新刊ご案内「絶滅したオオカミの謎を探る」狼と森の研究所

新刊のご案内です。

「絶滅したオオカミの謎を探る―復活への序章」朝倉 裕 編著

絶滅したオオカミの謎を探る ―復活への序章― | 朝倉 裕 |本 | 通販 | Amazon

 

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古来農耕民として生きてきた日本人にとってオオカミは、自分たちの生きる糧を害する草食獣の天敵であって、心強い味方と認識していたはず。にもかかわらず牧畜文明の末裔である西洋的固定観念の虜になっていることが多いのはなぜでしょうか。

「絶滅したオオカミの謎」とは、日本人がなぜこれほどオオカミの姿を誤解しているのか、日本人の目に仕掛けられた偏見のフィルターが広く深く浸透しているのか、ということの「謎」でもあります。

 

そのフィルターを取り除いたとき、日本の歴史の中にどのようなオオカミが見えてくるのか、を本書で描き出そうとしました。

そこに現れた姿は未来に向けてオオカミ復活の基礎知識となるものと確信しています。未来を担う世代に手渡すべき自然には頂点捕食者の存在が不可欠であると、一人でも多くの人に理解していただけることを願っています。

 

 

 

 

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2023年3月30日 (木)

「再導入オオカミに狂犬病が出たらどうやって管理する?」

狂犬病にかんする話題は、オオカミ再導入に対する反対意見として時々現れます。

確かに狂犬病は発症したら死を免れない怖い病気です。しかしこれを反対の論拠として持ち出される方は、狂犬病の何たるかをまったく知らず、オオカミとだけ結び付けられたイメージをお持ちのようです。

狂犬病はオオカミだけが持っている病気、と勘違いしていませんか。

 

狂犬病はすべての哺乳類が感染します。

そして感染動物に咬まれたときにだけヒトに感染します。

 

つまりヒトに感染させる危険性が最も高い動物は、身近にいて接触する機会が多いイヌ、ネコ、などのペット類です。

アメリカでは家に侵入する吸血コウモリによると考えられる発症も多く見られます。寝室にこっそりと入り込み、本人がわからないうちに首筋を噛んでいたりするようです。

 

狂犬病に関するあれこれを調べれば、オオカミの狂犬病による脅威がありそうもないことがわかります。

 

「狂犬病再侵入 日本国内における感染と発症のシミュレーション」(神山恒夫 地人書館 2008

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によれば

狂犬病は世界中で年間数万人が感染して死亡しています。その病気の特徴は

・すべての恒温動物が感染する。ヒトへの感染源となる可能性があるのはほぼ哺乳類に限られる。(コウモリも哺乳類)

・ヒトの狂犬病の感染源としては、必ず感染した動物が介在している

・ほとんどの場合、感染動物に咬まれることで感染する。感染動物の唾液に大量に含まれているウイルスが咬み傷から侵入するからである。

・ウイルスが無傷の皮膚から侵入することはない。

・したがって感染源となる動物は飼育されているペットなどが多く、イヌ、ネコ、その他のペットによるものが世界中の狂犬病の85~90%を占めている。

・感染源となった動物は、イヌ(飼育下から放れた放浪犬も含む)、ネコ、フェレットなどの肉食系が多く、リス、ハムスター、ウサギなども少ないながら可能性がある。前述のようにアメリカでは吸血コウモリも家の中に侵入し、感染させている。

 

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2023年2月 6日 (月)

ヨーロッパのオオカミ保護政策:ベルン条約、エメラルド・ネットワーク、生息地指令、ナチュラ2000とオオカミ保護

 

 

ヨーロッパの野生動物保護政策の歴史をたどると、以下のような条約、指令が登場します。

 

1979年4月 欧州経済共同体(EEC)  鳥類指令採択

1979年5月 欧州評議会  ベルン条約

1989年   欧州評議会  エメラルド・ネットワーク

1992年   欧州連合   生息地指令

1992年   欧州連合   natura2000ネットワーク

 

始まりは1979年EECの鳥類指令と欧州評議会構成国によるベルン条約でした。

 

  • 鳥類指令

当時の調査で現在のEU域内の鳥類種が減っていること、種によっては個体群レベルで減っていることが明らかになったことから鳥類指令が制定され、特別な保全措置の対象となる約200種を定めました。

