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« なぜオオカミ再導入が必要か①~山梨県早川町 シカの急増の様子 | トップページ | オオカミは危険か?オオカミ生息地の人々② »

2012年5月 5日 (土)

なぜオオカミ再導入が必要か② 狩猟者の減少とシカの増加

狩猟者全体の状況

 

 

狩猟者登録数は、70年代に50万人を越えていました。そのうち2050歳未満が6~8割を占めていました。シカ猟をしていた人はそのうち2~3割と推測しています。それは現役猟師に聞いた感覚的な割合からの推測です。とすれば、その当時1015万人がシカ猟をやっていた可能性があります。

 

 

それは早川町のような山間地の集落の人たちが主体で、レジャーハンターではなかったと推測します。早川町含む南アルプス一帯の狩猟者から聞き取りをした結果からの推測です。狩猟の目的は、肉を食べることです。今のように牛肉、豚肉がスーパーに並んでいる状態というのは、70年代以前にはなかったため、特に山間地では猟師に肉をもらうことがよくありました。(「日本の食卓」農文協の労作参照。昭和初年ころの山間地では必ず猟師からもらったシカ、イノシシ等の肉が登場します)

 

現状はどうかというと、狩猟者登録は10万人を切ったかもしれません。年齢構成は、平均すると60歳以上が60%、50歳以上にするとで90%です。2050歳未満は10%、全国に1万人です。そのうちシカ猟をするのは、どのくらいでしょうか。10割としても70年代の10分の1です。推測した比率どおり2~3割としたら、30分の1です。この層が増えていかなければ、長期にわたるシカ増加の抑止力にはなりません。

 

猟師を増やせば問題は解決するという方がいますが、どうやって、何万人まで増やせばシカを抑止できるのでしょうか。

 環境省は方法はあると言いますが(野生生物課)、出てくる対策は規制緩和と農水省のジビエ振興だけです。その程度の対策は、警視庁の猟銃所持規制強化で相殺されてマイナスになります。まして銃の購入、弾薬代、現地までの費用、犬の飼育費用など、管理捕獲に参加するからといっても全部自費です。費用の点からだけ考えても二十代の若者が手を出せる分野ではありません。

**************

南アルプスのシカの話。

 

 南アルプス全体にシカは、おそらく10万頭は確実にいます。数年前に、既に各県で発表されていた長野、山梨、静岡の鳥獣保護管理計画にあった推定生息頭数を集計したところ、20056年頃に調査した結果で南アルプス一帯では6万頭になりました。その当時静岡県は伊豆にかかりきりで、南アルプス地域の調査ができていなかったため、私の勝手な推測で1万頭にしましたが、最近調査結果が出て、1万頭程度でしたから、その当時もう少し少なかったかもしれません。

シカの増加率は年20%と言われていますから、4年で2倍になります。その頃からいままで南アルプス核心部に頭数を減らす有効な対策は打たれていませんから、そのまま2倍になっているとしたら、今は12万頭を越えている計算になります。最近豪雪によるシカの死亡は情報がありません。

 

伊那谷側の猟師にヒアリングしたときに、伊那谷側では、それほど多くないと言われていました。そして南アルプスの稜線では、お花畑がほとんど食害を受けて消えかかっています。中部森林管理局の調査に詳しく報告されています。(平成18、19年)


http://www.rinya.maff.go.jp/chubu/policy/business/conservation/sika_higai_2007/index.html


早川町では前に書いたような状態、静岡からの入山口、大井川源流の畑薙湖からさわら島ロッジ、二軒小屋にかけての林道脇の食害も
、一昨年白旗史朗さん主催の「南アルプス100人会議」に参加したときに視察しましたが、ひどいものでした。

南アルプスのお花畑は、柵で保護されて、私たちは柵の中の高山植物を鑑賞するしかないのですが、

 

 

_

(撮影:新井和也氏)

その外側はシカが食べ放題です。高山植物を保護する目的は、いつか自然が回復したときの遺伝資源としてとっておくためだそうです。(静岡大M教授)

******************

 

全国のシカの増加

全国で確実にシカが増えすぎて森林が食害されている地域をあげれば、北海道では全域。全域に広がっているので、地域すべてをあげるわけにいきませんが、代表的には、知床、阿寒、白糠、上川盆地、日高、釧路湿原。

東北では、五葉山、金華山。関東では日光、尾瀬、足尾、赤城、奥秩父、奥多摩、丹沢。中部では伊豆半島全域、富士山麓、南アルプス、八ヶ岳、美ヶ原、北アルプス、鈴鹿山地、紀伊半島全域、滋賀県全域、福井嶺北、京都北部、兵庫県全域、徳島高知県境、高知愛媛県境(四万十流域)、祖母傾山系、綾の森、霧島、屋久島

