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食生活の変貌

農業再建 生源寺眞一 (岩波書店)

○食生活の変貌
戦後の日本の食生活の変貌はまことに驚異的であった。一億人の規模の人口を擁する社会で、半世紀という短期間に生じた変化としては、世界史上未曾有のものであったと考えられる。「食料需給表」を遡ってみると、1951年以降の品目別の食料供給量を把握することができる。半世紀前の1955年を起点に、年間一人当たりの供給量の推移を追ってみると。
まさに驚異的な変化である。なかでも著しく増加した品目は、肉類であり(8.9倍)、牛乳・乳製品(7.6倍)であった。同じく畜産物である鶏卵は4.5倍に増加しており、油脂類も5.4倍に増えた。一言で言うならば、日本の食生活が全般的に洋風化したのである。
果実の供給量も3.5倍に伸びている。内訳をみると、1955年の供給量12.3キログラムのうち、みかんとりんごの割合は58%であった。2005年には、みかんとりんごという日本の伝統的な果物の占める割合は35%に低下している。果物の消費も多様化しているのである。なかでもバナナ、レモン、グレープフルーツ、マンゴーといった今日お馴染みの品目は、大半が半世紀前には国内で手にすることのできなかった輸入果物であり、ここにも異国の食文化を旺盛に取り入れた現代の食生活の一端が現れている。
逆に減少したのは米であり、イモ類である。ただし、米については多少の注釈がいる。というのは、1955年の時点で米の消費は、傾向的にはまだ伸びていたからである。ピークを迎えるのは1962年のことであり、一人当たり年間118.3キログラムと記録されている。このピークの年を基準にすると、2005年の一人当たり消費量は52%である。ほぼ半減したわけである。なお、日本の米が国内生産によって100%供給されるようになったのは、1966年のことであった。それまでは外国から米が輸入されていた。その後は品種改良や土地条件の改善による国内生産量の伸びと、食生活の洋風化による国内消費量の現象があいまって、需給のバランスは急速に供給過剰に傾くことになる。そして、1969年に試行的に、ついで1970年からは本格的に生産調整が始まる。減反である。

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