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2012年6月

2012年6月30日 (土)

丹沢のシカとヤマビルとブナ林枯死の関係

神奈川県丹沢では、シカの増加とともに、登山道でのヤマビルの増加に悩まされています。登山者が、森に入れば上からの攻撃、登山道を歩けば足元からの攻撃に遭い、必ず何匹かをくっつけて下山することになるそうです。

ヤマビル対策に新事業

薬剤・機材の経費に補助も

2012年6月30日号

http://www.townnews.co.jp/0610/images/20120628050409_135663.jpg

ヤマビルを駆除する組合員ら

 人や動物の血を吸うヤマビルの被害軽減に向け秦野市では今年度から、ヤマビル被

害防止対策事業を新設。これまでの生息調査や森林整備に加え、ヤマビル用殺虫剤を

用いた積極的な駆除など、踏み込んだ対策を実施する。

 市内でヤマビル被害が初めて報告されたのは1998年頃から。北地区や東地区で

報告があり、ここ数年で生息域は上地区、西地区、北地区まで拡大している。

 湿った山中に生息するヤマビルは、本来広い範囲を移動する生き物ではない。シカ

やイノシシなどの野生動物に付着し、動物が人里近くまで出没するようになると人へ

の被害が増え、生息域も拡大し始めた。


 市ではこれまで、地下水に配慮して薬剤での駆除を極力控えてきた。落ち葉かきな

どで地面を乾燥させ、ヤマビルが生息しにくい環境を作ることで対策してきたが、生

息域の拡大は抑えられず、近年の登山ブームで入山者が増加していることもあり、積

極的な駆除に乗り出すこととなった。

 新設した同事業では114万2千円の予算を計上。農林業団体や自治会などが行う

ヤマビル被害防止活動に対して補助があり、刈払機や殺ヒル剤の購入経費なども補助

の対象となる。環境に影響の少ない殺ヒル剤は一般的な農薬に比べ数倍と高価なた

め、補助を希望する声が多かった。


 6月11日には、同事業の第1回目として丹沢山小屋組合によるヤマビル駆除が戸川

公園付近で実施された。ヤマビルが活発化する梅雨時期にあわせて行われ、組合員な

ど約30人が林道・登山道のヤマビルを駆除した。市環境保全課では「これまでの環境

整備も継続して実施し、具体的な対策マニュアルの配布や研修会を実施することで、

市と地域住民の協働でヤマビル駆除にあたる」と話す。

拡大防止に向けシカの管理捕獲も

 ヤマビルの生息域を広げる要因となっている野生動物についても、市では県と連携

して対策を進める。

 特にシカについては増加が激しく、「昭和50年代の禁猟により個体数が増えすぎ

て、既に餌が足りていない状態(同課)」で、市内では農業被害が1件で数百万規模

にもなるケースもあるという。

 シカの数を管理している県では、丹沢山系でのシカの個体上限を5千500頭とし

ているが、管理捕獲の頭数を増やして5年間で生息数を1500頭まで減らす計画

だ。同課では「ヤマビルや人里の農業被害防止という面もあるが、管理捕獲を増やさ

なくては、シカの生態系維持にも影響が出るほどに増えている」と現状を話す。

秦野タウンニュース

http://www.townnews.co.jp/0610/2012/06/30/149955.html

 

****************


                                  

丹沢の報告書を読むと、シカとヤマビル以外にもう一つ増えている生物があります。

「ブナハバチ」

http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/youtyuu/HTMLs/bunahabati.html

 

  丹沢ではその幼虫が時折大発生して、ブナ林を食い荒らしています。

奈良県の大台ケ原の森を食べつくしたのは、シカだけが言われていますが、

丹沢では、自然保護にあたる人たちは、この「ブナハバチ」のほうを問題視しています。

上記サイトを見ると、丹沢だけでなく、日光・台高山脈・大峰山脈でも大発生したとあります。

また、生態はまだ明かでないとも。
                         

丹沢に拘る自然保護関係者は、丹沢のブナ林が枯れ始めているのは、

このブナハバチが原因であって、シカが主原因ではない、と主張されています。


                              

この大発生の地域は、いずれもシカが爆発的に増加している地域ですね。

因果関係はないのでしょうか。

                            

