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2012年5月

2012年5月27日 (日)

連続シンポジウム「ドイツに見るオオカミとの共生」報道

朝日新聞が報じてくれました。5月25日夕刊です。

ただし、間違いがいくつかあります。

ドイツに生息するオオカミの頭数は、「45」ではなく、「70」だそうです。

せっかく「最新情報」と書いたのに、惜しいことをしました。

当日、ヴェッセル氏が講演の中で「昨日聞いたばかりの調査結果」として

「70頭」と話していたのです。

もう一つは、イエローストーン国立公園のシカ頭数です。

イエローストーン国立公園内のシカ(エルク)の頭数は、当初16000頭と言われてたものが、4000頭まで減ったというイエローストーンの報告があります。

ですから、これはイエローストーンの話としては、誤りです。

しかし、記事中ではイエローストーンを含む北部ロッキーとなっていますから、シカの頭数も、北部ロッキー全域ということであれば、この限りではありません。

別のルートで取材された結果、北部ロッキーにいたシカ(エルク)が30000頭から、25000頭に減ったという情報を得たということであれば、この記者のこのシンポ以外のルートからと思われます。

という注釈つきで、以下の記事をお読みください。

20120523_2_2

2012年5月26日 (土)

なぜオオカミ再導入が必要か③~シカ侵入で予想される尾瀬の未来

シカ食害 国の早急対策求める 尾瀬山開き 山小屋組合長が見解

2012年5月23日

 尾瀬の玄関口にある片品村の大清水湿原のミズバショウ約二万株が野生のシカに食い荒らされ、壊滅状態になった問題で、尾瀬山小屋組合の関根進組合長は二十二日、「尾瀬のシカの食害は憂慮に堪えない問題で、環境省も喫緊の課題として対策を講じてほしい」との見解を示した。

 同日の尾瀬の山開き式の会場で東京新聞の取材に答えた。

 関根組合長によると、尾瀬のシカの食害は十年以上前から問題になっていたが、こ

こ一、二年は深刻な状態で、尾瀬ケ原ではミズバショウだけでなく、ニッコウキスゲ

やリュウキンカなどの貴重な草花が食べられているという。

 「大清水湿原の奥にはシカよけのネットを設置していたが、シカがネットから離れ

た別の侵入ルートを見つけ、入り込んだらしい」と関根組合長。「シカを別の場所に

誘導する方法を考え、シカと人間の共存を模索したい」と語った。

 山開き式であいさつした福島県檜枝岐村の星光祥村長も「ニホンジカの被害はます

ます深刻化している。阻止しなければならない」と訴えた。 (山岸隆)

東京新聞

http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20120523/CK2012052302000146.html

この記事は、同じ東京新聞が、

シカの食害 壊滅状態 片品・大清水湿原のミズバショウ

                  

http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20120518/CK2012051802000142.html
               

5月18日に報じています。その追加取材を行ったもののようです。



そして、環境省は、尾瀬でニホンジカの捕獲作業を予定しています。

                                  

環境省檜枝岐自然保護官事務所より)ニホンジカ捕獲作業のお知らせ
                      

  ニホンジカによる植生被害が深刻な状況にある尾瀬国立公園において、下記の日程にてニホンジカの捕獲を実施します。  

安全には十分配慮して実施しますが、あわせて皆様のご理解とご協力をお願いしす。

[銃猟] 実施期間:5/7~5/20実施場所:尾瀬沼、尾瀬ヶ原、御池周辺地域捕獲手段:銃

                           

 http://blog-imgs-52-origin.fc2.com/o/z/e/ozenavi/20120514130957e23.jpg

                                

[わな猟] 実施期間:5/21~7/20 10/1~10/31 実施場所:大江湿原、浅湖湿原及びその周辺地域 捕獲手段:足くくりわな

                                   

http://blog-imgs-52-origin.fc2.com/o/z/e/ozenavi/201205141309558e4.jpg

http://blog-imgs-52-origin.fc2.com/o/z/e/ozenavi/201205141309565e1.jpg

□問い合わせ 環境省檜枝岐自然保護官事務所(電話:0241-75-7301) 檜枝岐村役場(電話:0241-75-2500)

                               


*********************************************************

いま尾瀬に侵入しているシカは約1000頭と推定されています。(環境省)

  その行動パターンは宇都宮大の小金澤教授によれば、冬季に日光の麓や足尾で越冬しているグループが、夏季に尾瀬から奥只見にかけて移動し、春子供を産んで、夏の子育て期間を過ごします。

シカは生まれた場所に固執する傾向があり、尾瀬で生まれたシカは尾瀬に帰ろうとしますから、1000頭が尾瀬で春に子供を生めば、そのシカはまた尾瀬に戻ってきます。

こうして年々シカは増えてきました。小金澤教授の頭数推移の推定では、この数年急増の気配を見せ、尾瀬ヶ原や尾瀬沼でも、シカの痕跡は誰にもはっきりと見えるまでになっています。

   今までは、国立公園ということもあり、尾瀬でのシカ対策は、遅々として進みませんでした。国立公園に含まれない福島県側の一部地域でわなによる捕獲が行われていましたが、侵入防止効果はほとんどなかったと聞いています。頭数減にもつながっていません。

   その結果、シカの急増を憂慮して、環境省が重い腰を上げたものと思われます。生息頭数を抑えるために、捕獲を開始するには遅すぎるくらいではありますが、まだ間に合うレベルのシカの頭数かもしれません。

問題は、この深い山でどれほどの捕獲数が得られ、それが継続できるのか、ということです。

   また、人間が設定した管理エリアの中は目標が達成できたとして、その外側はどうするのか、という問題もあります。尾瀬でいえば、尾瀬国立公園内で、仮に目標が達成されたとしても、足尾で越冬し、奥只見で夏を過ごすグループにはほとんど影響がなく、そこで増えたシカはまた尾瀬に侵入してきます。

足尾はイヌワシの生息が確認されているため、銃による捕獲ができません。奥只見は、尾瀬にもまして険しい山が続き、広範囲の捕獲作業はまず不可能と思われます。

   他の農業地域や日光で使われている防鹿柵も同様です。広大な尾瀬の周囲に、自由に動き回るシカの侵入防止柵を設置することはできませんし、尾瀬だけ守れば、それでいいのか、上記のように管理エリアの外側は野放しでもやむなしとするのか、という疑問も湧いてきます。

尾瀬では、今まで他の地域で取られていた方法は、いずれも効果は期待できません。

   尾瀬のシカがこのまま増え続けるとどうなるのか、さまざまな地域の進行状況から尾瀬の未来を想像すると、こうなります。

(あくまで筆者の想像によるものです)

① 湿原にシカの踏み跡

 

Photo_13

尾瀬(2010年) 

 
②高山植物消滅

Photo_14

 

日光白根山(1984→1994)

白根山のシラネアオイは10年で消滅した。


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③ 樹皮剥ぎ

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天城山(2010)



④樹木の枯死

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大台ケ原(2006-パネルは1964)

⑤湖水が土砂で埋まる

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静岡県伊東市松川湖(2005)