当時はヨーロッパの大部分で狩猟期は8月から5月までの長期に及び、鳥が繁殖地に向かう途上で撃たれ、巣にいる時にでさえ撃たれていました。ツル、ノガン、サギ類やほとんどの小鳥が狩猟対象種であり、猛禽類はヨーロッパ大陸全土でごく普通に撃たれ、毒殺され、わなにかけられました。イギリスの大部分では猛禽類が居なくなり、野鳥を販売する大きな市場がベルギーの首都ブリュッセルで繁盛していました。現在「密猟」と呼んでいる行為のほとんどが合法だったのです。当時「害鳥」と考えられていた猛禽類や他の鳥を殺すことには報奨金が出され、国によって推奨され、実施されていました。この点、オオカミと同様です。

無差別に野鳥を虐殺していたことが世間の騒動を引き起こし、鳥類指令の採択に至ります。

 

  • ベルン条約

ベルン条約の締結も同じ1979年です。

ベルン条約は、正式名称を「欧州野生生物及び自然生息地の保全に関する条約」といい、1979年に欧州評議会によって設立されました。

拘束力のある国際法であり、欧州とアフリカの一部の国の自然遺産を対象として、特に自然生息地と絶滅危惧種(渡り鳥を含む)の保護に力を注いでいます。

この条約は次の3つの主要な目的を掲げています

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2022年2月17日 (木)

宇野裕之教授の「エゾシカの高齢化」「次世代が育たないエゾシカ」説への疑問 in「野生の営みのダイナミクスに迫る~世界遺産シリエトクのヒグマとエゾシカ」

 

 

先日知床世界遺産登録後の「遺産価値向上」のための研究開発プロジェクトの「野生の営みのダイナミクスに迫る~世界遺産シリエトクのヒグマとエゾシカ」

シンポジウムが開催されました。

 

https://www.hro.or.jp/info_headquarters/domin/press0128.pdf

 

講演者は

山中正実(知床財団)

下鶴倫人(北海道大学)

白根ゆり(北海道立総合研究機構エネルギー・環境・地質研究所)

石名坂豪(知床財団)

宇野裕之(東京農工大学)

といった方たちです。講演テーマはHPをごらんください。

興味深い研究成果がいくつもありましたが、その中で私が注目したのは

【エゾシカの生存戦略〜なぜ高密度が維持される?(宇野 裕之/東京農工大学 教授)】

です。

 

話の流れは、

・エゾシカは高い繁殖力を持ち、メス成獣の妊娠率はほぼ90%

・成獣の冬季生存率はほぼ90%

この二つがメスジカの生存戦略である

➡一方幼獣は冬季死亡が多く、ヒグマによる捕食が確認されている。

と調査結果を示したうえで、「まとめと今後の課題」と題して

・知床のエゾシカ集団は高齢化社会になりつつある(かもしれない)

理由は幼獣の生存率が低く次世代が育たないからである

今後の課題として「保護管理方針を見直す必要も出てくるかもしれない」と結んでいました。

 

それを聞いて数々の疑問が沸き上がってきました。

・エゾシカが減る原理を見つけたということではないのか?

・つまり肉食獣による捕食はエゾシカを減らす効果があるということでは?

・次世代が育たないとはどの程度のことを言っているのか?

・幼獣の生存率が低いというが、9割のメス成獣は毎年1頭子どもを産んでいるのでは?

・幼獣の冬季死亡率が高いのは寒冷地のシカでは一般的だと自分で報告しているが、

・高齢化社会とはどのような現象を指すのか?

 

しかしよくよく考えてみると、同じような現象の報告がイエローストーンから出ていたことを思い出しました。

イエローストーンへのオオカミ再導入の20年の総括を公園局が報告した論文集です。

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2021年6月10日 (木)

環境省ニホンジカ推定生息数の変更

 

環境省がニホンジカの推定頭数を変更したようです。

最近になり、改めてチェックする必要があり、環境省のHPを確認したところ、1年前とは数字が変わっているのを発見しました。

令和3年3月26日
第二種特定鳥獣管理計画作成のためのガイドライン(ニホンジカ編・イノシシ編)の改定について


という報道発表で初めて公表されたもののようです。

「個体数推定は、新たな捕獲実績等のデータを追加して行うため、過去に遡って推定値が見直される。今後の毎年の個体数の推定値も、数十万頭レベルで変わってくる可能性がある。」

(令和2年8月24日第2回鳥獣の保護管理のあり方検討会
参考資料2「指定管理鳥獣、指定管理鳥獣捕獲等事業、認定鳥獣捕獲等事業者に関する近年の状況」にある但し書き)