丹沢に限って言うと、ここで増加している生き物は、

①シカ   ②ヤマビル   ③ブナハバチの幼虫

そしてブナハバチの幼虫は、ブナを食い荒らして、どこかに消えてしまいます。

丹沢の報告書を読んでも、その成虫がどこでどうしているか、記述はありません。

生態も明らかでないわけですが、いくつかの昆虫図鑑等を(ネット上で)当ると

その成虫は肉食だそうです。

                      

ここからは私の推測になりますが、この3つの増加には因果関係があるのではないでしょうか。

シカの増加とヤマビルの増加は既に関係があるとされています。

シカが増加した結果、ヤマビルが増加し、地域を拡大しています。

私の推測は以下です。

ヤマビルが増加したため、それを捕食するブナハバチの成虫が増加する。 

ブナハバチの成虫が増加すれば、繁殖のため幼虫が大発生。 

ブナハバチの幼虫がブナを食べつくし、丹沢のブナ林を枯らしている。

                       

その結果見られる景観がこの写真です。(神奈川猟友会会報平成21年1月号表紙)

撮影場所は、檜洞丸南面石棚尾根。

Photo

この因果関係は

●ブナハバチの成虫が肉食であり、ヤマビルを食べて増えているか

ということがポイントです。

このリンクが成り立つなら、やはり丹沢のブナ林枯死の最大の原因はシカの増加であるということになります。

他の地域のシカの増加も、同様の経過をたどる可能性があります。



                                         

2012年6月24日 (日)

なぜオオカミ再導入が必要か⑤~④の補足:最近の獣害ニュース

東京では、全国紙も地方版は東京圏や多摩圏埼玉圏版などで、地方紙や全国紙の地方版を読むことはできません。

よほどテーマを絞って、毎日のように検索していれば別ですが、一般の人が地方の獣害ニュースを目にすることは稀でしょう。

にもかかわらず、獣害のニュースが入ってきて、知ることになったというのが、東京の獣害情報事情だろうと思います。

仲間の一人に、毎朝地方紙、地方版、ローカルテレビのニュースを検索している人がいます。

そのニュースを、シカ、獣害、被害金額、狩猟、駆除等のキーワードで並べてみます。

5月末からの1ヶ月足らずの期間です。

一番最後の記事は、信州伊那のたぶんケーブルテレビですが、これだけ4月です。

捕獲頭数等、興味深い記事でしたので、これだけ付け加えました。


いずれにせよ、森で増えたシカやイノシシが、里山に押し出してくることは事実として確認できると思います。

このニュースの各地は、獣害対策をやっていないどころか、必死になって獣害を抑えようとしています。

それでも、シカの増加に打ち勝つことは、「無理」というしかありません。

鳥獣被害リーダー育成研修

(高知県)

シカやイノシシ、サルなど野生動物による県内の農業や林業の被害額は2010年

度、2億4600万円にのぼり、ここ数年高止まりで推移している。このため、県は

今年度から地域の被害対策の窓口となるリーダーを育成するとともに、県内9JAに

鳥獣被害対策の専門員を配置し効果的な対策の普及や指導に取り組むことにしてい

る。20日、高知市の県教育センター分館で開かれた研修会には、県内の自治体をは

じめ農業や林業団体の担当者ら37人が参加し、鳥獣被害の現状や対策について説明

を受けた。研修会は今年11月までに4回開かれ参加者は被害の現状や取り組みを学

ぶ。

[ 6/20 14:34 高知放送]

http://www.teny.co.jp/nnn/news8772180.html

 

友会の会員が減少/釧路

2012年06月20日

 ヒグマやエゾシカなどの駆除を担っている猟友会の減少が続いている。会員の高

齢化に加え、銃規制が強化されたことなどが原因で、北海道猟友会釧路支部(花田實

支部長)では、ピーク時の1977年に855人いた会員数は12日現在で204人

まで落ち込んだ。今年は釧路・根室地方でヒグマの目撃件数が多発しており、野生動

物管理の分野でハンターへの期待が高まっているだけに、会員を取り巻く環境は厳し

さを増している。

釧路新聞

http://www.news-kushiro.jp/news/20120620/201206204.html

 