⑥土壌流亡

Photo_19

小笠原(1984) 


小笠原では、ヤギが野生化して増え続け、下の写真のような問題が起きましたが、全頭捕獲により回復しています。





これが極端に悲観的なシナリオだとは思いません。

人間の手による自然界の調節は、もはや不可能です。

頂点捕食者オオカミの復活により、食物連鎖を復元し、生態系の修復を図らなければ、問題の解決はありえない、と思います。

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2012年5月25日 (金)

ミネソタのオオカミ⑩~オオカミの害とシカの害と

オオカミを復活させるというアイデアは、必ず「オオカミのリスク」をはっきりしろと迫られます。

ところが、今現に増え続けているシカの害(リスク)は、農業被害や森林の被害などのような、人の体、健康、命に直接かかわる影響が出ていないため、その深刻さがまだ感じられないかもしれません。

シカの被害は、数え上げれればキリがないというほど広く、様々な分野にまたがるようになってきました。

 

・農林業被害:山村の畑作だけでなく、木材用人工林、林産物(しいたけなど)、水田、果樹も食害が見られる


・森林被害:高山植物の消滅、天然林の樹皮剥ぎ


・森林被害に付随する被害:下層植生がなくなり、裸地化、土壌流出、土砂崩れ、河川への流入


・漁業への影響:川の濁り、土砂堆積による河川漁業への影響、沿岸漁業への影響


・交通事故、鉄道事故


                                    
等々、日本全国で見られるようになりました。

さらにアメリカでは、以下のような病気まで、シカに関わりがあるとされています。

「捕食者なき世界」 ウィリアム・ソウルゼンバーグ(文芸春秋)

Photo
                                 

第六章 バンビの復讐

最初に蔓延した町の名前(コネチカット州オールドライム)から名づけられたライム病は、1975年に初めて診断されて以来、コネチカット州から森林の多い東部全体に広がり、やがて五大湖地域から西海岸の森でも感染する人が出てきた。合衆国における患者数は年間1万五千人から二万人に上るが、実際はこの10倍が感染していると見る人もいる。合衆国で目だって急増している感染症の一つになっている。

 

 ライム病は、梅毒疹に関係のあるスピロヘータ菌、ライム病ボレリアに感染すると発症し、治療を怠ると、ときには複視、神経痛、焼けるような皮膚の痛みが引き起こされる。慢性疲労症候群やリウマチ性関節炎、多発性硬化症に誤診されることもある。症状がはっきりしないので、誤診されたり、適切な治療がされないこともよくあった。末期には髄膜炎、顔面マヒ、一時的な幻覚、不安発作が起きる。長引くと車いす生活を送ることになったり、自殺を考えるほどの痛みに苦しめられたりする。このライム病が蔓延する場所には必ずシカがいる。

 

 最初の流行から30年が経過した今、ライム病と社会の敵とのつながりに新たなひねりが加わった。かつては単純に、シカが多くなるとライム病が流行すると考えられていたが、そこにもうひとつの要素が加わったのだ。一頭のシカは数千匹ものクロアシダニの成虫を体に忍ばせており、そのダニは確かにライム病を媒介する。しかしボレリア菌をヒトの血流に流し込むのは、成虫ではなく、小さな幼虫のほうだとわかった。そして、その危険な幼虫は通常シマリスやシロアシネズミの血を吸ってボレリア菌を獲得する、どちらも広く森の地面近くに暮らすかわいい小動物である。

 

ニューヨーク州にある生態系研究所のリチャード・オストフェルドは、こう推測する―植民地時代以前は、シカもダニも現代よりもはるかに少なかった。20世紀半ば以降のどこかの時点で、シカの個体数が閾値を超え、それがきっかけとなってダニの数が異常にふくれあがった。ネズミがライム病の病原菌の宿主だとしても、アメリカから捕食動物が消え、その結果、シカが増えたことによって、病気を媒介するダニの大群がネズミの通り道に送り込まれ、ひいてはアメリカ人のズボンのすそに食らいつくようになったのだ。

 

***********************



この文章にある例は、コネチカット州のものですが、ミネソタ州健康局(Minnesota Departmento of Health)のHPには、ダニ媒介疾病のハイリスク地域の地図が掲載されています。

Img024


                              

ライム病パンフレット
                                 

http://www.health.state.mn.us/divs/idepc/diseases/lyme/lyme3fold.pdf


この地図にあるように、ライム病ハイリスクエリアは、シカの高密度地域です。





                                                          






2012年5月23日 (水)

ミネソタのオオカミ⑨~家畜被害補償のシステムと被害対策

補償

オオカミにより家畜が殺された場合の補償は、ミネソタ農業局(MNDA)のプログラムにより支給される。オオカミの捕食被害と証明されれば、家畜の市場価値と同等の額が補償される。

 

被害補償は次のような条件が適用される。

1.家畜の所有者は捕食被害を、発見後24時間以内に報告する。そして証拠を保全する。

2.調査局は、その損失がハイイロオオカミによるものかどうかを決定する。そしてMNDAの委員会に報告する。

3.MNDA委員会は補償が必要とされる場合かどうかを決定する。

ミネソタ農業局オオカミ被害補償

被害申請(件) 補償額
2006 71 72,895ドル
2007 82 81,683ドル
2008 82 95,526ドル
2009 87 88,366ドル
2010 104 106,615ドル
2011 128 102,230ドル
2012 61 81,300ドル

 

******************************

合衆国農務省野生生物局による報告では、被害を受けやすいパターンが3つある。

                        

①畜産農家がオオカミが高密度に生息している地域の中に、「島」のようにある(被害地の10~15%が該当)

Photo

②農地と森林が混在している(70~80%が該当)


             

③農地に取り巻かれてオオカミ生息地が「島」になっている(10~15%が該当)

 

Photo_2

                          

オオカミ対策

 

被害を起こしたオオカミを駆除する以外にも、オオカミ被害の予防柵として、このようなことが推奨されている。(合衆国農務省野生生物局)

                


                     

電気柵




             

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ガーディングドッグ
 

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フラドリー(ヨーロッパではこう呼んでいる

赤いひらひらが張り巡らされているだけで、オオカミは侵入をためらう。いわば結界。

 

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ドンキー!(ロバ)

ロバはオオカミ対策には最強の家畜。ヨーロッパでも同じことが言われている。ロバはオオカミの気配を察知すると、雄たけびを上げて周囲の注意を喚起し、オオカミと見るやものすごい勢いで突進してい



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ドイツではリャマも推奨されてい。ロバと同じように、オオカミも蹴飛ばして撃退する動物である





2012年5月22日 (火)

ミネソタのオオカミ⑧~オオカミと家畜被害

「ミネソタオオカミ管理計画」関連文書は、当然家畜被害についても重要な項目として取り上げています。

ミネソタ自然資源局オオカミ短信:(2012年1月5日ミネソタ自然資源局HP)は、以下のように、正確な数字を挙げて説明しています。

・2006年以来、オオカミ被害報告は、年平均200件あり、うち約100件がオオカミによるものと認定された。

・80軒の農家から、被害報告が確認され、平均して170頭のオオカミが被害確定の対象として捕獲・駆除されている。

2011オオカミ被害管理データ(農務省)
            

