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2012年11月

2012年11月25日 (日)

冬の美ヶ原高原はシカ牧場のようだった

そろそろ長野県の山は雪景色でしょうか。

美ヶ原は、高山植物が咲きほこる季節に劣らず雪に覆われる季節もまた気持ちのよい高原で、スノートレッキングにも最適です。

ところが、です。私が正月休みを利用して訪れたときに愕然としたのが、雪の上に残るシカの糞でした。ガイドの話では、夏の高山植物も花が盛りになり、観光客が訪れる直前にはシカが残らず花を食べてしまい、花の観賞では観光ができなくなっているということでしたが、冬も登ってきている証拠が糞でした。

さらにこんな動画を見つけました。

冬の美ヶ原に登ってきているシカの群れです。


[冬の美ヶ原高原はまるで鹿牧場のようだった]

https://www.youtube.com/watch?v=_6iF6mX73IU&feature=related

これでは、森はたまったものではありません。



ここにオオカミがいたら、と想像してみます。



オオカミは、シカを追い掛け回し、弱い個体を見つけて襲い、エサとします。

Wolf hunting elk - Yellowstone - BBC

https://www.youtube.com/watch?v=bfGP4Xbme3o


(アメリカ・イエローストーン国立公園)




シカは、オオカミの登場により、警戒心を強め、オオカミに襲われても逃げやすい場所を選んで退避します。草原の真ん中でゆうゆうと草を食べるゆとり時間は少なくなります。


Lupi a caccia di cervi nell'innevato Parco Nazionale d'Abruzzo (feb 2012)

http://www.youtube.com/watch?v=8MZTg9Ycj2w&feature=related


(イタリア・アブルッツォ国立公園)


常に警戒し、オオカミに走らされて、繁殖率が下がり、美ヶ原高原でゆうゆうとエサを食べる大群は減り、高山植物は復活するはずです。


2012年11月24日 (土)

「キーストーン種」って何?

オオカミのような捕食者を表現する言葉がいくつかあります。

大型肉食獣、捕食者、頂点捕食者、キーストーン種、キーストーン捕食者

その中で、一般人にわかりにくいのが「キーストーン種」という用語です。

キーストーンという言葉そのものは、建築用語から取られたものであり、アーチを構成する重要な要石になるものを指します。建築用語としても、日本人には意外に理解しにくいものではあります。まずアーチを想像することがありませんし、日本にも要石という言葉が(建築ではない分野で)あるからです。

アーチ構造におけるキーストーンとは、

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%81%E6%A7%8B%E9%80%A0%E5%9B%B3.png

この小さな、最後に打ち込み全体を安定させる楔石のことを言います。

これを生態学に転用し、「少数でありながら、全体を支える役割をもつ種」としてキーストーンという使い方をしました。

日本でいう「要石」のイメージは、これでしょうね。

Kanameisi

地震を起こす大鯰を抑える、「地上部分はほんの一部で、地中深くまで伸び、地中で暴れて地震を起こす大鯰あるいは竜を押さえているという。」(wiki)

ここで少しイメージにずれがあります。日本の要石は、大きな石のようです。


生態学事典では、「キーストーン種」についてこう書かれています。

キーストンとは、ギリシャローマ時代以来のヨーロッパのアーチ建築に見られるごとく、アーチの最上部に据える楔形をした要石のことであり、これががないとアーチは不安定になり崩れてしまう。転じて、生態系における食物網の最上部に位置し、他の種の存在に大きな影響力をもつ種を「キーストン種」とよんだのが(Paine、1969)、生態系におけるこの語の使われはじめである。アメリカ西海岸の岩礁潮間帯において、上位捕食者であるヒトデは、岩礁表在生物のうち競争優位種である二枚貝のイガイ類を好んで食べることにより、後者による空間資源の占有を阻み、結果としてフジツボ、カサガイ類などの競争劣位種の存在を助け、系全体の総種類数を高いレベルに維持する。逆にこの系からヒトデが除かれると、イガイ類による競争的排除が進み、劣位種の個体数が激減したり、系から完全に失われることになる。キーストン種の概念は、もともとこのような「影響力あるいは波及効果の大きい上位捕食者」に適用されてきたわけで、食物網の「上からの制御(トップダウンコントロール)概念、あるいは栄養カスケード概念との結びつきが強い。しかしながら、1980年代から90年代にかけてキーストン種という語は肉食性捕食者だけでなく、植食者・被食者・共生・寄生者なども含めて、群集を構成する他の種の存在に大きな影響を与え、種組成・体サイズ分布・エネルギーの流れなど、群集の特徴を決めるのに顕著な役割を果たしている生物一般に使われるようになり(Menge et al.,1994)、今日に至っている。すなわち、キーストン種であるかないかは、食物網内の位置にかかわらず、系内の他の種に与える影響の程度により決まるとされる。これに伴い、捕食者がキーストン的な役目を勤めている場合には、キーストン捕食者とよび、広義のキーストン種とは区別されることも多い。

(生態学事典)


発行は2003年、編集は日本生態学会 巌佐 庸、菊沢喜八郎、松本忠夫。


最初の「キーストーン」という建築用語から、事典に書かれているような変遷があることはわかりますが、「キーストーン」の小さな楔石というイメージを払拭しないと、理解できないことも多くなってきます。

シカのように圧倒的に数が増えて景観を変えてしまう種も「キーストーン」と呼ばれることがあるからです。

さらに最近になり、鷲谷いずみ「生態系を甦らせる」(2001年)を読み返していて、またまた戸惑うことになりました。


第三章[進化する生態系」で著者は、自然淘汰による適応進化、自然淘汰、という小項目でダーウィンの進化論までの流れを解説してきて、次に「生命の網の目を意識する」という項目で、「種の起源」には生態学のいくつもの分野のさきがけをなしていて、様々な分野はダーウィンから始まったと解説し、生物間相互作用の例として次のように書いています。


「(ダーウィンは)ある一種が侵入したため、群集全体が変わってしまった例について詳しく記述している。例えばダーウィンが紹介しているのは、彼の親戚が所有しているヒース草原の例である。その親戚が何エーカーかにわたってマツ科の常緑高木であるトウヒを植林したところ、まず貧栄養だったヒース草原の植生が大きく変わってしまい、ついで昆虫相が変わり、そこに棲む鳥の種類までが増えたというのである。今ではそうした種を「キーストーン種」と呼び、保全とのかかわりで注目している、その種の侵入や喪失が生物群集の性質を大きく変えてしまうような「要」ともいえる種のことである。ダーウィンは「キーストーン種」という言葉こそつかわなかったものの、そのような種が存在することを明確に意識していたようなのである。」


生態学事典の「キーストーン種」説明の流れを追うと、こうなります。

生態系における食物網の最上部に位置し、他の種の存在に大きな影響力をもつ種を「キーストン種」とよんだ(Paine、1969)

②キーストン種の概念は、もともと「影響力あるいは波及効果の大きい上位捕食者」に適用されてきたわけで、食物網の「上からの制御(トップダウンコントロール)概念、あるいは栄養カスケード概念との結びつきが強い

③1980年代から90年代にかけてキーストン種という語は肉食性捕食者だけでなく、植食者・被食者・共生・寄生者なども含めて、群集を構成する他の種の存在に大きな影響を与え、種組成・体サイズ分布・エネルギーの流れなど、群集の特徴を決めるのに顕著な役割を果たしている生物一般に使われるようになり(Menge et al.,1994)

④キーストン種であるかないかは、食物網内の位置にかかわらず、系内の他の種に与える影響の程度により決まるとされる。


ここまでは動物の食物網内の役割を現す用語として使われてきたようなのですが、鷲谷さんは、これを植物(トウヒ)まで定義を拡張したように見えます。

これは学会のどこかで合意があったのでしょうか。一般向けの図書に書かれるのであれば、当然動物と植物の違い、食物網とかかわりなく適用するという合意や議論があったと見るべきだと思うのですが。それとも生態学の世界では、このようなジャンプは当然のようにあることなのでしょうか。

それともこの言葉自体がいまだにそれほどあいまいなままなのでしょうか?