シカ一掃目標、13年度達成困難との見通し 出雲市

 出雲市は、2013年度末までに市北部の湖北山地(北浜~伊野地区、5287ヘ

クタール)でニホンジカを一掃するとした計画目標について、達成困難との見通しを

明らかにした。態勢強化によって11年度だけで約700頭を捕獲したものの、生息

頭数の推計値が増えているため。市はさらなる捕獲強化策を講じるとしている。

【詳しくは本紙紙面をご覧ください】

('12/06/20)

山陰中央新報}

http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=532658004

 

昨年度、農作物の獣害6.3%減

 昨年度のイノシシやサルなどによる県内の農作物被害は3億2829万円で、前年

度より6・3%減ったことが県のまとめでわかった。農家が取り組んでいる落果の回

収や、電気柵設置に対する補助拡充などが功を奏したとみられる。

 県農業環境・鳥獣害対策室によると、イノシシによる被害が1億7359万円(前

年度比1060万円減)と被害金額の53%を占めた。サルは4745万円(同55

6万円減)で14%、シカは3946万円(同833万円減)で12%だった。

 イノシシなどの被害が減る一方、アライグマは前年度より約300万円増えて3

439万円、カラスは約480万円増えて1826万円となった。

 イノシシとアライグマは県内全域で被害が報告されているのに対して、サルとシ

カの被害は有田市以南の紀中、紀南地域で多かったという。

 被害を受けた作物別では、県内の耕地面積の6割を占める果樹が最多で78%。次

いで、野菜9%、水稲8%だった。

 被害が前年度より減少した背景には、電気柵などの設置補助の条件の緩和や、県

猟友会主催のわな猟免許試験のための試験前講習会受講費への全額補助実施など、県

の補助施策の拡充が一因。さらに、野生動物の隠れ家となる耕作放棄地の草刈りや、

落果したり、出荷できなくなったりした作物を放置せず、回収するといった農家の努

力があるとみられる。

 同課は「破れた電気柵を一度くぐり抜けた動物は、恐怖心を感じなくなり、通電

している場所からも侵入してしまう。農家は対策を地道に続けてほしい」と話してい

る。

(2012年6月18日  読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/wakayama/news/20120617-OYT8T00755.htm

 

南アルプスでニホンジカ広域捕獲

(2012/6/15放送)

 伊那市など、関係する市町村や県などでつくる南アルプス食害対策協議会は15日、

伊那市長谷の大平山荘周辺でニホンジカの広域捕獲を行いました。

 大平山荘周辺は、鳥獣の捕獲が禁止されている鳥獣保護区ですが、ニホンジカによ

る食害が問題となっているため、県の許可を得ての実施となりました。

 南アルプスの高山植物をシカの食害から守るため個体数を調整しようと、長野県と

山梨県の両側から捕獲が行われています。

 長野県側では、長谷の猟友会員の他、県や市の職員およそ20人が参加しました。

 猟友会員らは、南アルプス林道バスのルートから50メートルほど奥に入った山中

で、ニホンジカの通り道を探して、くくり罠をしかけていました。

 山中には、ニホンジカの物と見られる糞が落ちていた他、木の皮が食べられた比較

的新しい跡などがありました。

 伊那市長谷猟友会の北原幸彦会長は「これ以上ニホンジカが標高の高い位置に移動

しないうちに手を打つ必要がある」と話します。

 昨年度上伊那地域の有害鳥獣による農業や林業の被害額は1億8200万円で、うち

56%にあたる1億200万円がニホンジカによる被害となっています。

 昨年度は、7332頭のニホンジカを捕獲していて、県では今後被害額が減少すると

みています。

 15日仕掛けた50個の罠は、24日まで毎日猟友会員が見回ることになっています。

伊那MYウェブ

http://inamai.com/news.php?c=norin&i=201206151825120000047493

 

鹿 広域捕獲隊を編成 密集地へ重点派遣 ハンター120人雇用 長野県

(2012年06月16日)