被害申請受付合計 211

確認被害申請合計 109

家畜被害申請合計 88

確定率   51.7%

内確定被害農家 96

内確定被害飼育犬 9

わな猟   97

オオカミ捕獲  215

オオカミ捕殺  203

 

オオカミによる食害にあった地域を地図にプロットしたものがこの地図です。

 

Photo

では次には、ミネソタの畜産と日本を比較して、何が違うのかをしらなければなりません。

           

アメリカの畜産の基本は放牧です。カリフォルニア等ではフィードロットという集約的な飼育方法がありますが、全米にはどの程度普及しているのか、今のところ材料は入手できていません。下のような写真を見ると、ミネソタでは、放牧が中心でフィードロットはそれほど普及していないように見えます。(ミネソタの畜産について情報が十分ではありません)

 

・州全体で牛の飼育頭数          約40万頭

 

・オオカミ生息域での牛の飼育頭数   約16万5千頭

 

Photo_2写真手前は、オオカミに殺された子牛のようです。

 

被害防除


また、「オオカミのテリトリー内に生きるミネソタの農家畜産家へのガイド」は

「いかにしてオオカミ被害を防ぐか」を以下のように書いています。

*****************



ミネソタ大学は1999年初めにオオカミの家畜被害を防ぐ管理手法を決定する研究を行った。その研究では、オオカミの被害を防ぐ確実な手法は見つからなかった。オオカミ被害を防ぐ唯一の証明された手法は、農場から加害オオカミを除去することであった。しかし、農家、畜産家があるケースで助けになるいくつかの方法を報告していた。

それは、



・エサを十分にやって健康を保つこと。オオカミは概して弱くて簡単な獲物を選ぶ。健康は動物は捕食が難しい。足の不自由なあるいは病気の動物は可能なら安全な場所へ移動する。


・ガードアニマルを使う。常に効果的ではないが、ガーディングドッグの存在は防御になる。オオカミに対してガーディングドッグを使うときは、一頭の動物ではオオカミに殺されるかもしれないため、複数頭のイヌを使うことが重要である。巡回的に採食されるように羊を動かし、まとめることはガーディングドッグをより効果的にする。しかし、巡回採食は母羊と当歳仔の結束を中断するような子育ての期間は適当ではないことは憶えておく必要がある。


・移動、仔を生み、育てる活動は、農家の庭に近い。生まれたばかりの羊は簡単なエサである。ある農家は子育て期間中は農家の庭の近くに動かす、より頻繁な監視が可能だからである。

             
                       

      





                                              

オオカミ被害の警告サイン

                


                      

農家は、その土地に侵入したオオカミが示すいくつか共通のサインを報告している。

そのサインとは



・動物が放牧場に広がるのではなく、固まろうとする


・牛や羊の群れが混乱する


・羊が牧羊犬の存在にパニックになる


・農場にオオカミの侵入を示すサインが増える


・牛が外へ出ようと放牧場のフェンスにぶつかる音を立てる


・群れの性質に急な変化がある

 

このようなサインを見逃さず、家畜を安全なところに移動させるべきである。

2012年5月21日 (月)

ミネソタのオオカミ⑦~獲物との関係

 

歴史的には、ミネソタではオオカミは大型のひづめのある動物(有蹄類)を捕食した。オジロジカやエルクジカ、カリブー、ムース、バイソンである。

オオカミは生息地を限定される動物ではない。というのは、彼らは獲物が豊富ならどこでも生きられるからである。彼らは大型の有蹄類を捕食することができるし、他のいろいろな小動物たとえばウサギやビーバーで常食を補うことができる。

オオカミは有蹄類の中でももっとも頻繁に若い個体と老齢の個体を捕食する。彼らは経験がなかったり衰弱していたりするため、群れの中ではもっとも捕獲しやすいからである。

極端に深い雪や遅い冬のような普通でない環境下では、オオカミは食べることができるより多くの有蹄類を捕獲できるかもしれないが、通常は彼らの生命を維持するためだけに狩をする。

ミネソタDNRにはシカのデータもあります。
データがいくつもあって、読みきれていませんが、この地図は平方マイルあたりの狩猟頭数が示されています。
北部の狩猟地域には、どこでもhunting trailという狩猟用のルートが設定されているようですから、そこで獲れる頭数がほぼ生息密度と重なるかもしれません。

DNRの狩猟のページからとったものですから、狩猟をどの地域で楽しむかというガイドになっているものと思います。



Img022

2012年5月20日 (日)

ミネソタのオオカミ⑥~生息地とゾーニング

オオカミの頭数管理

頭数目標(2001ミネソタオオカミ管理計画時点)

ミネソタのオオカミは、州内で自然に生息域を拡大することを許容されている。ミネソタのオオカミの継続的な生存を確保するため、州全体で最低限の(冬季)頭数の目標は、1600頭である。上限はない。もし頭数が下限を下回ったら、DNRは、減少原因に焦点をあてた、適切な管理活動をとり、速やかに最低限の頭数を回復することになる。

(現在は約3000頭)


オオカミ保護や効果的な家畜被害管理の目的で、ミネソタ州には二つの管理ゾーンが作られている。

            

Img021_3


ミネソタ州の人口密度地図も並べてみます。

Jpeg_2

ゾーンA:

          
 ゾーンA(北部ミネソタ)では、家畜食害オオカミの捕殺は直接的な脅威、つまり家畜や飼育動物、ペットの直接証明された損害の場合に限られる。


家畜、飼育動物、ペットがこのゾーンに存在するため、家畜被害対応手順は必要である。しかし、その対応は直接的脅威と証明された状況に限られる。
このゾーンは、捕殺された家畜被害を起こすオオカミの増加の結果に関わりなく、ESA家畜被害管理と同様のオオカミ保護のレベルを定めたものである。

 

 ゾーンAでは、もし家畜や飼育動物、ペットがオオカミによって被害を受け、その所有者がオオカミの管理(つまり駆除)を望めば、DNRは捕食者管理エリアを期間限定で広くするだろう。訓練されたコントローラーが、家畜所有者や他の土地所有者の許可を得て、対応を検討する。
コントローラーには捕殺されたオオカミ1頭につき150ドル支払われる。これはUSDA野生生物局の職員により行われるオオカミのコントロールと同じ規制と制限の下にある。


ゾーンAでは、DNRは調査に基づく捕獲を記録し、回収したオオカミの死体の没収、その死体(毛皮や骨等)の販売や教育目的の寄付、月間報告等を行う。家畜やガード動物を巻き込んだケースでは、DNRは捕食被害リスクを低減する方法をMNDAにより開発されたベストマネジメントプラクティス(BMP)に沿ってアドバイスする。

ゾーンB:



ゾーンBでは、捕食オオカミの捕殺は、家畜や飼育動物、ペットを守るために認められている。急迫した脅威や証明された損害の記録は必要ではない。しかし、オオカミの捕殺は、土地保有者、飼育動物の所有者により放牧され、管理されている動物に限られ、捕食者コントローラーと認められた州のサービスに従事するものに限られる。

このゾーンにはゾーンAと比べて家畜、飼育動物、ペットが格段に多いため、そしてミネソタのオオカミ復活頭数にとっては不可欠な地域ではないため、家畜被害予防の手順を定めることによって、州内でオオカミの長期の生存を脅かすことなしに、普通にオオカミが存在することに土地所有者が、より寛容であるように促すものである。

このような家畜被害対応の手順は、ESAによる管理と比べて、多くのオオカミの捕殺という結果を招くようであるが、ゾーンBからオオカミを排除するものではない。


ゾーンBに対して異なる制限を課す効果は、予防しやすいが、繰り返されやすいオオカミの捕食被害をコントロールすることである。


ゾーンBでは潜在的な加害オオカミは捕殺される可能性がある。公有地ではオオカミは保護され続けるが、私有地では駆除される。公有地、私有地がミネソタでは混在しているため、「ゾーン」は、過去もそうであったよう見直しが続けられる。

人間とオオカミの摩擦がないところでは、オオカミは放置される。人間との摩擦がある場所では、問題のオオカミは駆除される。加害オオカミを駆除することによって、ミネソタのオオカミ分布に変化はないと予想される。

加えて、ゾーンBでは、家畜や飼育動物、ペットを守るために、州に認定されたコントローラーを雇うことができる。ただし、こうした環境下で、オオカミを撃つか、わなにかけたことをできる限り速やかに、48時間以内に報告しなければならない。

 急迫した脅威という条件はゾーンBには適用されない。家畜や飼育動物、ペット等を守るために、いつでもオオカミを撃つことができる。

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2012年5月19日 (土)

ミネソタのオオカミ⑤~人との関係

オオカミと人間の関係はつまり、人間の土地利用とオオカミの生息域がどう重なるかという問題です。

ミネソタでは、北部が森林、湖水地方、中部南部は畑、牧場とはっきり区分が分かれているようです。しかもアメリカ国内でも有数の農業地帯です。1990年の土地利用の区分地図がありましたので、掲載します。

http://www.mngeo.state.mn.us/landuse/

Photo

人間との相互作用



                     
オオカミはネイティブアメリカンの文化や精神世界では崇められていて、オオカミの頭数を制限したり
景観自然のなかから根絶させるような努力が払われることはない。

 

初期のヨーロッパ人毛皮商人は、彼らの生計を脅かすとか価値の高い毛皮であるとかではなく、オオカミに無関心だった。

 

逆にヨーロッパ人入植者は決してオオカミを評価せず、彼らの故地では既に長いオオカミ迫害の歴史をもっていた。

 

ミネソタでは、オオカミへの賞金制度が1849年にスタートし、1965年まで続いた。入植者は、根拠のないオオカミへの恐れを持っていただけでなく、家畜を殺すことを知っていたし、野生の有蹄類に対しては人間(狩猟者)と競合していた。文化的にはヨーロッパ人入植者にとってはオオカミは無価値であり、根絶すべき種であるとみなされていた。

ミネソタにおいてはオオカミの保護や保全は1960年代前半まで容認されることはなかった。


 

市民の態度


 

一般の人の態度は、1960年代に「環境革命」で著しく変化をはじめた。1966年までに最初の連邦絶滅危惧種法が通過した。その後、オオカミに関する調査やオオカミ支持の教育がなされるなど保護の努力が実際に増加していった。


一部ではオオカミは依然として根絶すべき種であり続けたが、徐々に多くの人がオオカミや、ミネソタにおけるオオカミの長期の生存に関心を持つようになっていった。

 

市民の安全


                              

オオカミが人々を襲撃したり傷害した記録はミネソタでは無い。

にも関わらず、多くの人が最近のカナダオンタリオ州やインドの人々へのオオカミの襲撃記録を引きあいに出して、ミネソタでESAによって完全保護されるようになって以来、人間の居住地周辺で大胆な行動をとるようになったオオカミを見て、人間の安全に対しての脅威に深刻な関心を持っている。


こうした安全への関心を考慮して、一般の市民がその人や家族の生命を守るためにオオカミを捕獲すること、
(take a wolf in defense of human life) が認められている。人間の生命を守るためにオオカミを捕獲した人( A person who takes a wolf in defense of human life )は証拠をすべて保全しなければならない。そしてDNR 保護事務所に48時間以内に捕獲を報告しなければならない。




                              



                                            

2012年5月18日 (金)

ミネソタのオオカミ④~1990年代以降着実に増加・地域拡大

アメリカ合衆国のオオカミ復活計画(1992年)は、ミネソタ五大湖西部地域の一部に12511400頭のオオカミを回復したことを確認した。



ミネソタのオオカミ生息数情報

 ミネソタDNRは、組織的なオオカミ調査を1978年以来、10年あるいは5年の間隔で行ってきた。

 その結果、下の分布地図に示したように、1978年以来、オオカミの生息数と分布地域を広げてきている。

【赤】1978~79年調査結果

【緑】1988~89年調査結果

【青】1998~99年調査結果

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1990年代

      

1990年代を通じて、様々な観察や報告等はすべて、オオカミが分布を拡大し頭数を増やしていることを示していた。ミネソタ州自然資源局(DNR)は1994年にミネソタには2000~2200頭のオオカミが生息すると推定した。


1997~98年の冬の調査では1988~89年の調査と同様の調査をさらに広げ、2450のオオカミがおおよそ33,970平方マイル(8万7000平方キロ?)の範囲に広がっていると推計した。

【目標頭数】 ミネソタオオカミ管理計画は(2001年)は、州全体の最低限の頭数目標を1600頭と確認している。頭数目標の上限は存在しない。また州全体でオオカミの生息に適した場所であればオオカミの生存は許容される。

 

2007~2008年


ミネソタ州で追跡されているオオカミパックの平均的なナワバリ面積(104km2×1.37=142km2)【0.37は緩衝地帯の面積】から推定すると、ミネソタには503のオオカミのパックがいる。2003~04年より4%、1997~98年よりも26%多い。平均的なパックの頭数(~4.9)をかけ、単独オオカミが15%いると推定して計算すると、オオカミの頭数は2921頭、100km2の占有面積に対して平均4.1頭ということになる。

199820042008年の調査に基づくオオカミ生息数に1998年調査以来の重大な変化はない。


 20年間以上にわたり、オオカミ生息地域は増加したが、過去2回のオオカミ調査は、ミネソタの広域分布は1990年代半ば以降変化がなかったことを示す。

次の調査は201213年冬に行われる。



2012年5月17日 (木)

ミネソタのオオカミ③~ミネソタってどこ?