と推定値のグラフに但し書きがあります(このときはまだ数字は元のままです)ので新たなデータが加わって数字が変更されたのでしょう。おそらく。

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もっと大きな声、文字で「数字が変更されました!」と叫んでほしいものです。

 

このグラフは印象としてニホンジカが減少したように見えるのですが、そうではありません。

ただ、数字が変更されたことでグラフのピークを過ぎて減り始めていることを説明しやすくなりました。

昨年2月にこの文書の検討会議が開かれたときに、検討委員の梶光一氏はこう述べています。

(この発言は議事録にありますので、誰でも閲覧できます)

(梶)推定個体数の図を見るとピークから減少しているように見えるが、利息分(増加分)を捕獲しているだけの状況であると考える。生息数に対して 30%の捕獲圧をかけないと減少には向かわない。特定計画において、個体数が減少したと書いている都道府県は少ない。また、同じ都道府県内でも新しく侵入した地域は数が増えており、そのような地域ではほとんど捕獲データやモニタリングデータが得られていないために、その分が推定個体数に含まれていない可能性もある。減少傾向を示したという結果は見かけだけである可能性もあるため、現状を楽観視せず、非常に厳しいと考えた方が良い。

梶氏は捕獲率の問題を取り上げていました。30%も獲っていないのに減るはずがないと。推定頭数が189万頭に変われば、狩猟捕獲総数は約60万頭なので、簡単に30%を超えてしまいます。これで指摘された問題はクリアだ!とお役人たちが操作したのではないかと妄想が頭をよぎります。
この変更について環境省の報道発表で時系列をさかのぼってみると
 
令和2年8月の「鳥獣の保護管理のあり方検討会 」でグラフのデータが数十万単位で変わる可能性があるとエクスキューズを載せ、
令和3年2月8日(月)に開催された
令和2年度ニホンジカ保護及び管理に関する検討会(第2回)
   
の議事録でもまだ数字は変更されず、
3月26日の報道発表
で突然の推定頭数変更が理由も示されずに数字だけ変わっていました。
梶氏は、
「新しく侵入した地域は数が増えており、そのような地域ではほとんど捕獲データやモニタリングデータが得られていないために、その分が推定個体数に含まれていない可能性もある。」
とも指摘していました。
この指摘には答えず、捕獲率と減少の関係の整合性をとるために、分母を変更した、、、、なんてことがないことを願うばかりです。

 

 

 

 

2021年6月 7日 (月)

オオカミ再導入は「人間の身勝手」なのか?

オオカミの再導入を主張すると「そんな人間の身勝手は許されない」と批判されることがあります。

「人間の身勝手」の批判は、「かつてオオカミを絶滅させた人間が再び復活させるなんて」それに加えて「またオオカミが増えすぎたら殺す(のだろう)なんて」身勝手な、と膨らみに膨らんだ想像を根拠にされることが多いのですが、この場合の「身勝手」とはいったいどのような意味でしょうか。何が「勝手」に見えるのでしょう。

分解してみると

「必要もないのに」

「人間の都合で」

「しかもその時々の思惑で」

「殺したり復活させたりを繰り返す」

ことが「身勝手」だと感じられるのかもしれません。

あるいは「自然に手を突っ込む」人間がやってはいけない行為だという論理もありますね。

この「身勝手論」を深掘りしてみます、

 

通常パターンの「身勝手論」は人間対自然、あるいは野生動物の関係のなかで、人間側のご都合主義に対してのものだと思われます。

「100年前に絶滅させておいて、いまさら復元、復活とは「身勝手」な」とする野生動物側から見て、代弁する非難です。あるいはもっと高みから見下ろして人間の行動を非難しているのかもしれません。

そうは言いますが、私たち再導入派は絶滅させた当事者ではありません。ということはこの論は日本人全般に向けてのものでなければなりません。確かに約100年前に日本人がオオカミを絶滅させました。その事実は認めなければなりませんので、

 

一方、オオカミが絶滅した後に起きた現象は「シカが増えすぎて植生を破壊している」ことですが、オオカミとの因果関係を認めるかどうか次第でオオカミ絶滅の結果責任の評価が変わってきます。現在の植生破壊の意味をどう理解しているかが問われるのです。

A.因果関係なし。オオカミという一つの種がいなくなっただけ。シカの増殖と植生破壊は別の原因で起きているのだ。

B.因果関係あり。生態系のカナメが失われた。植生破壊はその結果である。

 

その認識の上に日本人が取ることのできる選択肢は3つあります。

1.そのまま放置

2.後始末は人間が(捕食者不在状態はそのまま)