 農林業被害をもたらす野生鹿の捕獲を強化するため、長野県は今年度、ハンターを

雇用して生息密度が高い地域に送り込む作戦に着手した。市町村をまたぐ「広域捕獲

隊」を編成して生息地に派遣。わななどの資材も県が支給する。地区や市町村単位で

行っている捕獲を地域全体で取り組めるようにし、担い手不足の解消と効果的な捕獲

の両立を図る。総勢約120人の隊員が、シーズン中に4000頭を捕獲する目標

だ。

http://www.agrinews.co.jp/uploads/fckeditor/2012/06/16/uid001010_20120616120

                     
9047c8e0aa5.jpg

捕獲隊は、市町村単位の猟友会を県の10広域ごとに束ねて編成した。各隊は指導役を含めて10人前後。各地のハローワークを通じ、月10日以上の出動を条件に狩猟免許を持つ人材を雇用した。国の緊急雇用創出基金を活用し、出動1人当たり日額1万円を支給する。

 捕獲を集中させる地域は、県の調査による個体群の生息分布を基に設定した。捕獲

を担う猟友会は市町村や地区ごとの活動が慣例で、生息密度が高くても捕獲が手薄な

地域が多くあるのが実情。捕獲隊はこうした地域や生息数が多い地域を重点的に狙

う。

 捕獲隊の編成は、ハンターの技術向上も狙いの一つ。県は5月末、隊員を一堂に集

めて研修会を開き、指導役の熟練ハンターが、くくりわなの設置方法とノウハウを伝

えた。野生鹿は県南東部に多く生息しており、県内でも地域により捕獲技術や手法が

異なる。県北部の隊員は「上手な掛け方を初めて知った。目からうろこ」と喜んでい

た。

 県の調査によると、野生鹿の県内生息数は10万頭余り。農林業被害は年間5億4

000万円と、野生鳥獣による被害全体の4割に及ぶ。県は今年度、前年実績と比べ

1万頭多い3万5000頭の捕獲を目標に設定。野生鳥獣対策の関連予算に前年度比

23%増の11億円余りを計上し、対策強化を打ち出している。

日本農業新聞

http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=14854

                           

鳥獣被害:11年度県内、1割減少 防護柵と報奨金が浸透 /大分

毎日新聞 2012年06月15日 地方版

 11年度の県内の鳥獣被害は10年度比約1割(3340万円)減の約3億128

0万円で過去10年で2番目に低い被害額だった。

 14日の鳥獣被害対策本部会議で県が報告。防護柵が10年度の約712キロから

1282キロに増え、10年度創設の猟期中の鹿捕獲報奨金が浸透して鹿捕獲頭数が

過去最多の2万7811頭に増えたため。

 県は新たな鹿対策としてムカデシバ植栽を広める。冬に枯れ、餌を減らせる。被害

多発地域にネット柵を設置して年約150頭、5年で750頭を目標に捕獲する。6

月にはイノシシと鹿肉が地域産業資源に指定され、県基金事業に申請可能となった。

【佐野優】

http://mainichi.jp/area/oita/news/20120615ddlk44040654000c.html

                         


愛媛のニュース2012年06月13日(水)

県内11年度鳥獣被害19%減 3億5428万円

 県は12日、野生鳥獣による農作物被害金額が2011年度は3億5428万円

で、前年度より19%減少したことを明らかにした。10年度に松山市島しょ部で激

増したヒヨドリによる被害が1256万円(対前年度82%減)と大幅に減ったこと

が主な要因。

 12日に同市上難波の県農林水産研究所で開いた県鳥獣害防止対策推進会議で報

告した。

 地域別では、南予が2億1297万円(40%減)と全体の6割を占め、中予が7

797万円(13%減)、東予が6334万円(7%増)。中南予では減少したもの

の、東予では増加した。

 鳥獣類別ではイノシシが全体の約7割を占める2億4090万円(3%減)。次

いでカラス3763万円(20%減)、サル2177万円(14%減)、シカ154

6万円(8%減)―など。

 作物別では果樹2億4458万円(20%減)、稲・麦5170万円(15%

減)、野菜1851万円(17%減)。

愛媛新聞

http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20120613/news20120613631.html

                  

ニホンジカ:野生鳥獣対策連絡協が初会合 北アの目撃情報受け /長野

 

