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2013年1月

2013年1月30日 (水)

イヌとオオカミは違うってば!~動物行動学からの解答

イヌとオオカミは違うったら違うってば~その理由解説します。

 

 

科学系のニュースサイト「サイエンス・デイリー」に「なぜオオカミは永遠に野生動物で、イヌは飼い馴らすことができるのか」という表題の記事が出た(2013年1月17日)。

原文はこちら。

http://www.sciencedaily.com/releases/2013/01/130117152012.htm#.UPlzbd6Vl9U.twitter

イヌとオオカミは遺伝子的にはきわめて似ている。なのになぜ、オオカミは獰猛な野性を失わず、一方イヌは喜んで《人類の最良の友》となるのか。マサチューセッツ・アマースト大学の進化生物学者カスリン・ロードの博士論文は、この異なる行動が初期の感覚的経験と社会化の時期に関係していることを示した。(詳細は「エソロジー」の最新刊に掲載されている。)

 この論文の一番のポイントは「遺伝子的に似通っているだけに、イヌとオオカミが発達初期の段階ですでにこれほど違うとは、きわめて驚くべきことだ。」という部分。

 イヌもオオカミも平均して、嗅覚が発達するのは生後2週目、聴覚は4週目、そして視覚は6週目で、同じだった。違うのは、四肢の動きをうまく調整して歩き始めることと、周囲を「こわいもの知らずに」探索する行動が、いつ開始されるか、ということだった。オオカミは生後2週目からこれを始めたのに対し、イヌは生後4週目からだった。 

 「こわいもの知らずの探索」とは「社会化の窓が開く」とも表現される。「社会化」とは心理学用語では「その社会への新参者が、文化・価値基準と行動規範を身につけること」、わかりやすく言えば「自分は誰と、どんな世界で生きていくかを知ること」である。この「社会化の窓」が開いている時期にはコドモ動物は怖れを感じることなく歩きまわり、探索することを始める。ここで接触したものについては生涯を通して親しみを保持する。この段階で引き合わせられれば、イヌは、人や馬、ネコにさえもなつき、終生それらと共に居心地よく暮らせる。しかしこの時期が過ぎ去ると恐れが芽生え、「窓」が閉じた後は、新しいものを見たり聞いたり嗅いだりすることは恐れの反応を引き起こす。

 これまで、オオカミの仔の感覚発達についてはほとんど知られておらず、仮説は、イヌの仔についての既知のことに基づいて推定されるのがふつうだった。しかしロードはこの研究で、オオカミの仔がイヌと違って、まだ目も見えず聴覚も発達していない2週目から歩き始めて周囲の探索行動を始めることを初めて報告した。

 加えて「仔オオカミが最初に音を認識し始めると、彼らは新しい音刺激に恐怖を示す。そして眼が見えるようになると、視覚という新しい刺激に対しても、まずはこわがることから始まる。それぞれの感覚に結びついて仔オオカミは周囲を新しい感覚のショックとして経験する」とも述べた。つまり、生後4週目にはオオカミの「社会化の窓」は閉じてしまうのである。

一方、仔イヌは、嗅覚、聴覚、視覚の3感がそろって機能し始めてからようやく歩行や探索行動を始める。そのため、もしイヌを人間または馬に馴れさせたいと思ったら生後4~8週目のあいだ、つまりこの「社会化の窓」が空いている時期に、90分間だけいっしょにいさせるだけでよい。イヌは嗅覚、聴覚、視覚の3感をフルに使って相手を探索し、その後では、引き合わせた何者に対しても、イヌは怖れをしめすことはなくなる。もちろん真の信頼関係を構築するにはもっと時間はかかる。しかし、オオカミの場合、イヌと同程度の状態に近づけるためには、生後3週目になる前から24時間一緒にいる必要があり、そうしてもなお、イヌと同じレベルの愛着や、こわがられることなしに関係を築くことは難しい。

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2013年1月29日 (火)

ドイツでオオカミは家畜を襲ったか?~ラウジッツの食性調査

「デカイ悪いオオカミ」のおそれは無い:ドイツのオオカミの食性調査

アメリカの科学ニュースサイト「サイエンスデイリー」去年3月の記事だそうです。 http://www.sciencedaily.com/releases/2012/03/120319094514.htm#.UPv6QFSroaE.twitter 