ミネソタとは、よく聞く州名ではありますが、どこに位置するか、正確に知っている人も多くはないと思います。

 

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ミネソタ、ウィスコンシン、ミシガン(スペリオール湖に突き出したアッパー半島)に、今オオカミが広がっています。

データでも比較できるよう、比較表を作りました。必要な比較数値はまだ他にもあると思われますが、とりあえず、今手に入ったものです。

ミネソタと日本の比較
ミネソタ 北海道 長野
面積 km2  225,171   83,457   13,562 
万ha  2,062   835   136 
(陸地面積)
森林面積 km2  65,980   5,538,469   1,059,821 
万ha  650   554   106 
森林率  32   71   78 
内人工林率  27   42 
人口  5,303,925   5,497,406   2,139,882 
人口密度(人/km2)  25   66   158 
狩猟者 80万人  6,275  6,228
鹿ライセンス購入者 60歳以上48%

60歳以上58%

オオカミ頭数  3,000 
鹿頭数 100万頭 70万頭 10万頭
狩猟鹿頭数(管理捕獲含む) 26万頭 13万頭

 

ミネソタのオオカミ②~1970~80年代:生き残ったオオカミ

1970年代のアメリカ大陸には、オオカミはほとんど残っていませんでした。唯一の生き残りがミネソタ州北東部の数百頭です。

保護の歴史

                           

1966年:連邦絶滅危惧種保存法(ESA)は、オオカミの保護を国有地に限定して規定していた。

1974年:絶滅危惧種法によって、オオカミが絶滅に瀕しているとして48州すべてのオオカミが法的に保護された。

1975年初:家畜を捕食するオオカミが合衆国魚類野生生物局のわな猟師によって捕獲され、ミネソタ最北部に移動させられた。

1978年:オオカミ管理ゾーンの設置、他地域のオオカミの再配置、ミネソタオオカミの再分類の要求をいれた東部シンリンオオカミ復活計画、が発表された。

1978年:ミネソタのオオカミは連邦として生存を脅かされている種と再分類され、許可を受けた政府のわな猟師だけが厳しい基準の下に加害オオカミを殺すことができることになった。




                      

生息密度と分布

                   

1970年代終わりに連邦と州による保護の結果、鹿の頭数も増え、オオカミの頭数は1000~1250頭まで回復した。そしてその後も年5%の増加率で増えている。

1988~89

                

1988~89年の冬を通じて、州はオオカミの分布と生存豊富さの広範囲の評価を作成した。その結果、連邦復活計画の目標頭数が1500~1750頭以上と見積もられた。全般的に、オオカミの頭数は年3%で増加し続け、生息域もまた広がった。

1990年代の回復したオオカミ分布

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ミネソタのオオカミ①~絶滅危惧種法以前:大量殺戮の時代

アメリカ合衆国のオオカミは、1965年まで、捕獲に懸賞金がかけられていました。根絶すべき害獣として扱われ、1973年の絶滅危惧種法(ESA)制定時には、ほとんどミネソタ州北部の深い森林に、700~800頭とみられる群れが残るだけでした

 

 1973年絶滅危惧種法制定により、オオカミは絶滅危惧種リストに指定、保護されることになり、1992年の調査では1251~1400頭と推定されるほどに回復し、その後も順調に生息域、生息数ともに拡大を続け、安定した頭数で推移してます

 また一方でイエローストーン国立公園を含む北部ロッキー地域でも、再導入によるオオカミの回復が行なわれ、増加を続けているため、絶滅危惧手法の指定リストからオオカミの指定を解除する提案がなされるようになりました(ディリスト)

指定解除は2009年に決定したもののディリストは、自然保護団体による反対意見が根強く、ミネソタでは即実行には至らず、2度実施され、2度とも裁判によって覆されています。

 またディリストに当っては、保護対象からはずれることによって、再びオオカミが根絶の危機に直面しないよう、州による保護管理計画が立案され、ディリスト後すぐにオオカミ保護が州に移管、保護が継続されることになりました。「ミネソタオオカミ管理計画」は、ESAからオオカミがディリストされた後、オオカミ保護を引き継ぐために2001年に立案、成立したものです。

この計画に関連して、以下の文書を含め、調査報告等が多数公表されています。

「オオカミ管理計画」(2001年)ミネソタ州政府

「オオカミ調査報告」(2008年)ミネソタ自然資源局(DNR)ホームページ

「ミネソタオオカミ管理計画~10年の変化」(2011年)インターナショナルウルフセンター(ミネソタ州イリ)

「ミネソタ自然資源局(DNR)オオカミ報告短信」(2012年)

「農家畜産家への手引き」ミネソタ自然資源局(DNR)ホームページ

これ参考にし、ミネソタにおけるオオカミの現状を整理しました

【絶滅危惧種法以前】


シートン(シートン動物誌)によれば、最盛期には年間
20万頭のオオカミが殺戮され、北アメリカ大陸からオオカミは駆逐されたと推測されている。

http://blogs.yahoo.co.jp/pondwolf39/36739864.html

ミネソタDNRホームページより

人間に駆逐される以前のオオカミ分布

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1970年代

 オオカミはかつて州全土に存在したが、1900年までには、南部西部で稀になってしまった。オオカミ生息域は減少し続け、1940年代までに生息する地域は、大きな頭数がいるカナダにつながる北部にしか残っていなかった。

1950年代前半、オオカミは北部、北東部の一部12000平方マイルに450~700頭が残るだけになっていた。1960年代半ばまでには、頭数は350~700頭になり、1970年には、750と推定され、生息する面積はおそらく15000平方マイルだった。


1970年代のオオカミ分布地図です。

Img0152



2012年5月15日 (火)

オオカミとピューマ・どっちが危険?



Michigan department of natural resources(ミシガン州自然資源局)のホームページに行き当たりました。
       

http://www.michigan.gov/dnr/0,1607,7-153-10370_12145_43573---,00.html
                 

アメリカ大陸に今も生息するもう一つの大型肉食獣クーガー(ピューマ)です。




クーガーは、オオカミと同様人間に駆逐され、ミシガン州から姿を消していました。最近時々目撃されるようになっているようです。

そのクーガーをアメリカ当局は、どう認識しているのか

Cougar-Human Interactions 


このページに書かれています。


The DNR recognizes that the prospect of cougars in Michigan is alarming to many citizens because cougars are potentially dangerous wild animals. In states with established populations (for example California and Colorado), people have been attacked and killed by cougars.




DNRは、ミシガンのクーガーの観察によって、クーガーが潜在的に危険な野性動物であると認識している。カリフォルニアやコロラドの例のように安定した頭数がいる状態では、クーガーによって人間が攻撃され、殺されている。




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ネコ科の大型動物は人間を恐れないように感じますね。

オオカミも同様に考えられているのでしょうか。

アメリカの野生生物保護当局が、オオカミをどのように書いているか見てみます。


http://www.fws.gov/midwest/wolf/aboutwolves/wolfbiology.htm




こちらはUSFWSUSfish & wildlife service)




オオカミがどういう動物かを解説したページです。



ここで



22) Are wolves a threat to humans, in particular small children?
 




という設問がありました。まずこう答えます。



Aggressive behavior from wild wolves towards humans is rare.