私のこの疑問は正当でしょうか。それともこのような疑問を持つこと自体間違っていますか?


2012年11月20日 (火)

シカが減ればオオカミも減る~本当か?


 
オオカミは、シカやイノシシ等のエサ動物が減れば、自然と減っていく
「どんだけ都合のいい理屈だよ」
と言われても
イエローストンやロイヤル島では、実例がある。


イエローストンのエルクとオオカミの増減】


Yellowstoneelkwolf_2
ロイヤル島のムースとオオカミの増減】


Photo


イエローストンではエルクが、ロイヤル島ではムースが減り始めるとタイミングが遅れてオオカミも減る。ムースが増え始めるとオオカミも増えている。
 
ドイツでもムースとオオカミの頭数の関係を示したグラフがあるが、公表許可を得ていないので、ここでは、ヨーロッパでも同様の事例があるというだけにする
 
オオカミが、オオカミ自身で頭数を調節する機構は、オオカミの生態の特徴によると考えられる。
関係する特徴は「ナワバリ」「食糧」「死因」の3項目である。



ナワバリ

オオカミのナワバリは強固で、隣接するパック同士は基本的に互いにナワバリを侵さない。ナワバリの間には緩衝地帯があり、面積の4割程度が緩衝地帯である。

ナワバリに侵入した個体とは、死ぬまで闘争する。

食糧

大人のオオカミは食べ物がなくても数日でも何週間でも生き残ることができる。しかし成長ている子オオカミは、彼らの最初の年の秋までに大人と一緒に旅行して、狩りに参加する十分な強さに育つために十分な栄養が必要である。

http://nikkokekko.cocolog-nifty.com/wolf/2012/11/post-5f4d.html

死因(自然死:人間が関係するものは除いた)

オオカミの自然死の原因は主に飢餓により、まず子供が死ぬ。そして次にテリトリーの争いのために他のオオカミに殺される。疥癬やイヌパルボウィルスのような病気やジステンパーはオオカミの頭数を減らす。ライム病はオオカミにも同様に感染する。フィラリアは肺への血流を止めるためオオカミの体力を奪う。獲物から受ける怪我が死につながることもある。子どもの死亡率は変動する。しかし毎年おおよそ40~60%になる。

 http://nikkokekko.cocolog-nifty.com/wolf/2012/10/post-9ccb.html


 

オオカミがエサ動物の減少につれて、減少することを解説した専門家の文章をまだ見つけられていないが、上記の要因から、おおよそこういうことだろうという想像は可能である。


 
エサ動物の生息密度とオオカミ
オオカミのエサになるのは、若齢、老齢、病気、ケガなどの弱い個体である。
オオカミの捕食はエサ動物の群れを健全化し、健全化した群れからエサを獲りにくくなることが考えられる。また捕食やその他の効果によってエサ動物の生息密度低くなれば、エサを獲る機会は減る獲物を確保するため、ナワバリは広くなる。

ナワバリの拡張によって、隣りのパックのナワバリとぶつかることになり互いに闘争による死が、待っている。
捕食機会が少なくなると、飢えにより、まず子どもから死亡率が高くなる。エサ動物が豊富でも子供の約半数が死亡するが、エサが少なくなればさらに死亡率は高くなる。
成獣は、1週間10日エサを食べなくても生き残る可能性が高いが、それでも弱って病気に感染しやすくなる


 

逆に、オオカミが減った場合シカは、一時的に自身の個体数減ったことで、エサ条件よくなることも加わり、増え始める
すると若齢のシカを中心に捕食機会も増え、オオカミの健康状態も回復し、繁殖、子どもの成長の割合も多くなり、今度はオオカミの個体数が回復する

という訳で、エサの有蹄類が減れば、オオカミは減り、有蹄類が増えればオオカミもそれを追って増えるというサイクルが繰り返されることになる。
 
 
 
ボトムアップとトップダウン
ボトムアップ理論、つまり動物の増減はエサしだいであるという理論トップダウン理論、動物の増減は捕食者がコントロールするという理論のどちらが正しいのか、論争は決着していないと聞く

が、素人の感想をいえば、どちらかだけが正しいのではなく、草食獣はトップダウン、頂点捕食者はボトムアップとどちらもありなのだと感じる
少なくとも日本でのシカに関しては、トップダウンでなければ自然調節はできないようだ
なぜなら、日本では、植物の繁殖が旺盛で、植物を食べつくすことはできないからだ。金華山、増えすぎたシカが大量餓死したケースでも、アラスカ等の事例とは異なり、約半数が餓死する程度で終わった。
ボトムアップ理論を大型草食獣に適用した場合、もちろんエサが少なくなることでシカが減ることは減るのであるが、その過程で山野はシカの採食圧で、ぼろぼろになってしまい、植物だけでなく動物も多様性が減少していく

やはり有蹄類等の草食獣は、抑えるものがなければ、自然界に大きな、壊滅的な影響を与える。トップダウンによる頭数抑制が必要なのである。


 
オオカミのような肉食獣、特に頂点にいる捕食者は、上記のようにエサが減れば自然と減ることになる。これこそがボトムアップによる個体数調節であり、オオカミはエサがなくなっても増え続けることなどありえない。
それはオオカミの生態上の特徴によるものである。
 オオカミは、シカやイノシシ等のエサ動物が減れば、自然と減っていく
 

また、種は違うが、生態学の教科書には必ずといっていいほど載っているらしい、オオヤマネコとカンジキウサギの増減グラフを追記しておく。種は違ってもオオカミと同じポジション(頂点捕食者)にいるオオヤマネコは、エサのカンジキウサギの増減に伴って増減し、決して永遠に増えてカンジキウサギを絶滅させることはない。

【オオヤマネコとカンジキウサギ】


Photo_2

2012年11月19日 (月)

なぜオオカミの復活なんですか?イヌじゃだめなんですか?③

ショウさんからご指摘いただきました。コメント欄から、こちらに転載します。

イヌではだめな理由を、ボイターニ博士が教えてくれています。




イタリアの著名なオオカミ学者ルイージ・ボイターニ氏の話によれば、人里から離れた野生下でのイヌは非常に死亡率が高いそうです。

理由の一つが餌を捕れずに餓死すること。人里であれば残飯や家畜の死体、あるいは生きた家畜等、イヌでも捕れる餌がありますが、それらの無い奥山や山岳地帯では、自力で野生動物を捕るしかありません。捕食者に対抗する能力が低い島嶼の小動物(アマミノクロウサギ等)ならイヌでも捕れるでしょうが、シカやイノシシ等、オオカミの捕食圧の下で進化してきた大型獣は、オオカミほど群れの連携が出来ず、咬む力も低いイヌではそうそう捕まらないのでしょう。そもそもオオカミですら若い個体は群れによるハンティングの中で狩りの技術を学んでいくのに、いきなり外に放り出されたイヌに大型獣の狩りは荷が重すぎに思われます。北海道や日光等では野犬によるシカの捕食が確認されているようですが、これらはおそらく遺棄された猟犬出身の個体による仕業なのではないかと思います。


第2の理由に、イヌは出産率が高い(オオカミが年1回に対し、イヌは年2回発情)にも関わらず、子育ては母親しか行わなず、群れのメンバーは子に餌を与えないことから、子イヌが成長出来る確率は非常に低いこと(オオカミはパックが子育てに協力し、若い個体を教育する)。日本の奥山や山岳地帯でイヌを放っても、定着出来る可能性は低いと思われます。にも関わらず国内で野犬が消えないのは、絶えず人間が新しく捨てていることが原因のようです。


これらの点から見ても、やはりイヌにオオカミの代わりは到底務まりそうにありませんね。

2012年11月10日 (土)