2012年3月19日:ゲルリッツのセンケンベルク研究機関の科学者たちはオオカミがドイツに初めて姿を見せてからの8年間の食性を調査した。その結果は安心できるものだった:オオカミのメニューリストの中の家畜の割合は1%未満。関連の研究は最新の「Mammalian Biology」誌に掲載された。

 ドイツでは長い間、オオカミは絶滅状態だったが、現在ゆっくりと戻りつつある。しかし誰もがこの野生動物の帰還を喜んでいるわけではない。カニス・ルプスの食性が、たくさんの伝説やおとぎ話の題目になっている。ヒツジをひったくり、家族の一員であるペットを食い、人を攻撃さえするオオカミ――捕食性の動物のドイツへの帰還は恐怖を目覚めさせ、住民と狩猟者と農民(牧場主)の間に葛藤を引き起こす。

 「オオカミの食習慣は、オオカミがドイツに戻るにあたっての最大の論争点だった。それで10年前ラウジッツ(英語表記Lusatia)に移り住んだオオカミの食性の精密な詳細を調べる必要が生じた」そう説明するのは、ゲルリッツにあるセンケンベルク自然史博物館の動物学部門長ヘルマン・アンゾルゲだ。「私たちはオオカミのメニューに何が載るのか、そして東ドイツにオオカミが現れて以来どのようにそれが変化したのかを見てみた。」

 この調査のため科学者はオオカミの糞3000サンプル以上を集め、獲物動物の未消化の証拠、たとえば体毛や骨、ひづめ、歯といったものを分析した。この情報と、見つけられた獲物の残骸を補助情報として、ゲルリッツの動物学者たちは肉食獣の栄養学的摂取を詳細に決定することができた。この調査によれば、オオカミの獲物は野生の有蹄類が96%以上と報告された。これらの過半数はノロジカ(55.3%)で、ついでアカシカ(20.8%)イノシシ(17.7%)だった。他の獲物についての報告はわずかで、ノウサギがだいたい3%くらいだった。「家畜由来の獲物は1%未満と分析された」とアンゾルゲは言う。「ヒツジや他の家畜がきちんと守られていて、野生の動物が充分に供給されているかぎり、オオカミは電気柵とガーディングドッグ(防護犬)に立ち向かうリスクはおかさないだろう」

 ゲルリッツの動物学者はオオカミが最近は何を食べているかだけでなく、この10年間で食性がどう変化したかについても調査した。オオカミは栄養摂取に関しては高い適応能力がある。たとえばカナダにいるオオカミの群れは、秋にはサーモンというご馳走にありつくことが知られている。

 「私たちは、ザクセン州のオオカミの食物の構成が、どういうふうに、なぜ、そしてどのくらいの早さで、変わっていったかを知ることに関心があった。」ラウジッツのオオカミはポーランドからドイツにきた。ポーランドではドイツとちがって、オオカミの群れはアカシカで主に生活している。研究の初期の数年間は、アカシカを食べる割合がずいぶん高めで、そのためにノロジカの割合は、のちの5年間に比べたら相対的に低めだった。「なぜオオカミは行動を変えたのか、あるいは、はじめの状態が変化したのだろうか、と考えた」とゲルリッツの動物学者は言う。


 ポーランドの森とくらべてラウジッツの森はより狭く、小道や草地などで分断されている。ノロジカやイノシシにとっては好適な生息環境であるが、アカシカはより広々とした森林空間に逃げ込む傾向がある。よってオオカミの視界には、単純に、ノロジカが頻繁に入ってくる獲物となる。

 

 ゆえにオオカミの食事パターンの変化は、周辺環境の変化による結果だといえる。オオカミは急速に適応した――彼らは東ドイツの新しい景観の中の境遇に慣れるのに2世代を要しなかった。


 1990年にオオカミの法的な保護が始められてから、ドイツにオオカミが定着しMuskau Heath(軍事訓練エリア)で子育てをするのに十年以上かかった。現時点で、ラウジッツには9つの群れが生活していて、若い個体は34頭くらいいる。「人とオオカミの軋轢の可能性はとても低い」とアンゾルゲはこの調査結果をしめくくる。

「オオカミの帰還を妨げるような障害物は、本当に、何もない」



2013年1月27日 (日)