オオカミから人間への攻撃的な行動は「稀」である。

そして




Wild wolves generally are shy of people and avoid contact with them whenever possible.



野性のオオカミは一般に人間に対してシャイであり、接触をできるだけさけようとする。

次に警告もついています。無条件で安全なわけではありません。



However, any wild animal can be dangerous if it is cornered, injured or sick, or has become habituated to people through activities such as artificial feeding. People should avoid actions that encourage wolves to spend time near people or become dependent on them for food.



追い詰められたり、傷つけられたり、病気のオオカミ、あるいは餌付けなどで人馴れしたオオカミは危険になりうる。人間はオオカミが人の近くで過ごすことや人が与えるエサに依存するように促す行動を避けるべきである。

これがアメリカの野生生物保護当局の、二つの種の捕食者に対する公的な見解です。

2012年5月 9日 (水)

連続シンポジウム西日本「「ドイツに見るオオカミとの共生」

日本オオカミ協会 連続シンポジウム西日本「「ドイツに見るオオカミとの共生」

2012年4月20日青山環境パートナーシップオフィスにて

東京を皮切りに、2011年10月に続いて、西日本シリーズを展開しました。

会場:静岡、和泉、西宮、三好(徳島)、人吉(熊本)

シンポジウム「ドイツに見るオオカミとの共生」①

http://www.youtube.com/embed/zCEVYCDrEww

シンポジウム「ドイツに見るオオカミとの共生②

http://www.youtube.com/embed/KTwMbstLFjI

 

シンポジウム「ドイツに見るオオカミとの共生」③

http://www.youtube.com/embed/2pYSwqS3qKc

シンポジウム「ドイツに見るオオカミとの共生」④

http://www.youtube.com/embed/aZkgpK5CFXM

シンポジウム「ドイツに見るオオカミとの共生」⑤

http://www.youtube.com/embed/o2RbxDRWnWg

シンポジウム「ドイツに見るオオカミとの共生」⑥

http://www.youtube.com/embed/IKVHEmFHJ_o

2012年5月 8日 (火)

オオカミは危険か?オオカミ生息地の人々③

●横綱白鵬

 

森林なくして人間は生きられない。森林を守るものはオオカミ。聖なるオオカミを守ろう。

 

(2011年10月シンポジウム「ドイツに見るオオカミとの共生」での発言)

 

 

2011年10月6日文京シビックホール

 

シンポジウムでステージに立つ白鵬関(右:日本オオカミ協会丸山直樹会長・左:日本オオカミ協会理事石川裕一氏)

Photo

 

 

NABUラインラント・プファルツ州代表シューフ氏


2012年4月
ドイツ中西部の森(ヴェスターヴァルト)を走る姿が目撃されたと報道されたときのコメント

「今回オオカミが撮影されたことは、たいへん喜ばしいことです。『悪いオオカミ』という言い方はメルヒェンの中のもので、そもそも彼らにとって人間は、食べるための獲物ではありません。人とオオカミが、互いを侵さず共存することは可能なのです。ここ、ラインラント・プファルツ州でそれが実現されるとよいと思います」

http://olive510.blog.fc2.com/blog-entry-133.html








2012年5月 6日 (日)

オオカミは危険か?オオカミ生息地の人々②



●ミネソタ州政府による「オオカミ管理計画(2001)」より

 

オオカミが人々を襲撃したり傷害した記録はミネソタでは無い。

にも関わらず、多くの人が最近のカナダオンタリオ州やインドの人々へのオオカミの襲撃記録を引きあいに出して、ミネソタでESAによって完全保護されるようになって以来、人間の居住地周辺で大胆な行動をとるようになったオオカミを見て、人間の安全に対しての脅威に深刻な関心を持っている。

こうした安全への関心を考慮して、一般の市民がその人や家族の生命を守るためにオオカミを捕獲すること、が認められている。人間の生命を守るためにオオカミを捕獲した人は証拠をすべて保全しなければならない。


そしてDNR保護官に48
時間以内に捕獲を報告しなければならない。

 

●イエローストーン国立公園を訪問した旅行者

 

レンジャーからは、
「グリズリーに気をつけろ」
「子連れのバイソンに気をつけろ。母と仔の間に割って入らないようにしろ」
「繁殖期のオスのエルクには近づくな」

と言われた。

オオカミを見に来たというと「見られるといいね」と笑顔で言われただけで気をつけろとは言われなかった。

オオカミの食べ残しにグリズリーがついて危険なことがあるので、前日にオオカミが狩りを行った場所は、安全を確認するまでトレイルを閉鎖することがある。

 

●フィンランド

 

 先日、恵比寿にあるトラウマリスというイベントスペース(基本はBAR)で料理研究科の南風食堂さんの主催で「オオカミと娘」展というイベントがありました。

http://traumaris.jp/space/2012/02/post-10.html

 その中で露木たぬきさんという動物をモチーフにした着ぐるみの作家さんをお招きして、オオカミの被り物を皆で作って被り、そのままオオカミの気持ちで会議をしようという催しがありました。
 そこにたまたまフィンランド人の男性が日本人のお友達(彼女?)とご一緒に参加されていたのですが、話を聴くとフィンランドではオオカミは嫌われ者なんだそうです。
 それでも特に駆除することもないわけですし、当のご本人も一所懸命に針仕事をしてオオカミの被り物を作っていました。


●多摩動物公園のオオカミ飼育係

飼育するうえで、オオカミだからということで何か気をつけていることはありますか?危険だとか・・・

飼育係「とにかくオオカミは神経質で臆病な動物です。そこに気を使います。」

2012年5月 5日 (土)

なぜオオカミ再導入が必要か② 狩猟者の減少とシカの増加

狩猟者全体の状況

 

 

狩猟者登録数は、70年代に50万人を越えていました。そのうち2050歳未満が6~8割を占めていました。シカ猟をしていた人はそのうち2~3割と推測しています。それは現役猟師に聞いた感覚的な割合からの推測です。とすれば、その当時1015万人がシカ猟をやっていた可能性があります。

 

 

それは早川町のような山間地の集落の人たちが主体で、レジャーハンターではなかったと推測します。早川町含む南アルプス一帯の狩猟者から聞き取りをした結果からの推測です。狩猟の目的は、肉を食べることです。今のように牛肉、豚肉がスーパーに並んでいる状態というのは、70年代以前にはなかったため、特に山間地では猟師に肉をもらうことがよくありました。(「日本の食卓」農文協の労作参照。昭和初年ころの山間地では必ず猟師からもらったシカ、イノシシ等の肉が登場します)

 

現状はどうかというと、狩猟者登録は10万人を切ったかもしれません。年齢構成は、平均すると60歳以上が60%、50歳以上にするとで90%です。2050歳未満は10%、全国に1万人です。そのうちシカ猟をするのは、どのくらいでしょうか。10割としても70年代の10分の1です。推測した比率どおり2~3割としたら、30分の1です。この層が増えていかなければ、長期にわたるシカ増加の抑止力にはなりません。

 