イヌとオオカミの違い②~イヌのレパートリー

「オオカミ」(エリック・ツィーメン)から、もう少し引用したくなりました。イヌがどのように育種されているかを解説しています。

『オオカミのレパートリーのうち、どのような行動様式をイヌが習得し、どれを習得しないかイヌの品種によって異なる。すべてのイヌはこの点ではなんらかの形でオオカミ、つまり食肉動物としての性質を残しているのだが、動機と能力はそれぞれの育種の目標ごとにいろいろである。育種においてはしばしば、本来の行為連鎖をなす個々の要因が強調されたり、逆に抑制されたりしているのである。たとえばトラックハウンド(捜査犬)は獲物や犯人の残した跡をたどる作業に特殊化しているし、グレーハウンドは獲物のあとをすばやく追うことに特殊化している。ポインターは発見した獲物の前で忍び寄りの段階のまま、前足を持ち上げて硬直したように立ち止まり、獲物を飼い主に指し示す。

 

~~~~~~~~~

 

Dog meets Wolf
http://www.youtube.com/watch?v=IlyMUOfW6Ko&feature=player_embedded
これはポインターの性質だったのですね。

 

緊張が解けてからのはしゃぎっぷりがかわいい。

~~~~~~~~~

レトリヴァーはしとめられた獲物を探し、飼い主のもとにもってくる。そのとき獲物をこわさないように、できるだけそっとくわえる。これとは逆に多くのテリアは、小型で闘争能力にすぐれた動物をしっかりと捕らえるよう品種改良されており、獲物を激しく振り回して殺す。さらにまた、植物の茂った場所にいる獲物を探したり、長時間の追跡をするように育種されている品種もある。


このようにどの品種も、オオカミの狩りの全レパートリーのうちのほんの一部分において専門家なのである。ある種目に非常にすぐれた競技スポーツ選手のように、こうしたイヌたちも運動能力に十分すぐれているから、他の種目もまずまずのことはできる。これに対しオオカミは、陸上競技選手の中では十種競技の選手のようなものである。狩りのすべての種目を等しくみごとに、そして生涯のとても初期の段階で、すでにマスターする。といってもこれはまったく驚くには当らない。猟犬といえどもエサは人間からもらうのに対し、オオカミは生まれて間もないうちに独力で生きていかなければならないのだから。』

洋犬は、人間の狩猟目的にあわせて細かく作られています。それに比べて日本犬は分類が大きいようです。

日本犬のスタンダードは6犬種で、大型の秋田犬、小型の柴犬を除くとすべて中型犬です。現在5万5千頭の純血種が登録されているそうですが、そのうち8割が柴犬です。

中型犬3種の性質をWIKIで調べてみました。


甲斐犬

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B2%E6%96%90%E7%8A%AC

日本犬種のなかでは中型と小型のあいだの大きさである。

また、狩猟の用途や、原産地、または体型等により、「鹿犬型」(鹿型犬)と「猪犬型」(猪型犬)のタイプがあるが、その区別はあまり明確でない。

 

体高は、オスは48cm前後、メスは45cm前後である。

太く長い毛と、細くてやわらかい短毛が密集している。尾は差し尾、または巻尾で舌斑をもつ個体も多い。耳は他の日本犬と比較して、やや大きい。

 

シカ型は鹿を追っていたとされ、細身で体が長めで、岩場に適応して垂直に飛び上がる力に優れている。

 

イノシシ型は猪を追っていたとされ、胴は短め、体も太めで、真っすぐに突き進む力に優れている。

 

非常に知性が高く、一説では旧日本軍において軍犬として飼育を試みたところ、ジャーマンシェパードの半分の時間ですべての課程を習得したといわれている。 しかし、それらの犬は子犬からの飼育ではなかったため、「一代一主」の甲斐犬は軍関係者を新しい主とは認めず、すべてが脱走してしまい計画は頓挫した。

 

いずれも気性が比較的荒く、日本犬本来の素朴で野性味にあふれた犬である。


紀州犬
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%80%E5%B7%9E%E7%8A%AC

本来の作出目的は、「紀伊山地周辺の山村におけるイノシシの狩猟およびそれに伴う諸作業」であり、一時はシカ狩りにも用いられた。

優れた犬は1頭でもイノシシを倒すと言われるほどの勇猛さで知られ、気性は荒い傾向がある。そのため躾けを怠って野放しにすると非常に攻撃的な性格になり、(特に家族以外の)人間や犬に噛みつく危険性がある。しかし、きちんと躾を施せば優秀な家庭犬になり、小さな子供のいる家庭でも問題なく飼育できる。

日本土着犬の一般的特性として、主人に忠実でよそ者を警戒する性質を持つため、番犬に適している。但し、大型動物狩猟犬としての特性上、無駄吠えが少ないため、威嚇よりも撃退向きである。自分や家族に害を及ぼす相手に対しては、一切容赦せず強靭な顎で食らいつく。

体質は非常に丈夫で手入れもしやすく、遺伝病は少ない。

山地での激しい狩りにも耐えうる体力・持久力を有するため、飼育する場合には十分な運動が要求される。よって、飼育環境は郊外の一軒家や農村地帯が好ましい。

狩猟
紀州犬は、紀伊山地に広がる広葉樹林でのイノシシ狩猟のエキスパートとして、何世紀もの間活躍してきた犬であり、祖先は紀元前からいた土着の中型犬とされる。

 

伝統的なイノシシ狩猟では、狩猟銃を持った7、8人のハンターと、各ハンターにつき3、4頭の狩猟犬が一つの山の麓からばらばらに森へ入り、音を頼りに追い立てる方法をとる。

 

通常は、100kg以上の体重と鋭い牙を持つイノシシに中型犬が飛びかかっても簡単に跳ね飛ばされて重傷を負ってしまうため、犬の重要な役目はイノシシに攻撃を加えることよりも、むしろイノシシを一箇所に留めておくことである。犬はハンターが来るまで体勢を低くして遠巻きにイノシシを挑発、イノシシが疲弊したところを狙って、ハンターがとどめをさす。ただし、ハンターが来られそうにない場合など、まれに犬のみで狩りを成功させることもある。


四国犬

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E5%9B%BD%E7%8A%AC

古来より「土佐犬」と呼ばれていた中型の犬である。土佐闘犬との混同をさけるために、四国犬と改称された。

 

本来の作出目的は、四国山地周辺の山村における鹿や猪等の狩猟およびそれに伴う諸作業。山地での激しい狩りにも耐えうる体力・持久力がある。温暖湿潤気候に強い。体格は柴犬より大柄[1]。

 

主人には異常なまでに忠実だが、よそ者には警戒するため、番犬に適する。よそ者にはふとしたことでも噛みついたりと非常に攻撃的なため、散歩中などは注意が必要である。

***********

どれも野性味あふれ、独立心が強い犬のようです。

どの犬種の解説にもありますが、主人以外の他人には、攻撃的で噛み付いたりということがあると、いうことです。
狩猟犬としての長所の裏返しということでしょうね。



2012年11月 9日 (金)

イヌとオオカミの違い~狩猟の能力に関して

「狼にできて犬にできない訳がない」という無謀なことを言う反対者もいます。犬の中には適した品種もいるのではないかという薄弱な根拠ですが、いろいろなところで聞かれることですので、これも何か大きな勘違いがあるようだということは示しておきます。



イヌは人に飼いならされ、改良されてきただけに、野生での能力は、オオカミよりはるかに低い動物です。そうでなければ人間と共に生活することができないのは当然のことではないでしょうか。

その能力の違いは、①アゴの力、歯の大きさ②走力、持久力③学習能力、の3つで示せるのではないかと思います。そう考えると、オオカミに関するQ&Aに、咬む力の記述や走る能力を示す内容があることに納得がいきます。もう一つ学習能力が重要なのは、狩りに関するノウハウの習得の速度が、イヌとオオカミではまったく違うらしいということがオオカミの側の本からもイヌの側からも言われているからです。

