内食・外食・中食

農業再建 生源寺眞一 (岩波書店)

○内食・外食・中食
戦後の食生活の変化は、食材の構成の変化にとどまらない。食べる場所や調理する人にも大きな変化が生じている。今日では、食事を内食、外食、中食の三つのパターンに分けて把握することが普通になった。、けれども、このうち中食(なかしょく)という言葉は1980年代の終わりごろに外食業界が使い始めた造語である。
(中略)
中食とは調理済みの食品を購入し、持ち帰って食べるスタイルの食事を意味する。例えばコンビニの弁当やデパ地下の惣菜が典型的な中食食品である。
(中略)
具体的なデータとしては「家計調査」を用いて食料支出に占める外食と調理食品の割合を合計したものと、「国民経済計算報告」の食料、飲料、タバコ支出と外食産業総合調査研究センターによる外食と料理品の史上規模から推計したものがある。
図示した期間(1975年~2003年)の前半に外部化率が急速に上昇している。主として外食産業の拡大が外部化率の上をおもたらしていることもわかる。そしてこのように食の外部化率をリードした外食産業の勢いに翳りが見得始めるのが、1990年ごろのことである。この時期以降の外食率はいくぶん低下する局面を含みながら、おおむね横ばいで推移している。1990年といえば、バブル経済崩壊の時期であるが、その後の推移からみて、外食産業の停滞は不況の影響による一時的な現象ではないと考えられる。
1990年代の末ごろからは、外食産業の絶対的な規模が縮小傾向に転じたことが確認されている。外食産業総合調査研究センターの調べによると、外食産業の売上規模は、ピーク時の1997年の29.1兆円から2005年には24.3兆円に減少した。これに対して好調を持続しているのが中食産業であり、近年は中食の伸びが食の外部化率を引き揚げる状態が続いている。しかも、外食需要の一部は中食産業に吸収されている。お昼時に蕎麦屋に向かわず、コンビニ弁当を購入するなど、私たちの日ごろの行動を振り返ってみれば、さもありなんと納得できるはずである。

○厚みを増した食品産業
中食産業の勢いは、なお衰えを見せていない。かつて弁当といえば、家庭に用意されたものを家庭の外で食べるものであった。しかるに、いまは外で購入した弁当を家庭に持ち帰って食べることがごく普通の食行動となっている。おにぎりも同じである。このような食の世界の変化の背景には、女性の社会進出や単身者世帯の増加がある。過程の外で働く時間をできるだけ確保する必要性が高まっており、一人分のみの調理の非効率を避けるという意味でも、これらの社会構造の変化は食生活の簡便化を促す方向に作用している。
簡便化という点では、調理済み食品以外の加工食品が増加したことも大きく貢献している。むろん、加工食品は昔からあった。日本の伝統食品である豆腐、納豆、餅、麺、魚の干物は立派な加工食品である。けれども今日では、こうした昔からの加工食品に加えて、ハム・ソーセージ、乳製品、冷凍食品、缶詰、瓶詰め、レトルト食品など、実に多彩な加工食品が店頭に並んでいる。
産業連関表から農林水産省が資産した結果によると、2000年の時点で、飲食費の年間支出額80.3兆円のうち、加工品に支出された額は、41.5兆円と52%に達している。次いで外食の23.7兆円が30%を占め、残りの15.1兆円が生鮮食品への支出額である(19%)。外食を別にすれば食料品の購入は加工品5に生鮮食品2の比率で行われていることになる。また、外食や加工品の比率が時代とともに上昇していることも確認できる。農林水産省の同様の推計によれば、1975年の支出割合は、加工品46%、外食23%、生鮮食品32%であった。
(中略)
2000年の時点についていうならば、飲食費支出80.3兆円の価値のうち81%が食品産業に分配される構造が形成されている。内訳は食品製造業32%、食品流通業30%、外食産業19%である。これに対して食品の素材を生産する農業と水産業への帰属割合は19%にすぎない。しかもこの19%には外国から輸入された農産物や海産物に分配される価値も含まれている。いずれにせよ今日、飲食費支出の総額80兆円の八割は、加工・流通・外食のビジネスの領域で移転された価値、もしくは新たに附加された価値なのである。30年前には農業と水産業に帰属した割合が35%であった。

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