毎日新聞 2012年06月13日 地方版

 北アルプス山麓(さんろく)でニホンジカの生息の可能性が出ている問題で、環境省や林野庁、長野県などは12日、松本市で「中部山岳国立公園野生鳥獣対策連絡協議会」の初会合を開いた。長年、非生息地とされてきた北アでの鹿の目撃情報を収集したマップ作成の他、年度内に鹿の侵入防止目標などを盛り込む対策方針を策定する。

 協議会は環境省長野自然環境事務所や林野庁中部森林管理局の他、長野、岐阜、富山、新潟4県と松本市と白馬村で構成。近年、北アで鹿の目撃情報や痕跡が数多く発見され、林野庁は11年度の生息調査で「生息が推測できる」と報告した。

 初会合では各団体が今年度の取り組みを報告。環境省は白馬岳と、上高地−乗鞍岳の計2地域で自動撮影カメラなどによる生息密度と移動経路調査を実施する。長野県は猟友会や市町村との協議会を18日に設置し、捕獲方法などを検討する。

 事務局を担当する長野自然環境事務所の小沢晴司所長は「北アではまだ鹿による甚大な被害は出ていないが、関係機関が情報を共有し、貴重な高山植物を守る体制を構築していきたい」と強調した。【渡辺諒】

http://mainichi.jp/area/nagano/news/20120613ddlk20040062000c.html
 

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2012年6月22日 (金)

なぜオオカミ再導入が必要か④~有機農業とオオカミの関係、そしてツルネンマルテイさんのこと

農業とオオカミ再導入は密接な関係がある。

南アルプスのような高山から、森深い低山、谷が切れ込んだ中山間地、なだらかな高原、草深く水路が巡る盆地、広大な海へとつながる平野、すべてつながっているからだ。


一般の農業を担い手たちは、広い土地で大規模化を図る。

有機農業を新たに志す人たちは景色のよい、山も川もあり、さわやかな風の吹く山あいの土地を探すことが多い。

 今の日本の自然の中で、食物連鎖のつながりが途切れてしまっていることはだいぶ知られてきた。オオカミという、動物の世界でも有蹄類を食べることにかけては第一人者である「頂点捕食者」が昔、日本の生態系には君臨していた。

その頂点捕食者を失って
100年。自然にとっては短くとも、人間にとっては長い年月をかけて、頂点捕食者を失った意味が目に見えてきた。
ある特定の動物だけが増えて、周囲に重大な影響を与えるようになっている。



 ある動物の増減をコントロールするものは、誰なのか、研究者の間でもまだ論争が絶えない。

動物の個体数をコントロールするのは、その動物が食べるエサの量だという説。古くからの考えである。これをボトムアップ理論という。

 もう一つは、動物の個体数をコントロールするのは、捕食者、特に頂点捕食者だという説。これは最近40~50年くらいの間に広まり始めた理論。トップダウン理論という。



 どちらが正しいのか、研究者の間でも論争が続き、決着がついていないらしい。


ボトムアップで、エサの量がその動物の数を決めるという理論は、それは正しい、としか言いようがない側面もあるが、
その結果は人間の置かれた環境に大きく影響する。



エサが不足してシカが減った例が日本にもある

ただし、その結末は日本人にとっては悲劇を予感させる。

宮城県の金華山島という小さな島には、今も200~500頭のシカがいる。
捕食者は当然いない。この島は神域であるから、狩猟者も、いない。シカにとっては天国のような島だったのだが、この島には、500頭以上のシカは棲めないらしい。

1984年と、1997年の2回にわたって500頭まで増加したが、そこまでの増加を自然は許さなかった。増えすぎたシカは全島で自分たちの食べるエサを減らし続け、ついに飢餓が始まり、84年、一度に約半数が餓死することとなった。
250頭まで減ったシカは、すぐにまた増え始め、13年後に再び500頭まで到達したときに、またもや大量餓死によって、半数まで頭数を減らした。

いま金華山島は、昔の植生を失い、シバやススキの目立つ草原や、シカの好まない植物だけがわずかに繁茂し、樹木もシカに刈り込まれたような形をしているらしい。いまや金華山の研究者の主要なテーマのひとつが、シカによる植生の改変ということになっている。