 ①アゴの力、歯の大きさ②走力、持久力については、当ブログの前の項目を見ていただいても、Q&Aがありますが、ここではこのブログを引用します。




http://nobonobo3161.blog79.fc2.com/blog-entry-848.html
 



円山動物園のオオカミ舎にオオカミとイヌの違いを解説した板があります。
それをこのブログが書いてくれています。

ブログで写真とともにごらんいただくのがいいと思いますが、文章部分をここに引きます。





体型について

こっちがオオカミ。 イヌと比べて体が大きく、前足はイヌより後ろのほうにあるのが
特徴。 オオカミの体高は約60~90cm。 肩幅が狭く、ほとんど胸の真下に前足が
あるよ。 そのおかげで肩関節を充分に伸ばし、歩幅を大きくして、速く走ることが
できるんだ。




 
こっちがイヌ。 ちなみに上の絵はシベリアンハスキーの形、オオカミと比べて体が
小さく、前足は前寄りにあるのが特徴。 オオカミとよく似ていると言われる。
シベリアンハスキーの体高は約50~60cm。 イヌの前足は肩幅が広く、オオカミ
よりも前寄りにあるよ。




歯について
こっちがオオカミ。 イヌと比べて上あごの第4前臼歯と、下あごの第1臼歯が大きく
さらに頭から鼻先までほとんど直線に近いのが特徴。 イヌよりも全体的に歯は大き
く、シカなどの骨を噛み砕くのに適しているよ。



 
こっちがイヌ。 オオカミと比べて上あごの第前臼歯と、下あごの第1臼歯が小さく
さらに頭がい骨の眼の辺りがへこんでいるのが特徴。 人間に飼われるようになり、
食べ物が変わったことで歯の大きさや骨の形も変わってきたと言われているよ。





足跡について 
 こっちがオオカミ。 イヌと比べて細長いのが特徴。オオカミは、狩りで獲物を捕まえ
るために速く、長い距離を走らなきゃいけない。 だからイヌと比べて少し細く長い形
なんだ。



こっちがイヌ。 オオカミと比べて丸っこいのが特徴。 理由はオオカミとは違い、
イヌは走る必要がなくなったので、足が短く太くなり足あとも丸くなったんだ





オオカミとイヌの学習能力の違い


この点に関して、「オオカミ」(エリック・ツィーメン)には、こういう記述があります。

『イヌの行動に比べてオオカミの行動で独特に思われた特徴は、狩りにおいて自分ができないことや、何が無意味な追跡であるかを、イヌよりもはるかに早く会得するということである。車であることを見分けられなかった一回の経験だけでアンファ(飼育されているオオカミ)は、それ以後決してこのような誤りを犯さなくなった。同じことは、畑にいる鳥や逃げ去るノウサギにもあてはまった。追跡が不成功に終わった経験を一回するだけで、将来のためには十分だった。これに対しプードルは、畑のカラスとのゲームから非常にわずかしか学ばなかったし、のちに私が飼った猟犬も逃げるノウサギを山を越え谷を越えて追跡して失敗しても、やはりほとんど何も学ばなかった。・・・


単純にどんな動物の跡も追いかける猟犬は、どのような獲物なら追跡するかいがあり、どの動物は追跡しても無駄なのかを、じつにゆっくりと経験をつむことによって、やっと学ぶのである。

オオカミは、体は大きくなったとはいえ、まだ子供でしかないオオカミですら、狩りに関してはもう盛りを過ぎた猟犬のように見える。かれらが逃げていくノウサギに目もくれず、また、そのすぐあとでノロジカをただ見送るだけなのを見ると、オオカミたちにはまだ追跡に必要な狩りへの動機がないのだと考えたくなるだろう。一方、猟犬の方は、興奮にふるえ、抑えることもままならないほどなのだ。

しょっちゅう狩りの失敗をするという贅沢は、イヌにだけ許されている。オオカミは自分の体力を節約して使うということを、早くから学ばなければならないのである。』


「オオカミ」は、この分野における名著です。
これだけで十分でしょう。


学習能力の違いについては、イヌの側から書かれた本にも、同様の記述があります。

立ち読みしただけで、何が書かれていたか、説明できるほど憶えてこなかったので、書きませんが、ご興味があればお読みください。

犬から見た世界 アレクサンドラ・ホロウィッツ著
本書は、認知行動学者・心理学者であり大の愛犬家である著者の、8年に及ぶ研究の集大成である。(書評サイトから引用)






オオカミにとってウサギは本当に捕らえやすいのか?

オオカミ反対の方からこういう意見もよく出てきます。

捕食するのはシカやイノシシより容易く捕まえられる小動物生き物は楽に獲れるものを食べます。

つまり、日本に導入されたオオカミは、シカを追わずにウサギやネズミを食べるに違いない。違いないどころか、そんなこともわからないのか、決まっているだろうくらいの勢いで言われます。

こんなときこそ動物の専門家に登場願いたいものですが、こういうときには私たちと関わりのない専門家は出て来てくれません。

ですから、この議論がおかしいと考えるところを指摘しておきますが、私は動物学の専門家ではありませんから、この論が正しいかどうかを判断する材料を揃えるくらいのことで、あとは読んでいただいている方の判断にお任せします。

オオカミがシカではなくウサギを主食にするかどうか、それはいくつかの要素に分けて考えることができると思います。

1.スピード

①オオカミの能力:走力と特徴

②ウサギの能力:俊敏性と特徴

③キツネの能力:ウサギに対してオオカミのライバルとなる能力と特徴

2.エネルギー

①オオカミが必要とする食の量

②オオカミの捕食行動の特徴

③シカとウサギの体格差

****************

オオカミとウサギとキツネの走力を比較してみましょう。

以下の内容は、Yahoo知恵袋への質問 「日本一、足の速い動物は何ですか?」への回答です。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1212112742

いろいろな文献等を当っているようですから、まあ信じていいのではないでしょうか。

抜粋します。

【日本の動物の速さくらべ】
条件1…対象は、日本の自然動物と飼育動物、および、ヒト。但し、中世以降の輸入動物・帰化動物は除く。
条件2…100m程度の短距離走で最も速くゴールできる(おおざっぱな理論上の)能力値を競う。但し、加速性能などは計算に入っていない場合が多い。

≪1位≫(あるいは2位、もしくは3位)
・ノウサギ ★ …時速約72km
≪2位≫(もしくは3位)
・ウマ(競走馬サラブレッド) ★ …時速約69km

≪3位≫(もしくは1位)
・イヌ(競技犬グレイハウンド) ★ …時速約67km 
 . 因みに、オオカミは時速約45~58km

キツネ(アカギツネ, ホンドギツネ) ★
 …時速約48km。但し、別資料(ウィキペディア)では、アカギツネの疾走速度は時速約72kmとある。それが本当であれば、ノウサギと肩を並べることに(逃げるノウサギを捕らえるから同等の速さ、との理屈でしょうか)

※ニホンジカ …資料未確認。シカ科の参考記録として、アカシカが時速約67km。ニホンジカはこれより若干走力に劣ると推定します。

***************

「脱兎のごとく」という言い方があるように、ウサギは逃げ足が生き残りの決め手です。

スピードだけとっても、捕らえるのが容易いとは、言えません。

次にオオカミの能力の特徴を調べます。

一つ前のエントリーにあるように

http://nikkokekko.cocolog-nifty.com/wolf/2012/11/post-bb31.html

最高速度で走れる時間は比較的短いが、オオカミは獲物を追って荒地の上を長距離走り続けることができる

 

これがオオカミの特徴です。それは動画にもあるとおり、ひたすら追い続ける狩りをします。

オオカミがウサギを狩らないわけではありません。シートン動物誌にもウサギばかりを食べる群れの記述があります。しかし、オオカミのスピードと持久力という特徴は、ウサギを主食にするようにはできていないように思います。それはむしろキツネの役割です。