 

北海道では2000年に道庁が、「エゾシカは道内に16万頭」と調査結果を公表しました。9年後2009年には「エゾシカは道内に64万頭」しかも増え続けていると発表しました。この間、計画にしたがって目標には少々達しないものの、狩猟・管理捕獲は継続して行なわれています。

 

東北では岩手南部の五葉山が中心ですが、先走りのオスが八戸市内で見つかっています。秋田県境も越えて仙北でオスが何頭か見つかりました。地域を拡大中です。白神山地や八甲田山はすぐそこです。

 

尾瀬では、環境省の推定数字で、1000頭のシカが侵入しています。シカの痕跡は木道からはっきりと見えます。

 

屋久島では、西部林道の植生が食べつくされている様子が映像で見られます。

http://www.youtube.com/watch?v=7QduSE43bMA
http://www.youtube.com/watch?feature=endscreen&v=o9pUOVX1qSc&NR=1
http://www.youtube.com/watch?feature=endscreen&v=5fgQ9G5-qC0&NR=1
http://www.youtube.com/watch?v=ArQR9Q7fFgY&feature=related
http://www.youtube.com/watch?feature=endscreen&v=TE-ck8FsYTI&NR=1
http://www.youtube.com/watch?v=sM_-MmVwa-Y
http://www.youtube.com/watch?v=sjqQ4hrKANo&feature=related

 鳥獣保護管理計画によるシカの増加抑制は、どこでもうまくいっていません。半数くらいでも成功例があるなら従来のやり方に有効性が認められるといってもいいですが、どれ一つ成功していないのに、このやり方を見直さないのはどういうことでしょうか。

 このような事実を基に議論したいのです。

 

 

 

人間がシカの増加を抑制できるのか。

 

早川町の猟師の親方は、オオカミなどいらない、自分たちでできるといわれていましたが、事実はそれを裏切っています。その時点で既に、もう無理だろうというひどさと広さを感じました。山の険しい保護区では人間は自由に動き回れませんし、3000mの稜線には行きたがりません。

大井川源流の唯一の30代の猟師は、ヘリで送迎してくれるなら行ってもいいかも、と言っていたそうです。

 

 

・山麓で獲っていれば減るのか

 狩猟者登録で唯一増えているのが、60歳以上のわな猟師です。畑作を守るための窮余の対策でしょう。畑のある地区でわなをかければ、うまくいって一人年間100頭くらいは獲れるようです。でもそれで減るのでしょうか。核心部は野放しです。

 

 

犬を訓練してシカを追うようにすれば、シカが減らせるのか

 

 農水省の幹部は、こんなことを言っているそうです。「全国で10万頭の野犬が処分されているんだから、これを訓練してシカを追うようにすればいい」その幹部はそのアイデアをすばらしいアイデアだと本気で考えているようでした。

 

 犬が野犬化したら

 

 

 その中にどんな犬が含まれているかわかりませんが、山に(偶然か故意か)放たれた猟犬に登山道で遭遇したことがあります。一直線に吠え掛かってきました。今考えれば飼い主と間違えて走りよってきたのかもしれませんが、ちょっと恐怖を感じて隠れました。犬が放獣されれば人間を恐れない野犬ができます。それは「安全」ですか?

 

オオカミ再導入を一つの選択肢として、「議論の俎上に載せて欲しい」と私たちは言っています。

 環境省、WWF、日本自然保護協会が主催する意見交換会でそう訴えました。

環境省の担当官は、多少理解してくれたようです。

自然保護協会は黙って聞いていました。

某自然保護団体は鼻で嗤いました。

 

 もう一つ私が聞いたシカ研究者のコメントを紹介しましょう。

 

梶光一(昨年の知床世界遺産報告会シンポジウムで:横浜)⇒現東京農工大教授(野生生物保護管理研究室)・元北海道庁シカ対策担当・知床エゾシカ科学委員会座長



30年シカを研究してきたが、これほど恐ろしい動物だとは思わなかった」

 

 

 

自然研 某(数年前:今は意見を変えているかもしれませんので、名前は伏せます)

オオカミ再導入をどう考えるかと問いかけたときに「シカを全部獲り尽すか、あきらめるか(シカ対策をあきらめ自然がぼろぼろになっても仕方ない)、どちらかしかない」(つまりオオカミ再導入はありえない・論外)

 

あきらめたら、終わりです。

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コメント

僕は今この勉強をしているのでやくにたちました。ありがとうございます。

亮太さん
お読みいただき、ありがとうございます。
南アルプスのシカは、増え続けています。
八ヶ岳も、富士山麓も、樹海も、です。
直接的な駆除は、ごく短期には必要ですが、長期の策ではありません。

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