3.修復する(大陸には同種が生息)

「そのまま放置」は態度としてはあっても現実にはありえないので省きます。2か3を選択しなければなりませんが、「身勝手派」はAの上に2を、またはBと理解したうえで2を選択し人間が代役を務めるのだとする場合もあるかもしれません。それに対して「再導入派」はBの上に3を選択しました。その結果「身勝手派」が「再導入派」を批判しているのが「身勝手論」です。

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2021年6月 5日 (土)

長野県ニホンジカ保護管理計画 特に植生衰退度の調査結果は恐ろしい

 

たまに都道府県の環境関連ページを見ると、新しい発見があります。
 
必要があって各県のニホンジカ保護管理計画を逐一開いてみています。
まだ平成28、29年ごろの管理計画がそのまま置かれている県も多いのですが、長野県は最新の計画に更新されていました。
 
 
 
目新しい項目として「自然植生への影響」という項目があり、恐ろしい地図が掲載されています。拝借します。
赤茶色が濃くなればなるほど植生が衰退しているサインであり、衰退度4は下層植生にササや草本がほとんど生育していない状態です。衰退度3で高木、低木、ササに枯死が目立ちディアラインができる、とあります。(衰退度調査区分の表)
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地区別にみると八ヶ岳エリアと南アルプスエリアに衰退度4の地域が広がっていました。
 
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これはシカが分布を広げ、密度が高くなっていった結果です。

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2021年5月29日 (土)

クマ管理とオオカミ管理の違いについて

先日、私のブログ記事

日本列島のキーストーン種と生態系

http://nikkokekko.cocolog-nifty.com/wolf/2021/04/post-d0e8cd.html

をきっかけにあるところで反対派の方のコメントがあったのを見ましたので、そこから考えたことを書き留めておきます。

 

日本では自然とのつきあい方として「里山」が非常に重視されています。里山では人間が自然に手を入れることで生物多様性のある環境が長い間保たれてきたとする考え方、自然の見方が日本では支配的です。野生動物との関係においても、人が維持してきた里山は野生動物の領域と向き合う最前線であり、人と野性動物のバランスが崩れてしまっている現在、人間社会の急務は里山管理を取り戻すことなのだというわけです。

 

そのような里山論者がオオカミ再導入論を聞くと感情的な反発が沸き上がるようです。

いわく

・日本の里山とアメリカではまったく条件が違う

・里山は最前線なのだ。昼間もクマが出歩くようになった集落に住んでみてから狼と共存できるかどうかを論じるべきだ

とクマの管理を引き合いに出されることがありました。

 

クマとオオカミの比較で思い出すのは「ウルフ・ウォーズ」(ハンク・フィッシャー著)に描かれていた場面です。イエローストーンへのオオカミ再導入を地元に理解してもらう活動をしていたフィッシャーが懸命に説明します。

「クマの管理とオオカミの管理は違う。クマの場合は人間が行動を変える必要があるが、オオカミが戻ってきても人間側は行動を変える必要はないんです」

それから理解され再導入が実現するまでには長い時間がかかりましたが、それがおよそ50年前1970年代の話です。

オオカミが生息しているからといって、人間は何も心配する必要はない、とはこのように50年も前から言われていることなのですが、日本では初めての経験ですから、仕方のないところですね。

「人間が行動を変える必要はない」つまり「共存できる」ことを裏付けるのがヨーロッパの例です。(アメリカと日本の里山は条件が違うとは、広さのことを言いたいのでしょうけれども、私たちがアメリカから学びたいのは、オオカミとシカ、オオカミと生態系の関係です。人との関係はヨーロッパに学びます)

ヨーロッパでオオカミは生息地を自然回復し、現在では大陸ヨーロッパのほとんどの国に復活しました。もともとイタリアやスペイン、東ヨーロッパの国々には生き残っていたので、問題などおきませんが、新たな復活地中央ヨーロッパでは伝統的なオオカミ嫌いの感情は残っているので、時には違法に殺されて見つかることもあります。それに対して政府や自治体、保護団体が「恐れる必要はない」と啓蒙活動を行っています。最新の復活地オランダで定着が確認されるや否や作られた動画には、ハイキングコースでオオカミがコース上に現れ、「オオカミを見たらどうすればいい?」と小さな子供に教える家族が描かれていました。父親はよ~く観察しなさいとでもいうようにオオカミを指さし、落ち着いて距離を保つことが教えられています。それだけです。イヌはひもにつないで、ピクニックでは食べ物を置き忘れないことも注意事項には挙げられています。

 

この動画はフェイスブックにしかないようなのですがURLを挙げておきます。

 

https://www.facebook.com/watch/?v=767760457465755

 

 

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2021年5月28日 (金)

シカと車の衝突事故を防ぐための戦略 オオカミがいると事故が減る!