エサの量が動物をコントロールするとは、こういうことなのだ。

本州島や北海道の広さは、金華山島の比ではないから、増えた増えたといっても、すべてを食べつくすまでには、まだ時間がかかる
。時間はかかるが、必ず全土、全山に広がるだろう。

低山で増え、高山の植物を食害し、里山に押し出してくる。やがて平地にもやってくる。

中山間地の農業は、この圧力に負ける

中山間地に多い有機農業も大きな影響を受ける

防除の費用をかけられるほど大規模化した農家も少ない。

イノシシは平野部まではなかなか出てこないが、シカは広い畑にも平気でやってくる

北海道の牧草地は、シカにとってみれば気持ちよくエサを食べられる草原に見えるだろう

ボトムアップ、つまりエサがシカの頭数をコントロールするのを待つということは、日本の豊かな緑を失う、ということなのだ。

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2012年6月16日 (土)

オオカミ再導入にいくらかかるか~イエローストーン再導入事例の【事前】調査報告から

イエローストーン国立公園へのオオカミ再導入は1995~96年に行われましたが、その前年に実施前の最終調査報告が内務省魚類野生生物局から出ています。

「Final Environmental Impact Statement」(1994)


414ページにも及ぶ大部な文書なので、必要なところを拾い読みしていますが、その中にオオカミ再導入にかかわる費用の見積もりの1項目があります。日本における再導入の費用を計算するのに、多少の参考になるかと思いますので、翻訳してみました。「代替案1」とあるのは、この報告書自体が、まだオオカミ再導入をいくつかの選択肢の一つとして扱い、他の選択肢と比較しつつ、再導入を提案する、という体裁をとっているためです。

ちなみに他の代替案は、4つです。


Alternative 1: Reintroduction of Experimental Populations Alternative (The Proposal).

Alternative 2: Natural Recovery Alternative (No Action). Encourage wolf populations to naturally expand

into Idaho and Yellowstone.

Alternative 3: No Wolf Alternative. Change laws and prevent wolf recovery.

Alternative 4: Wolf Management Committee Alternative. Establish legislation so the states could

implement wolf recovery and liberal management without federal oversight.

Alternative 5: Reintroduction of Non-experimental Wolves Alternative. Reintroduction and high level of

protection for wolves without establishing an experimental population rule to address local

concerns.


こういうことだと思います。

代替案1:実験個体群を再導入する(推奨)

代替案2:自然復活を待つ。NO ACTION

代替案3:オオカミは絶対に復活させない

代替案4:合衆国が関与せず、州の委員会が独自にオオカミを復活させる

代替案5:地域の関心に配慮した実験個体群という位置づけをせず、再導入する

このうちの代替案1、実験個体群の再導入についての事前の費用見積もりです。実際にこの代替案が採用されましたが、このプランのまま進んでいませんので、この費用はあくまで参考程度になります。


オオカミ再導入案のコスト見積り

代替案1:実験個体群の再導入

                    

パックごと捕獲されてもその地域に大きな影響を与えない個体群を再導入のために捕獲するというルールは、法規によって決まる。10月11月に、パック全体か、群れのメンバーのうちそれと同等の頭数(群れあたり推定4~7頭)が、ヘリコプターによって捕獲され、わなによる捕獲で補充されることもある。

繁殖ペアとその仔オオカミの放獣は、イエローストーン国立公園では、放獣サイト3ヶ所に限定される。当歳仔と他の成獣(およそ15頭)は即座に中央アイダホに放獣される。

11月にはイエローストーンにオオカミ(15頭)が放獣され、オオカミは必要に応じて放獣されたサイトでモニタリングされる。

年に15頭のオオカミがそれぞれのエリアに3~5年間に再導入され、トータルでは各エリアごとに合計で45~75頭になる。

ハードリリースの技術がソフトリリースと同様に成功する場合、またはオオカミの頭数が5年以内に定着する場合、すべてのプログラム費用はこの見積りを下回ることになる。

オオカミ再導入後、オオカミの頭数が定着した後、オオカミはそのエリアで復活まで(子育てペア10パックが3つの復活エリアに3年連続で確認される)モニターされる。(およそ2002年ごろまで)

復活後オオカミは州によって管理される。


                            

Estimate_cost

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