では次、オオカミの食糧とエネルギーについてです。

エリック・ツィーメンの「オオカミ」には、こういう記述があります。

著者は母国ドイツでオオカミを飼育してその生態を観察し、イタリアのオオカミ保護のための調査を委嘱されて、イタリアで野生のオオカミの研究を行いました。その結果導かれたオオカミの獲物に関する考察です。

獲物をめぐる競合

野外では、一頭のオオカミの一日の食物消費量は2.5kgから10kgと推定された。飼育下では、オオカミは一日につき約1kgのエサですむ。・・・飼育されている個体の大半は、野生の個体よりも体を動かすことが少なく、また暖かいすみかを与えられている場合が多い。つまり野生状態では、オオカミはより多くの食物を必要とするのである。もし最低限の食物の量を一日2.5kgとすると、一頭のオオカミは生きていくために、毎日約100匹のハタネズミ類を捕まえなければならないことになり、これはレミングの大発生のような例外的な場合にしか可能ではないだろう。たいていの場合、捕獲に要するエネルギーの方がこの食物から得られるエネルギーよりもはるかに多くなり、そうなればオオカミはやがて死んでしまうはずである。

また、たとえオオカミがこの方法でしばらく辛うじて生き続けられるとしても、このような狩にはるかに適応しているキツネといつまでも競合することはできないはずである。キツネははるかにわずかの食物しか必要としないだけでなく、オオカミよりも巧みなネズミハンターなのである。・・・

アナウサギやノウサギからノロジカまでの中くらいの大きさの獲物動物では、オオカミは多くの地域でキツネ、そしてもう一つの肉食動物、オオヤマネコと競合しなければならない、スロバキアのカラパチア山脈での調査によると、そこではノロジカはおもにオオヤマネコに食べられ、オオカミに食べられるのはシカだという。北アメリカでもカナダオオヤマネコはアナウサギやノウサギ大の獲物を好み、オオカミは主として有蹄類を狩る。』

これで十分でしょう。他をあたっても、同様の記述しかありません。

オオカミにとっては、ウサギやネズミは、狩に要するエネルギーよりも得られるエネルギーの方が小さいため、ウサギやネズミをメインの食糧に選ぶことはない、というのが専門家の見方です。


日本に連れてきたオオカミが、目の前に多数シカがいるにも拘らず、シカを獲らなくなるという新説を立てるなら、それを証明する事実や、根拠を示さなければなりません。

「当たり前」にオオカミがウサギだけ、小動物だけを食べるということはありえないと思います。




2012年11月 8日 (木)

ドイツオオカミ保護協会のDr.Rolf Jaegerのインタビュー

ドイツオオカミ保護協会のDr.Rolf Jaegerのインタビューです。

例によってドイツ語はわかりませんので、オオカミについて語られていると思いますが、内容は不明です。とりあえず置くだけ置いておきます。

P.M. - Wilde Wölfe in Deutschland - HQ anklicken

http://www.youtube.com/watch?v=aWhPseXl8BY&feature=related

【追記】 

ドイツ語学習中のぴんぷすさんに頼んで、聞き取り翻訳していただきました。
どうもありがとうございました。
若干聞き取りにくいところがあり、そこは  ()  マークになっています。




ぴんぷすブログ
http://olive510.blog.fc2.com/





<ドイツのオオカミ>

追われた「狩猟者たち」

イェーガー博士、ドイツのオオカミに関して、どんなことが問題になっているのでしょうか?

Jaeger(以下J): オオカミはもともと崇拝の対象であり、われわれの友達でもありました。しかし人間がひとつの土地に定住して開墾を始め、環境に手を入れるようになるにつれて、友達だったオオカミが、邪魔者へと変化していったのです。中世に上流階級の人々が狩猟を行うようになると、獲物をめぐって猟師と競い合う存在、つまり「ライバル」と見なされるようになりました。狩猟者にとっては、オオカミなどいない方が都合がよい。こうしてオオカミが殺されるようになってゆきました。この背景にあるのは、教会の扇動による魔女狩りの一部ですけれど、狼男・狼女に象徴される『魔物』という表現です。また一方では単純に「邪魔者は消せ!」という目的だけでも殺されました。これに輪をかけたのが、オオカミをネガティブに扱う物語や、『ジェヴォーダンの獣』のように、人が襲われる話です。フランスでは、何百人もの女性がオオカミに殺されたということになっていますが、もちろん誇張されています。このように「不安感」が、オオカミを殺す理由として広まっていきました。


(挿入された画像) ①狼男/1722年ドイツの木版画

            ②狼人間/1512年ルーカス・クラナッハの木版画(ドイツ)

            ③魔女の火刑

            ④~⑥ジェヴォーダンの獣

            ⑦赤ずきん

            ⑧北欧神フェンリル(オオカミの姿をした怪物)


子供のころ読んだ童話や寓話にも、狼男が出てきました。


J 寓話、童話、赤ずきんちゃんもそうですね。オオカミは友達ではなくライバル、不安を煽るものであり、おそろしい敵と見られるようになりました。


オオカミは危険ですか?


J  いいえ、絶対に違います。人間にとって危険なものではありません。


人間は獲物ではないのですか?


J  オオカミの獲物リストに、人間は含まれていません。オオカミは何百年にもわたって人間に追われ続け、それを生き延びてきた動物です。彼ら自身が人間の獲物でした。()彼らにとって人間はネガティブなもの。獲物ではなく、彼らの方から避けたい存在なのです。(


そういえばザクセン州のある村にオオカミが現れましたが、人間が不在になる時間帯でしたね。()つまり彼らは、「いま自分は人間のテリトリーに入っている。人間と鉢合わせしてはならない」というインテリジェンスがあるのですね。


J とにかく彼らは、その知能や五感のすべてを使って、人間と出会うことを避けていると思います。(


オオカミは非常に知能的な狩りをするそうですね。


J  ええ、戦略的ですよ。たとえば、私は自分の目で見たことがあるのですが、獲物の群れを追うとしますね何頭かのオオカミが仲間から離れて、岩の影などに身を隠します。獲物の群れが近くに来ると飛び出して行って撹乱し、ちりぢりになって逃げる中からターゲットを決め、倒します。


羊やヤギなどを氷の上に追い詰めたりもするそうですね。


J  そのような狩りの方法を知っているかどうかによるでしょうが、経験でそういうことを覚えていくのでしょう。


オオカミの知能の高さが、人間にとっては不気味な存在に見えてしまう


J  そういう見方もできます。() 高い知能で狩りをする動物…もともとは友達で崇拝もされていたのに、恐ろしいものとされてしまうのです。


ドイツに戻ってきたオオカミは、ここで生きてゆけるでしょうか?


 

J 暮らしてゆけると思います。昔からここに棲み、一時は絶滅したが再び戻ってきた。満点とは言えないまでも、以前に比べれば良い。


繁殖するためのテリトリーの広さや獲物の量は十分にありますか?


J もちろんありますとも。ドイツは豊かな森の国ですから、獲物もたくさんあります。狩猟期に正式に認められている捕獲量から見ても、オオカミたちが食べてゆくには十分な量があるはずです。


羊が襲われる事件が起きて、羊飼いたちは不安を感じていますね。


J それについては成り行きを見なければなりません。家庭のペットについても、かれらはオオカミから逃げるということを知りません。無防備な羊たち家畜については守るための対策が必要です。()牧羊犬は羊飼いを助ける目的を持つ犬で、羊を安全な方向へ誘導します。羊たちは、牧羊犬の友達であり仲間なのです。犬は仲間を守るためなら、相手がオオカミだろうが山猫だろうが、追い払いますよ。


人間の存在も、オオカミを遠ざけますか?


J ええ。


つまり私が森に入って行ってオオカミと出くわしたが、私が気づく前に、オオカミの方から逃げ出す…ということでしょうか?