猟師を増やせば問題は解決するという方がいますが、どうやって、何万人まで増やせばシカを抑止できるのでしょうか。

 環境省は方法はあると言いますが(野生生物課)、出てくる対策は規制緩和と農水省のジビエ振興だけです。その程度の対策は、警視庁の猟銃所持規制強化で相殺されてマイナスになります。まして銃の購入、弾薬代、現地までの費用、犬の飼育費用など、管理捕獲に参加するからといっても全部自費です。費用の点からだけ考えても二十代の若者が手を出せる分野ではありません。

**************

南アルプスのシカの話。

 

 南アルプス全体にシカは、おそらく10万頭は確実にいます。数年前に、既に各県で発表されていた長野、山梨、静岡の鳥獣保護管理計画にあった推定生息頭数を集計したところ、20056年頃に調査した結果で南アルプス一帯では6万頭になりました。その当時静岡県は伊豆にかかりきりで、南アルプス地域の調査ができていなかったため、私の勝手な推測で1万頭にしましたが、最近調査結果が出て、1万頭程度でしたから、その当時もう少し少なかったかもしれません。

シカの増加率は年20%と言われていますから、4年で2倍になります。その頃からいままで南アルプス核心部に頭数を減らす有効な対策は打たれていませんから、そのまま2倍になっているとしたら、今は12万頭を越えている計算になります。最近豪雪によるシカの死亡は情報がありません。

 

伊那谷側の猟師にヒアリングしたときに、伊那谷側では、それほど多くないと言われていました。そして南アルプスの稜線では、お花畑がほとんど食害を受けて消えかかっています。中部森林管理局の調査に詳しく報告されています。(平成18、19年)


http://www.rinya.maff.go.jp/chubu/policy/business/conservation/sika_higai_2007/index.html


早川町では前に書いたような状態、静岡からの入山口、大井川源流の畑薙湖からさわら島ロッジ、二軒小屋にかけての林道脇の食害も
、一昨年白旗史朗さん主催の「南アルプス100人会議」に参加したときに視察しましたが、ひどいものでした。

南アルプスのお花畑は、柵で保護されて、私たちは柵の中の高山植物を鑑賞するしかないのですが、

 

 

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(撮影:新井和也氏)

その外側はシカが食べ放題です。高山植物を保護する目的は、いつか自然が回復したときの遺伝資源としてとっておくためだそうです。(静岡大M教授)

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全国のシカの増加

全国で確実にシカが増えすぎて森林が食害されている地域をあげれば、北海道では全域。全域に広がっているので、地域すべてをあげるわけにいきませんが、代表的には、知床、阿寒、白糠、上川盆地、日高、釧路湿原。

東北では、五葉山、金華山。関東では日光、尾瀬、足尾、赤城、奥秩父、奥多摩、丹沢。中部では伊豆半島全域、富士山麓、南アルプス、八ヶ岳、美ヶ原、北アルプス、鈴鹿山地、紀伊半島全域、滋賀県全域、福井嶺北、京都北部、兵庫県全域、徳島高知県境、高知愛媛県境(四万十流域)、祖母傾山系、綾の森、霧島、屋久島

 

北海道では2000年に道庁が、「エゾシカは道内に16万頭」と調査結果を公表しました。9年後2009年には「エゾシカは道内に64万頭」しかも増え続けていると発表しました。この間、計画にしたがって目標には少々達しないものの、狩猟・管理捕獲は継続して行なわれています。

 

東北では岩手南部の五葉山が中心ですが、先走りのオスが八戸市内で見つかっています。秋田県境も越えて仙北でオスが何頭か見つかりました。地域を拡大中です。白神山地や八甲田山はすぐそこです。

 

尾瀬では、環境省の推定数字で、1000頭のシカが侵入しています。シカの痕跡は木道からはっきりと見えます。

 

屋久島では、西部林道の植生が食べつくされている様子が映像で見られます。

http://www.youtube.com/watch?v=7QduSE43bMA
http://www.youtube.com/watch?feature=endscreen&v=o9pUOVX1qSc&NR=1
http://www.youtube.com/watch?feature=endscreen&v=5fgQ9G5-qC0&NR=1
http://www.youtube.com/watch?v=ArQR9Q7fFgY&feature=related
http://www.youtube.com/watch?feature=endscreen&v=TE-ck8FsYTI&NR=1
http://www.youtube.com/watch?v=sM_-MmVwa-Y
http://www.youtube.com/watch?v=sjqQ4hrKANo&feature=related

 鳥獣保護管理計画によるシカの増加抑制は、どこでもうまくいっていません。半数くらいでも成功例があるなら従来のやり方に有効性が認められるといってもいいですが、どれ一つ成功していないのに、このやり方を見直さないのはどういうことでしょうか。

 このような事実を基に議論したいのです。

 

 

 

人間がシカの増加を抑制できるのか。

 

早川町の猟師の親方は、オオカミなどいらない、自分たちでできるといわれていましたが、事実はそれを裏切っています。その時点で既に、もう無理だろうというひどさと広さを感じました。山の険しい保護区では人間は自由に動き回れませんし、3000mの稜線には行きたがりません。

大井川源流の唯一の30代の猟師は、ヘリで送迎してくれるなら行ってもいいかも、と言っていたそうです。

 

 

・山麓で獲っていれば減るのか

 狩猟者登録で唯一増えているのが、60歳以上のわな猟師です。畑作を守るための窮余の対策でしょう。畑のある地区でわなをかければ、うまくいって一人年間100頭くらいは獲れるようです。でもそれで減るのでしょうか。核心部は野放しです。

 

 

犬を訓練してシカを追うようにすれば、シカが減らせるのか

 

 農水省の幹部は、こんなことを言っているそうです。「全国で10万頭の野犬が処分されているんだから、これを訓練してシカを追うようにすればいい」その幹部はそのアイデアをすばらしいアイデアだと本気で考えているようでした。

 

 犬が野犬化したら

 

 

 その中にどんな犬が含まれているかわかりませんが、山に(偶然か故意か)放たれた猟犬に登山道で遭遇したことがあります。一直線に吠え掛かってきました。今考えれば飼い主と間違えて走りよってきたのかもしれませんが、ちょっと恐怖を感じて隠れました。犬が放獣されれば人間を恐れない野犬ができます。それは「安全」ですか?

