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« ドイツオオカミ保護協会のDr.Rolf Jaegerのインタビュー | トップページ | イヌとオオカミの違い~狩猟の能力に関して »

2012年11月 9日 (金)

オオカミにとってウサギは本当に捕らえやすいのか?

オオカミ反対の方からこういう意見もよく出てきます。

捕食するのはシカやイノシシより容易く捕まえられる小動物生き物は楽に獲れるものを食べます。

つまり、日本に導入されたオオカミは、シカを追わずにウサギやネズミを食べるに違いない。違いないどころか、そんなこともわからないのか、決まっているだろうくらいの勢いで言われます。

こんなときこそ動物の専門家に登場願いたいものですが、こういうときには私たちと関わりのない専門家は出て来てくれません。

ですから、この議論がおかしいと考えるところを指摘しておきますが、私は動物学の専門家ではありませんから、この論が正しいかどうかを判断する材料を揃えるくらいのことで、あとは読んでいただいている方の判断にお任せします。

オオカミがシカではなくウサギを主食にするかどうか、それはいくつかの要素に分けて考えることができると思います。

1.スピード

①オオカミの能力:走力と特徴

②ウサギの能力:俊敏性と特徴

③キツネの能力:ウサギに対してオオカミのライバルとなる能力と特徴

2.エネルギー

①オオカミが必要とする食の量

②オオカミの捕食行動の特徴

③シカとウサギの体格差

****************

オオカミとウサギとキツネの走力を比較してみましょう。

以下の内容は、Yahoo知恵袋への質問 「日本一、足の速い動物は何ですか?」への回答です。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1212112742

いろいろな文献等を当っているようですから、まあ信じていいのではないでしょうか。

抜粋します。

【日本の動物の速さくらべ】
条件1…対象は、日本の自然動物と飼育動物、および、ヒト。但し、中世以降の輸入動物・帰化動物は除く。
条件2…100m程度の短距離走で最も速くゴールできる(おおざっぱな理論上の)能力値を競う。但し、加速性能などは計算に入っていない場合が多い。

≪1位≫(あるいは2位、もしくは3位)
・ノウサギ ★ …時速約72km
≪2位≫(もしくは3位)
・ウマ(競走馬サラブレッド) ★ …時速約69km

≪3位≫(もしくは1位)
・イヌ(競技犬グレイハウンド) ★ …時速約67km 
 . 因みに、オオカミは時速約45~58km

キツネ(アカギツネ, ホンドギツネ) ★
 …時速約48km。但し、別資料(ウィキペディア)では、アカギツネの疾走速度は時速約72kmとある。それが本当であれば、ノウサギと肩を並べることに(逃げるノウサギを捕らえるから同等の速さ、との理屈でしょうか)

※ニホンジカ …資料未確認。シカ科の参考記録として、アカシカが時速約67km。ニホンジカはこれより若干走力に劣ると推定します。

***************

「脱兎のごとく」という言い方があるように、ウサギは逃げ足が生き残りの決め手です。

スピードだけとっても、捕らえるのが容易いとは、言えません。

次にオオカミの能力の特徴を調べます。

一つ前のエントリーにあるように

http://nikkokekko.cocolog-nifty.com/wolf/2012/11/post-bb31.html

最高速度で走れる時間は比較的短いが、オオカミは獲物を追って荒地の上を長距離走り続けることができる

 

これがオオカミの特徴です。それは動画にもあるとおり、ひたすら追い続ける狩りをします。

オオカミがウサギを狩らないわけではありません。シートン動物誌にもウサギばかりを食べる群れの記述があります。しかし、オオカミのスピードと持久力という特徴は、ウサギを主食にするようにはできていないように思います。それはむしろキツネの役割です。

では次、オオカミの食糧とエネルギーについてです。

エリック・ツィーメンの「オオカミ」には、こういう記述があります。

著者は母国ドイツでオオカミを飼育してその生態を観察し、イタリアのオオカミ保護のための調査を委嘱されて、イタリアで野生のオオカミの研究を行いました。その結果導かれたオオカミの獲物に関する考察です。

獲物をめぐる競合

野外では、一頭のオオカミの一日の食物消費量は2.5kgから10kgと推定された。飼育下では、オオカミは一日につき約1kgのエサですむ。・・・飼育されている個体の大半は、野生の個体よりも体を動かすことが少なく、また暖かいすみかを与えられている場合が多い。つまり野生状態では、オオカミはより多くの食物を必要とするのである。もし最低限の食物の量を一日2.5kgとすると、一頭のオオカミは生きていくために、毎日約100匹のハタネズミ類を捕まえなければならないことになり、これはレミングの大発生のような例外的な場合にしか可能ではないだろう。たいていの場合、捕獲に要するエネルギーの方がこの食物から得られるエネルギーよりもはるかに多くなり、そうなればオオカミはやがて死んでしまうはずである。

また、たとえオオカミがこの方法でしばらく辛うじて生き続けられるとしても、このような狩にはるかに適応しているキツネといつまでも競合することはできないはずである。キツネははるかにわずかの食物しか必要としないだけでなく、オオカミよりも巧みなネズミハンターなのである。・・・

アナウサギやノウサギからノロジカまでの中くらいの大きさの獲物動物では、オオカミは多くの地域でキツネ、そしてもう一つの肉食動物、オオヤマネコと競合しなければならない、スロバキアのカラパチア山脈での調査によると、そこではノロジカはおもにオオヤマネコに食べられ、オオカミに食べられるのはシカだという。北アメリカでもカナダオオヤマネコはアナウサギやノウサギ大の獲物を好み、オオカミは主として有蹄類を狩る。』

これで十分でしょう。他をあたっても、同様の記述しかありません。

オオカミにとっては、ウサギやネズミは、狩に要するエネルギーよりも得られるエネルギーの方が小さいため、ウサギやネズミをメインの食糧に選ぶことはない、というのが専門家の見方です。


日本に連れてきたオオカミが、目の前に多数シカがいるにも拘らず、シカを獲らなくなるという新説を立てるなら、それを証明する事実や、根拠を示さなければなりません。

「当たり前」にオオカミがウサギだけ、小動物だけを食べるということはありえないと思います。




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