J その通りです。


そのような人目を避けた行動、オオカミの姿を視認できないことが、悪い印象を招いているのでは? 人間は、何がどこに居て何をしているか、周りのことを常に知っていたいのに、見えないけれど居るかも知れないというのは、恐ろしいと感じてしまう.


J ええ、それで神秘的とか魔物のようだとか、いらぬ想像の原因になってしまうのです。目があやしく光っているとかね。


何か魔力を持った動物.


J 魔力などありません。動物に備わる普通の能力です。人間とは違うというだけです。


オオカミが、私たちの「隣人」になったのですね。


J そう、正しくとらえて、ふさわしく接するならば、とてもポジティブな隣人です。


 

Wilde Woelfe in Deutschland  Dr.Rolf Jaeger氏へのインタビュー、聴き取り翻訳)

2012年11月 6日 (火)

オオカミの生態~シカを追うイヌ、シカを追うオオカミ

イヌがシカをきちんと追うかどうかの検証ビデオとしては、サンプルが適当ではないかもしれませんが、日本犬の飼い犬は実にあっさりとシカを諦めてます。

 

鹿を追う犬 だめだこりゃ - YouTube

http://www.youtube.com/watch?v=M1NDOskYpsc&noredirect=1

一方、オオカミは、、、イエローストーンのオオカミとエルクの関係です。




エルクを追う狼 - YouTube

http://www.youtube.com/watch?v=t0uXlaaOj9Q

オオカミは、執拗に追います。だいぶ取り逃がしていますが、あきらめません。狩りの成功率は小さくても、これだけ追いかければ、この森は生き返ります。シカが落ち着いてエサを食べていられないからです。


追記

上記URLの画像がなくなってしまったため、別の動画を貼っておきます。

Wolf hunting elk - Yellowstone - BBC

https://www.youtube.com/watch?v=bfGP4Xbme3o

Wolves chasing Elk, kill

https://www.youtube.com/watch?v=vrp3Z-xaYVI





23. How fast can wolves run?
Wolves will travel for long distances by trotting at about five miles per hour. They can run at speeds of 36 to 38 miles per hour for short bursts while chasing prey. Although bursts of maximum speed are relatively short, wolves can maintain pursuit of running prey animals for long distances and over rough terrain.




オオカミの走るスピードは?
オオカミは時速約5マイルの早足で長い距離を移動する。獲物を追いかけている間、彼らは短い距離なら時速36〜38マイルの速度で走ることができる。最高速度で走れる時間は比較的短いが、オオカミは獲物を追って荒地の上を長距離走り続けることができる。




 
24. How far can wolves travel?
Wolves are hunters, and they travel far and wide to locate prey. They may travel 50 miles or more each day in search of food, and they are superbly designed for a life on the move. Because their elbows turn inward, their lean bodies are precisely balanced over their large feet. With their long legs and ground-eating stride, they can travel tirelessly for hours on end with no energy wasted. Dispersing wolves, those leaving packs in search of their own mates, have been known to travel hundreds of miles away from their home territory. Satellite and Global Positioning Satellite (GPS) collars allow researchers to document the truly remarkable travels of wolves.


オオカミはどれほど遠くまで移動するか
オオカミはハンターであり、獲物を見つける為に広く、遠く移動する。彼らは食べ物を探して毎日50マイル以上も移動する。その移動が見事に、彼らが生きていくことに組み込まれている。彼らの肘は、内側に曲がって、彼らのやせた身体は大きな足の上で、正確にバランスがとれている。彼らの長い足と、地面をしっかりつかむ足取り、彼らは疲れを知らずに何時間でも、エネルギーを無駄にせずに走ることができる。家族の元を離れて、配偶者を探して独り立ちするオオカミは、彼らの故郷から何百マイルも旅することが知られている。GPSをつけた首輪のおかげで、研究者がオオカミの驚くべき旅の真実を記録できるようになった。
 

ナショジオ イエローストーンのオオカミ帰還

http://www.nationalgeographic.co.jp/video/video_title.php?category=1&embedCode=ZrODExOoReOnORSzPgbY3IeaOJPKuK07

2012年11月 4日 (日)

オオカミの生態~捕食能力、咬む力、食べる量

インターナショナルウルフセンターのQ&Aより

http://www.wolf.org/wolves/learn/basic/faqs/faq.asp#3



16. How many teeth does an adult wolf have?

Adult gray and red wolves have 42 highly specialized teeth, while adult humans have 32. The canine teeth, or fangs, can be 2 1/2 inches long and are used for puncturing and gripping. The incisors are for nipping small pieces of meat; the carnaissial teeth are like scissors and knives. Wolves use them to sheer flesh away from bones. Molars are for grinding and crushing.

オオカミは何本の歯を持っているのか?

大人のハイイロオオカミとアカオオカミは、42本の特化した歯を持っている。人間は32本である。犬歯や、牙は、2 1/2インチと長く、刺し、つかむために使用される。切歯は肉の小片をつまむためです。carnaissial歯はハサミやナイフのようなものです。オオカミは骨から切り離した肉にそれらを使用しています。臼歯は、骨を噛み砕くためのものです。


17. How strong are wolves' jaws?

The massive molars and powerful jaws of a wolf are used to crush the bones of its prey. The biting capacity of a wolf is 1,000 to 1,500 pounds of pressure per square inch. The strength of a wolf's jaws makes it possible to bite through a moose femur in six to eight bites. In comparison, a German shepherd has a biting pressure of 750 pounds per square inch. A human has a much lower biting pressure of 300 pounds per square inch.

オオカミのアゴはどのくらい強いのか?

巨大な臼歯とオオカミの強力な顎は獲物の骨を粉砕するために使用されています。オオカミのアゴの力は、1平方インチあたりの圧力で1000〜1500ポンド(450~680kg)です。オオカミの顎の強さでは、ヘラジカの大腿骨を6~8咬みで食べられます。比較すると、ジャーマンシェパードは、1平方インチあたり750ポンド(340kg)の咬合圧、人間は、1平方インチあたり300ポンド(136kg)とはるかに低い咬合圧です。


18. What do wolves eat?

Wolves are carnivores, or meat eaters. Gray wolves prey primarily on ungulates - large, hoofed mammals such as white-tailed deer, mule deer, moose, elk, caribou, bison, Dall sheep, musk oxen, and mountain goats. Medium-sized mammals, such as beaver and snowshoe hares, can be an important secondary food source. Occasionally wolves will prey on birds or small mammals such as mice and voles, but these are supplementary to their requirements for large amounts of meat. Wolves have been observed catching fish in places like Alaska and western Canada. They will also kill and eat domestic livestock such as cattle and sheep, and they will consume carrion if no fresh meat is available. Some wolves eat small amounts of fruit, although this is not a significant part of their diet. If prey is abundant, wolves may not consume an entire carcass, or they may leave entire carcasses without eating. This is called "surplus killing" and seems inconsistent with the wolves' habit of killing because they are hungry. Surplus killing seems to occur when prey are vulnerable and easy to catch - in winter, for instance, when there is deep snow. Since wolves are programmed to kill when possible, they may simply be taking advantage of unusual situations when wild prey are relatively easy to catch They may return later to feed on an unconsumed carcass, or they may leave it to a host of scavengers. Additionally, they may cache food and dig it up at a later time.

Red wolves primarily prey on white-tailed deer, raccoons, rabbits, nutria and other rodents.