オオカミの狩り~シカ類の捕獲に適応

「動物の狩りの百科」今泉忠明

より、ハイイロオオカミの項を抜粋します。

http://www.data-house.info/book/3364.html

長距離をひたすら追う

狩りは普通夕方から夜行われるが、寒冷な季節には昼間の行動が増える。夏の間、オオカミの群れは夕方早い時間に出かけ、朝になって巣穴や集合地点に戻ってくる。冬にはずっと遠くまで徘徊し、特別な地点に戻ってくる必要もない。彼らは決まった踏み跡、道、流れ、凍った湖を歩く。一日の移動距離は数㎞から200㎞に達する。フィンランドにおける一日の平均移動距離は23㎞である。ロイヤル島では一日に平均11㎞移動し、一回の狩りには平均33㎞歩くという。


獲物には偶然のチャンスか、直接嗅ぎ当てるか、あるいは新鮮な臭いを追跡することによって出会う。臭いを2.4㎞の距離から嗅ぎ当てる能力がある。

獲物に可能な限り接近するために用心深く忍び寄る。もし獲物が大形で健康で、しっかり立っていると、群れの仲間は危険を冒さない。そうでなければ追跡が始まるが、その距離は通常100~5000mである。一回の狩りで数㎞から数10㎞を歩く。適当と思われる獲物のヘラジカを発見すると彼らは追撃に移る。走るのは速く、短距離ならば時速55~70㎞に達する。一跳びで5m、追跡では最高速度を少なくとも20分間維持できる。

しかし、狙った獲物に素早く接近できないと、彼らはあきらめる。さらに獲物を少し追跡してみるだけで獲物が健康かどうか、すぐに判別する。たやすく捕獲できるかどうか、追跡を継続するかどうかをテストしているのである。健康なヘラジカは大木を背にして、近づいてくるオオカミを威嚇する習性があり、堅い蹄を打ち振るって、猛烈に反撃する。賢いオオカミはこんな獲物には手を出さない。時間と体力の無駄だということを経験的にしているのだ。だが、オオカミの姿を見て逃げ去る個体は追跡する。そして、足などに欠陥があるかどうか、たちどころに見極める。少しでも弱点を見出すと、たちまち全員が追跡に移る。

追跡を開始するが、近道をするものもいて、先頭は常に変わる。追跡はリレー方式になる。追跡は執念深くまた極めてタフで、時速26~40㎞のスピードで夜通し追い続けることもある

獲物が疲れを見せ始めると、逃げる獲物の尻、わき腹、肩に噛み付き、獲物の動きを止める。獲物に追いつくと彼らは主に尻、わき腹、肩に噛み付く。それから頸や鼻面に噛み付き、とどめを刺す。経験豊かな4~5頭が狩りの主役で、若い個体はもっぱら狩りを見物することで獲物の倒し方を学習していく。

狙われた獲物が助かるチャンスはないと言われるが、実際は狩りの大部分は不成功に終わる。ロイヤル島では、オオカミに追跡されたヘラジカのうち実際に殺されたのは8%だけであり、例外的な一例は、シカを20.8㎞追跡したことだという。

獲物はヘラジカのほか、オグロジカ、ワピチ、カリブー、バイソン、ジャコウウシ、オオツノヒツジのような、自分よりも大形の哺乳類である。とはいっても飢えていれば小さなノウサギ、マーモット、ビーバー、マスクラット、ノネズミなども捕らえる。

彼らは大形のシカ類を捕食するように進化してきた捕食者である群れをなし、群れに社会的な強いきずなが発達したのも、シカ類を狩るためであり、小さなノネズミやノウサギを捕らえても、それに要するエネルギー量の方が大きいから、割りが合わないのである。



2013年1月22日 (火)

オオカミはジビエがお好き~オオカミが復活したら家畜が襲われる?

アメリカの科学ニュースサイトScience Dailyの記事より。

 

オオカミ再導入に対して「オオカミは獲るのに苦労するシカやイノシシではなく、捕食しやすい家畜を襲うに違いない」と心配する方がいます。確かにアメリカでは放牧の羊や放牧牛が、ヨーロッパでも放牧の羊が、襲われる事例が報告されていますが、オオカミは家畜を好んで捕食しているわけではないようです。

*******************

オオカミは、野生動物よりも家畜を好んで襲うのか、という疑問を解き明かすイベリア半島での研究結果がScience Dailyに掲載されました。

 意外な結果です。

 