 

オオカミ再導入を一つの選択肢として、「議論の俎上に載せて欲しい」と私たちは言っています。

 環境省、WWF、日本自然保護協会が主催する意見交換会でそう訴えました。

環境省の担当官は、多少理解してくれたようです。

自然保護協会は黙って聞いていました。

某自然保護団体は鼻で嗤いました。

 

 もう一つ私が聞いたシカ研究者のコメントを紹介しましょう。

 

梶光一(昨年の知床世界遺産報告会シンポジウムで:横浜)⇒現東京農工大教授(野生生物保護管理研究室)・元北海道庁シカ対策担当・知床エゾシカ科学委員会座長



30年シカを研究してきたが、これほど恐ろしい動物だとは思わなかった」

 

 

 

自然研 某(数年前:今は意見を変えているかもしれませんので、名前は伏せます)

オオカミ再導入をどう考えるかと問いかけたときに「シカを全部獲り尽すか、あきらめるか(シカ対策をあきらめ自然がぼろぼろになっても仕方ない)、どちらかしかない」(つまりオオカミ再導入はありえない・論外)

 

あきらめたら、終わりです。

なぜオオカミ再導入が必要か①~山梨県早川町 シカの急増の様子




オオカミ再導入を語る前に、山間地の森と集落の現状を知る必要があります。

3年前に山梨県早川町でこういう景色を見ました。

 

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富士川から県道に入ってすぐのカーブのところに早川町の案内看板がありますが、そこから県道脇の斜面を何箇所か覗いて撮った写真です

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これは西山温泉慶雲閣の裏手の渓谷を渡ったところにある、廃業した民宿の裏の急斜面です。

 

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 地面は掘り返されてザクザクになり、登っていくとこの土に足首まで埋まります。ディアラインがくっきりと出ているので写真に撮っておきました。

このへんの今の状態がどうなっているのか、どなたかご存知ですか。

 西山温泉蓬莱館の主人に聞いたところでは、この2~3年前からの現象だということでしたので、今から5~6年前からシカの生息密度が急速に上がったことが推測できます。

 

 

 ヘルシー美里の所長がシカの個体データの記録を取り始めたのもこのときの1~2年前と聞きましたから、シカの増加が意識されたのは、やはり5~6年前からだと推測します

 

 

 猟師の一人である役場のF課長に聞くとこのような状態は「山頂まで続いている」という返事でした。

そうだとすると、このような状態になるまで数年しかかかっていないシカ密度は相当高いと推測できます。あてずっぽうでいうと局所的には平方キロあたりシカが100頭を越えていないとこんなにはならないと思います。

 推測の根拠は、天城山系の禿山化です。

 

 こちらは天城峠の様子。2年前です。局所的には平方キロあたり100頭を越えるとこのようなことが起きるようです。

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(静岡県の調査と、この写真のような自分の目視の比較による推測です

 

 

この状況に、早川町はいま、対策をは持っているのでしょうか。

 

 

HP

http://www.town.hayakawa.yamanashi.jp/

 

 

鳥獣被害防止は、農業被害だけを対象としているようです。

 

麓の直売所 cedar & deer Café≫

 

http://cocoroto.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/cedar-deer-caf-.html

 

 町にできたカフェのコンセプトにはこう書かれています。

「地球温暖化による集中豪雨が原因で土砂崩れが多発し南北を結ぶ1本の県道が1年中どこかで分断を余儀なくされる」

 

 カフェのコンセプトでは、獣害問題と、土砂崩れが結びつけて考えられていないようですが、

道路わきの斜面を見たことがある身としては、関連づけて考えざるをえません。

 

れらの写真は、山梨県庁のみどり自然課に送って注意を促しました。そのためかどうか知りませんが昨年調査結果が出たと新聞で読みました。

 

次に狩猟者の話。奈良田温泉のご主人がこのあたりの猟師の親方だそうです。このときに話を聞きました。

 

早川町全体で30年前に140人いた猟師は、このとき約30人。4分の1以下です。

 

ご主人が息子さんを含めて若手猟師を育てているので、早川町は比較的年齢が若く、30代も複数います。それでも狩猟者数の減少は止めることができません。

 

早川町全体の人口が30年前の4分の1になっているからです。(WIKIPEDIAによる)

 

奈良田温泉の奥に野生動物保護区がありますが、地元ではそこがシカの繁殖地だとみて、私が訪ねた半年前に初めて管理捕獲の為20人の猟師隊を編成しました。

 

結果は23頭しか獲れなかったそうです。山が険しすぎるためです。これも猟師さんに聞いた話です。

2012年5月 4日 (金)

オオカミは危険か?オオカミ生息地の人々

オオカミは世界各地に生息していますので、そこで生活していた人たちが日本にたくさん来られています。生活の中で、またアースデイなどでお会いするかたに尋ねています。

「オオカミは危険ですか?あなたの故郷でオオカミは人を襲っていますか?」

お聞きしたコメントをここに書き連ねていこうと思います。

ツルネンマルテイ(参議院議員) 「フィンランドには200頭くらい棲んでいるはずだけど、人が襲われた話は聞いたことがないです。」

 

●インドのラダック地方から来日している人(2011年アースデイ)「オオカミはこわい存在です。貴重な家畜を襲われたら生活ができなくなる」「人間を襲うから怖い、とは思いませんか?」「そう思ったことはない(笑)。オオカミは、人間は食べない」

中国東北林業大学(ハルピン)教授「中国人がオオカミを食べることはあっても、オオカミが人を食べるとは聞いたことがない」

中国東北部(旧満州)出身の中国人「裏の山にいるけど、怖くない。人が襲われたなんて聞いたことない」

 

●マグヌス・ヴェッセル(ドイツNABUウェルカムウルフプロジェクト担当)「ドイツには2000年ごろからラウジッツ地方に定着し、増え始めて10年たちますが、私はまだ見たことがありません。人が襲われることもありませんでした。」

CWニコル(2012年アースデイ・アースデイトークにて)「オオカミは礼儀正しい動物だ。人は襲いません」

ボストン出身アメリカ人(2012年アースデイ来場者)「カナダでキャンプしたときに、遠吠えを聞いた。ちょっと怖かったけどね」

2012年5月 2日 (水)

【童話】Wolf Island

Wolf Island              Celia Godkin(絵・文) 1987

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小さ島に住むオオカミの家族といろいろな動物や植物たち。

小さ島には、だれにとっても十分な食べ物があり、みんなが幸せに暮らしていました。

うっかり流れ着いたいかだに乗ってしまったため、島からオオカミの家族がいなくなってしまいました。

2年後、オオカミに食べられなくなったシカが増え始め、小さ島には多すぎるくらいになりました。

さらに1年後、

 小さ島のウサギはおなかがぺこぺこ。シカにエサを食べられてしまったから。

 

 小さ島のキツネもおなかぺこぺこ。うさぎが減ってしまったから。

 

 小さ島のネズミはおなかがぺこぺこ。シカが草や木の実を食べてしまったから。

 

 小さ島のフクロウもおなかぺこぺこ。だってエサのねずみが減ってしまったから。

小さ島とオオカミの家族が渡っていった大き島との間に氷が張って、オオカミの家族が戻ってきました。

オオカミはシカを食べ、シカが草や木を食べつくすことはもうありません。ウサギやネズミの数が元に戻って、キツネやフクロウもおなかを減らすことはありません。

【童話】オオカミのエリック

ちきゅうのなかまたち

   オオカミのエリック 

         ビッキー・イーガン(文) ダニエラ・ルカ(絵)

         秋篠宮紀子(構成・訳)    2007

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【監修者のことば】

オオカミは森や原野で群れを作って生活します。

狩りも群れでおこない、子育てには両親だけでなく、

群れの仲間たちが参加することもあります。

オオカミ特有の生態が絵本の物語にしっかりと反映されています。

                              林 良博(東京大学教授)

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