オオカミは捕食者であり、肉食です。ハイイロオオカミは、主に有蹄を食物にする - オジロジカ、ミュールジカ、ムース、エルク、トナカイ、バイソン、ドールシープジャコウウシマウンテンゴートなどの大型有蹄哺乳類である。ビーバーやカンジキウサギなどの中型哺乳類は、重要な二次的な食糧源である。時にはオオカミは鳥や、マウスやハタネズミなどの小型哺乳類を捕食するが、これらは、肉の量が多い場合のサプリメントのようなものである。オオカミはアラスカやカナダ西部のような場所で魚を捕ることも観察されている。彼らはまた牛や羊などの家畜を食べることもありフレッシュな肉が利用できない場合、死肉を消費することも可能である。オオカミは、果物を少量食べることもある。獲物が豊富であれば、オオカミは死体を全部は消費しなかったり、食もせずに死骸を残す場合もある。これは"余剰殺害"と呼ばれ、オオカミの狩りの習慣とは矛盾する。なぜならオオカミは常に飢えていると思われているからだ。余剰殺害は深い雪がある冬などで、獲物傷つきやすくキャッチしやすいときに発生するよう。オオカミ可能な場合は獲物を殺すようにプログラムされているので、獲物が簡単に捕獲できる場合には、通常にない状況を利用するだけである。彼らはそれを後で食べることもあれば、スカベンジャーの群れにそれを残すこともある。さらに、彼らは食べ物を保存して、後でそれを掘り出すこともある

赤オオカミは主としてオジロジカ、アライグマ、ウサギ、ヌートリアや他のげっ歯類を捕食する。


 

19. How much do wolves eat?

Getting enough to eat is a full-time job for a wolf. When wolves catch and kill a large mammal, they will gorge and then rest while the food is being rapidly digested. They will generally consume all but the hide, some of the large bones and skull and the rumen (stomach contents of ungulates) of their prey. Gray wolves can survive on about 2 1/2 pounds of food per wolf per day, but they require about 7 pounds per wolf per day to reproduce successfully. The most a large gray wolf can eat at one time is about 22.5 pounds. Adult wolves can survive for days and even weeks without food if they have to. Growing pups, however, require regular nourishment in order to be strong enough to travel and hunt with the adults by the autumn of their first year. Wolves often rely on food they have cached after a successful hunt in order to see them through lean times.

Red wolves may eat 2 to 5 pounds of food per day when prey is abundant. Because they are smaller than gray wolves, they can consume less at one time than their larger cousins. But like all wolves, eating for red wolves is a matter of "feast" followed by "famine."

19。オオカミはどのくらい食べますか?

十分に食べることはオオカミのフルタイムの仕事である大型哺乳類を捕食し腹いっぱい詰め込んだ後、食べたものが急速に消化されている間に休息をと

彼らは一般的に内臓も含めすべてを消費するが、大きな骨と頭蓋骨と獲物のルーメン(有蹄類の胃内容物)一部を消費することになハイイロオオカミは一日一頭あたり2と1/2ポンド(約1kg)最低生きることができが、繁殖するためには一日一頭あたり約7ポンド(約3kg)の食べ物が必要である。大きいハイイロオオカミ一度に食べることができるは約22.5ポンド(約10kg)である

大人のオオカミは食べ物がなくてもも何週間も生き残ることができしかし成長している子オオカミは、彼らの最初の年の秋までに大人と一緒に旅行して、狩りに参加する十分な強さに育つために十分な栄養が必要である。オオカミはしばしば獲物が少ないときに、成功した狩りの後に保存した食べ物を頼ることがある

獲物が豊富なときには、アカオオカミは一日一頭あたり2から5ポンド12kg)を食べることができる。彼らはハイイロオオカミよりも小さいので、一度に消費する食べ物は少ない。しかし、すべてのオオカミと同じようにアカオオカミも食べることは飢餓に続 "ごちそう"という問題である。


なぜオオカミの復活なんですか?イヌじゃだめなんですか?②

イヌはオオカミの代わりができるか

http://blogs.yahoo.co.jp/pondwolf39/34145589.html


オオカミ再導入がだめで、イヌを代わりに使うことができると考える人たちにも、考え方の違いがあるらしいのがわかってきました。

1.オオカミの代わりにイヌを山に放てばいい

2.イヌを訓練して、鹿だけを殺すようにし、人間がコントロールする

まだ類型はあるかもしれませんが、おおまかにいってこの2つのようです。

まず1.オオカミの代わりにイヌを自然に放つことについては、

前の記事にも書きましたが、

①イヌは野生動物ではなく、人間が作り出したものなので、元々の生態系にはいないものです

②イヌに頂点捕食者の役割を果たす能力はありません

③野生化したイヌは人を恐れず攻撃する可能性があるため却って危険です

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

①に関しては説明するまでもありません。

②に関する論拠は、上のブログの記述にありますが、イヌは雑食性がより強いため、必ずしもシカ等の有蹄類に依存しないし、有蹄類を減らさないということです。

 

また、はっきりしたナワバリを持たず、行動圏も小さく、必ずしも血縁でないグループを形成します。はっきりしたナワバリをもたない、血縁でないグループは繁殖の成功率が低く、その群れの継続性がありません。

そのためシカの頭数への影響は小さいようです。

 



また野犬が危険ということの根拠は、たとえば北海道でオオカミが絶滅した原因である開拓使による害獣駆除の記録を参考に考えることができます。その記録によれば、1878年から1881年の4年間に、駆除されたオオカミの558頭に対して、野犬の駆除は3342頭と6倍に上ります。これが意味するものが、野犬全体の頭数がオオカミよりも多かったのか、野犬のほうが、より人間の近くに寄ってきていたのか、ということは不明ですが、必ずしもオオカミよりもイヌが安全だとは言えないことの根拠にはなるだろうと思います。

また、ヨーロッパの現代の記録を見ても、ドイツのオオカミ保護活動団体NABUの調査によれば、ドイツにオオカミが定着して以降の家畜被害記録の中には、イヌが、守るべきはずの羊を捕食している例があります。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

2.は、人間のコントロール下でイヌを放ち、シカの頭数を調節することをさしているようですが、こういった主張をされている方が、どこまで現実的に考えているのかは、不明です。

まずこれを検討する要素を抜き出してみると、こうなります。

・イヌがシカ捕食、ないし殺傷能力をどれほどもっているか

・人間のコントロール下で人間の思うように(指示どおりに)働くか

・シカの殺傷に適した犬種があるか

・シカの頭数を調節するには、何頭のイヌが必要か

・そのイヌを育成するのに何年かかるか

・イヌをコントロールするのは誰か

比較のためにオオカミの事例を引き合いに出すこともありますが、以下のように検討してみました。

====================

まず、イヌがシカの殺傷能力をどれほどもっているか、については、第一の点で指摘したように、ノイヌがシカを食べている形跡が見つかった日光の事例がありますから、殺傷能力はあります。

問題は、シカの頭数に影響があるほどの能力か、ということです。

シカを捕食するのか、ただ殺すだけなのか、どう訓練するつもりなのかその方たちの考えはわかりません。

イヌは人間に作られた動物なので、雑食であり、肉食のオオカミと比べてアゴの力は半分になります。捕食することが前提であれば、それはオオカミに比べて弱点でしょう。そして行動範囲はオオカミに比べて狭いことが指摘されています。

オオカミの場合は、テリトリーの範囲内を1日40kほども歩いて見回り、エサを探しています。欧米のオオカミの研究から、1パックあたりのシカへの影響力のある面積はざっと2万haくらいの計算はできそうですが、イヌの場合、放すのではなく、人間のコントロール下ということであれば、1日どのくらいになるでしょう。人間の歩く範囲プラスアルファでは、比較にもなりません。また、イヌの出動日数も人間しだいということであれば、オオカミの「毎日出動」とは比較になりません。

人間の手から放して、イヌ自身に毎日活動させるのでは、さらに野犬化の危険があります。イヌはエサを与えてくれる人が主人なのですから、エサを自分で獲り始めたときに、人間の管理下を脱する可能性があります。

そのような行動を人間の指示どおりに行うかどうか、については、どうでしょうか。材料はありませんので、想像ですが、難しいのではないでしょうか。シカを捕食して、また飼い主のところに定期的に戻るイヌはいるでしょうか。