1970年代までミネソタに残っていたオオカミは絶滅危惧種法(ESA)の保護を受けて増え始め、スペリオール湖を囲む3州(ミネソタ、ウィスコンシン、ミシガン)に広がりました。

ウィスコンシンにも1000頭を超えるオオカミが生きています。

オオカミがウィスコンシン州で拡大を続けると、オオカミとシカ、そして人間の関係の調査で新たな可能性が見えてきました。

 

Wolves Reduce Deer-Vehicle Collisions - The Atlantic

 

ウィスコンシン州のオオカミが生息する群ではシカとの交通事故が減少したのです。記事の抜粋です。

 

Jennifer Raynor

natural-resource economist at Wesleyan University

 

ウィスコンシンには数千頭のオオカミが生息していますが、彼らが数十人の命を救っている可能性があります。毎年平均して、19,757人が鹿と衝突し、約477人の負傷者と8人の死者を出しています。  

捕食者であるオオカミは、歩道や道路などに沿ってうろつく傾向があります。これらの地域の近くではオオカミが鹿を殺すか、シカが恐れて遠ざかることによって、シカが車から遠ざかる可能性があります。

Raynorと彼女の同僚は、22年間のデータを分析することにより、ウィスコンシンのオオカミが鹿と車の衝突の頻度を4分の1に減らしたことを発見しました。オオカミにより毎年1090万ドルの損失が回避され、これはオオカミによる家畜やペットの損失に対して支払われた補償総額の63倍に相当します。

 

 

懐疑論者は、オオカミの効果を言い募るよりも、車が鹿にぶつかるのを防ぐ簡単な方法があるはずだと主張するかもしれません。確かにあります。しかしそれらはすべて問題を抱えています。 ドライバーへの警告サインなどの安価な対策は実際には機能しません。 鹿の高架道路などの効果的な対策は非常に費用がかかるため、実際には、非常に深刻な鹿と車両の衝突のホットスポットでしか実施できません。

オオカミは、1つの交差点に投資する数百万ドルと比較して費用効果が高いと言えます。 (特に、車がオオカミにぶつかることはめったにありません。2019年4月から2020年4月までに記録された衝突は21回だけでしたが、鹿と車の衝突は年間平均20,000回でした。)

 

その主張を裏付けるために、彼らは証拠を集めました。ウィスコンシン州のオオカミの個体数が増加し始めた1990年代以降、オオカミがいる29の郡では鹿の数が増加を止めたが、オオカミのいない34の郡では増加し続けていることを示しました。オオカミが最初に郡に入ってきたときは鹿との交通事故の割合は減少する傾向がありました。

 

 

 

2021年4月17日 (土)

日本列島のキーストーン種と生態系

もう10年以上も前だと思いますが、2ちゃんねるを検索しているときに、このような投稿を見つけました。素晴らしい!と感嘆したものです。
そのまま保存して、ときどき使わせてもらっています。
元の投稿者がどなたか存じませんが、ありがとうございます!
 
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生態系ピラミッド、というのはこの問題を理解するにはちょっと古いモデルだ。 
かつてはオオカミのような頂点捕食者は生態系ピラミッドのトップストーン、つまりピラミッドのてっぺんに ちょこんと乗って下の階層に支えられているだけで、自らはほとんど誰も支えていないと思われていた。 
ところが頂点捕食者がいなくなったあとの生態系崩壊の事例などから、どうやら頂点捕食者は トップストーンではなくキーストーンであることが分かってきた。
キーストーンというのは石組みのアーチの一番上に入れる石のことで、これを取り外すとアーチ全体が崩れてしまう。 
今の日本の生態系はキーストーンを取り除いたアーチを、崩れないように人間が必死に手で支えているようなもの。 でも支えている人間の顔は真っ赤で手も痙攣しだしたので、キーストーンをもう一度はめ込んで人間はもう手を放したいというのが現状。

 

オオカミが増えると小鳥も増える?
生態系に大きな影響を与える“キーストーン種”

オオカミが増えると小鳥も増える? 生態系に大きな影響を与える“キーストーン種” - ログミーBiz (logmi.jp)

 

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