********************

次にそのようなシカの殺傷または捕食行動に適した犬種があるか、ということですが、一部の日本犬は適しているかもしれません。山梨県側の南アルプスの麓で、紀州犬が放れて勝手にシカを獲って暮らしていたという話を聞いたことがありますが、そのような日本犬は可能性があるかもしれません。ただし、シカを減らすことができたかどうかについては確認できません。またその紀州犬に対しては、保健所が出動してしまったようです。

さてその中型より大きな日本犬は、人間に対して危険はないのでしょうか。山道を歩く人間誰もに従順でしょうか。登山道で野犬に遭遇した経験がある身としては、怖いですね。人間を恐れず吠え掛かってきます。

また、飼い犬でも友人の家で飼っていた川上犬には、飼い主以外近づけませんでした。飼い主には従順でも、他人には攻撃的です。人間全般を飼い主とみなすかどうか、ですが、ありえないでしょう。

さらにそこもクリアしたとして、中型以上の日本犬を何頭揃えて、訓練すれば、シカの頭数調整に効果があるでしょう。それには当然飼育者、訓練者も足りるかどうか、という観点も必要です。上記のように飼い主に従順に指示に従うよう訓練する必要があるからです。

これは私には見当がつきません。

オオカミについて何頭必要かの予測は可能です。パックの頭数とテリトリーの面積を他の地域での事例から推測し、シカとの関係はイエローストーンの調査結果から類推すればいいのですから。



またそのイヌを、指示どおりに動くよう訓練するとして、必要な頭数を揃えるのに、何年かかるでしょうか。これも私には見当がつきません。



オオカミについての頭数増加の予測は可能です。ドイツのラウジッツでは、2000年に1ペアが定着してから、10年で10いくつかのパックに増え、さらに外部からの進入も加えて約70頭になりました。

イエローストーンでは31頭のオオカミが10年程度で一時は200頭くらいに増え、次にエルクの減少に伴って、減少し、現在は90頭程度に収まっています。

どうやって増えていくかのシミュレーションもラウジッツ、イエローストーン、ミネソタ等五大湖地方の例から推測可能です。

********************

その育成から実施までの期間がどの程度か、ということは非常に重要です。シカの増加は何もプレッシャーがなければ年に20%増えるといわれています。管理捕獲や狩猟によって何万頭も獲られていても、増え続けています。

イヌの増加とイヌによるシカの頭数調整は、算術的にペースが計算できます。人がイヌを使うのであれば、密度効果やリスク効果は期待できませんから、単純に捕食ないし捕殺の算術だけの効果になりますが、そのペースがシカ増加率を抑えるほどにならなければ頭数調整には貢献できません。ましてモンキードッグのような追い払いしかできないようなら、何も意味はありません。

狩猟者数に関して、現在10万人程度のところを、最低でも倍、20万人にしなければシカの頭数調整には間に合わないと考えていますが、イヌをヒトの代役と考えるなら、その20万人の狩猟者の何割かを分担するくらいの頭数が必要になります。それが何頭なのかはわかりません。単なる推測ですが、北海道も含めシカの頭数を200万頭と置けば、イヌが数万頭は必要ではないでしょうか。

この場合のイヌは、ヒトに従うイヌですから、オオカミのように頭数調節にリスク効果や密度効果、恐怖効果は期待できませんから、単純に個体数調整の目標値に対して必要な頭数を計算することができます。

するとその頭数を準備するのにかかる期間はどの程度でしょうか。10年かかっていれば、シカの頭数はおそらく今の4倍になっています。

また、オオカミの場合には、シカの頭数が減れば、オオカミの頭数も減っていくことがいろいろな地域で調査結果として得られていますから、人間が間引きする必要もありませんが、イヌの場合は、シカの頭数が減って駆除、管理捕獲の必要がなくなれば、イヌも必要なくなります。そしてイヌが自然減することはありませんから、シカを捕食ないし捕殺する能力を持ったイヌを寿命まで飼育し続けなければなりません。

数万頭の狩猟犬を訓練するのに、訓練者はどのくらい必要でしょうか。訓練ノウハウはあるのでしょうか。訓練場所はあるでしょうか。費用はどのくらい必要でしょうか。疑問だらけです。

現在と同様の猟犬の育成とは違います。シカを仕留めるために、オオカミの代わりになるイヌの育成です。

日本犬はいまや希少種ですから、母数がたいへん小さくなっています。それをふやしていくには時間がかかります。洋犬で適する犬種もあるでしょうから、その頭数を把握する必要がありますが、外国からの輸入にしろ育成にしろ、1頭に数年はかかるのではないでしょうか。一人の訓練者が一度に何頭の調教をすることが可能かわかりませんが、促成というわけにはいきません。


上記のような点で、二つの方法のどちらにしても、イヌをシカの頭数調整に使うことは無理があると考えます。

ちなみに、現在の狩猟法では、イヌによる止めさし(動物を絶命させること)は禁じられています。

動物を絶命させることを憶えたイヌが猟犬として使われることが危険だという判断なのかどうかは、不明ですが。



ドイツのオオカミ保護活動~ドイツWWFのエコツアー

日本のWWFはオオカミ再導入を明確に否定していますが、他国のWWFは違うようです。

ドイツ語わからないので、困っているのですが、ドイツで作られたWWFの活動紹介動画のようです。

内容は、ラウジッツ地方の復活したオオカミをテーマに、学生たちが、オオカミの足跡を調べ、痕跡を確認した後、オオカミ展示館や、羊牧場の牧場主にインタビューし、街に出て市民にインタビューしています。その後のキャンプでは焚き火を囲んでオオカミの話をしているに違いありません。

オオカミ保護活動に参加しているのはNABUだけじゃなかったんですね。

立派なエコツアーが成立しています。

日本でも早く実現したいものです。

WWF Jugend: Unsere Wolfsretter in der Lausitz 1/3

http://www.youtube.com/watch?v=gU3kA9I8Mpo&feature=relmfu

WWF Jugend: Unsere Wolfsretter in der Lausitz 2/3

http://www.youtube.com/watch?v=FO8QbFSaeFM&NR=1&feature=endscreen


WWF Jugend: Unsere Wolfsretter in der Lausitz 3/3

http://www.youtube.com/watch?feature=endscreen&v=VwpQ3pDa6Tg&NR=1

なぜオオカミの復活なんですか?イヌじゃだめなんですか?

なぜイヌじゃだめなんですか、という疑問をぶつけられることがありますが、答えは、こう考え
ています。

 

オオカミ再導入の目的は、食物連鎖網を復元し、生態系を修復することだからです。

①オオカミには頂点捕食者として生態系を調節する機能があることがわかってきましたが、イヌは元々の生態系の中に存在しているものではなくその力はありません

②イヌは、野生動物ではありません。人間が作り出した家畜です

③イヌを野生化して自然の中に放せば生態系に余計な手を入れることになります


2012年11月 2日 (金)

害獣対策にオオカミ導入 議論

害獣対策にオオカミ導入 議論/3日・養父

http://mytown.asahi.com/hyogo/news.php?k_id=29000001211010005

2012年11月01日

 シカやイノシシなどが農作物や林を荒らす獣害の対策としてオオカミを導入してはどうか――。こんなテーマで話し合うフォーラム「山の動物と森のあり方を考える4」が3日午後1時半、養父市八鹿町の県立但馬長寿の郷で開かれる。

 ヨーロッパではオオカミの保護活動が進み、絶滅したとされた国々を含めて頭数が増加している。アメリカでも国立公園で林を荒らすシカ類を減らすためオオカミが導入され、生態系が豊かになったとされる。
 フォーラムは、NPO法人ひょうごエコ市民ネットワーク(大西英剛代表)が主催。まず日本オオカミ協会の丸山直樹会長が「オオカミ復活 農林業獣害問題解決と生態系を守るために」と題して話す。続いて大西代表の司会でパネル討論を開催。県の森林業担当者や動物の研究者らが加わり、オオカミ導入の課題や問題点などを論議し、可能性を探る。
 参加無料。問い合わせは大西代表(0796・96・1130)へ。

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