イベリア半島には、スペイン北部で70年の200頭から、現在は3000頭以上に回復し、毎年かなりの家畜被害が出ていると言われているにも関わらず、このレポートでは、「オオカミは家畜よりも野生動物を好んで捕食する」と報告しています。

 

 

http://www.sciencedaily.com/releases/2009/10/091023104702.htm#.UPqW8glSudM.twitter

 

 

 ~イベリア半島のオオカミは家畜よりも野生のノロジカを好む~

 


2009年10月23日 

スペインの研究者は、オオカミが現実において好むのは、ヒツジやヤギ、牛や馬といった家畜の反芻動物のまえに、ノロジカやシカやイノシシであるということを示すために、イベリア半島北東のオオカミの選択性を分析した。

 

 

 

 

 

 

 人はオオカミのことを「家畜なしではやっていけない依存症」にちがいないと思いこみ、そのためにこれまでオオカミを追撃してきた。だが、Isabel Barja の単独研究とマドリッドの自治大学の研究者達による研究から、ガリシア地方のOurense地域山岳地帯 Macizo Central Orensanoにおいて、オオカミはこの調査地では家畜を手に入れることができるにもかかわらず野生の有蹄動物の方を好むことを明らかにした。

 

 

 オオカミの糞から食物のタイプを同定した研究者は、87.1%の事例で野生の有蹄動物の残滓が出現する一方で、家畜動物の出現は11.3%にすぎないことを強調する。捕食性動物(たとえばアナグマ、イヌ、ネコなど)そしてウサギの残滓が出てくる程度は、より少ない。

 

 

 最近の「ワイルドライフ・バイオロジー」に掲載された研究は、オオカミにとってノロジカがいかに主要な獲物であるか、年間を通してすべての季節(とりわけ夏季52%と春季 26.2%)で利用されているかを映し出している。1998年5月~2002年10月にかけて集められたオオカミの排泄物593サンプルの分析から、獲物の62.8%はノロジカで、12.6%がシカ、10%がイノシシであることが明らかになった。家畜の消費はそれぞれ、ヒツジは7.7%、ヤギは2.9%にすぎなかった。

 

 

 家畜の残滓がオオカミの排泄物サンプルの中に存在するという事実は、この調査地では遺骸利用(スカベンジ)行動によるものだということで説明がつく。「なお、ここでは調査を行ったにもかかわらず家畜の群への攻撃の報告はなかった」と生物学者は述べた。

 

 

 オオカミの食性分析が明かす重要な側面のひとつ、それは、野生の有蹄動物と家畜の消費が、その利用可能性には左右されていないということであり、消費は獲物になる種が豊富にいるかどうかに左右されているということだ。Barjaは言う。「オオカミは、家畜も野生も両方が目の前にたくさんいる事実にもかかわらず、家畜より先に野生のノロジカやシカやイノシシを選ぶのです」

 

 

 

 この研究結果は、オオカミが、家畜の有蹄動物のような最も容易につかまえられる獲物をエサにするのではなく野生の獲物を消費することを好むということを確かめた。しかし、オオカミを、この調査地における機会捕食者であると分類するのは正しくないだろう。

 

 

 野生の有蹄動物の密度が低く、種数も少なく、オオカミが家畜動物をエサにしているような地域では、野生の獲物動物を増加させること、家畜をよく見張り、オオカミが家畜の遺骸に接近しにくくすること。そうすることがオオカミを、もっぱら野生の獲物を消費するようにさせ、その行動を彼らの子孫に伝達するようにさせることになる。まちがいなくこれは、人とオオカミの間の葛藤を最小化させる助けになるだろう、そしてイヌ科動物の保全の援助ともなる」と研究者は結論づけている。


2013年1月12日 (土)

日本の生態系修復には【オオカミ再導入】が必要不可欠

私の友人が知床の猟師さんのエソシカ猟に同行し、貴重な体験をしてきた。

この猟師さんたちは、知床の管理捕獲の中心人物たちでもあるが、同行した彼女たちに率直に語っている。

「狩猟じゃシカは減らない」

http://hontabe.blog6.fc2.com/blog-entry-242.html

【ほんものの食べ物日記Ⅱ 猟師というお仕事】

 思うようにシカが減らないのは、つまるところ人間が食物連鎖の頂点にいる動物ではないからだ。

 シカが増えすぎる、増え続ける現状を改善するには、日本に元々いた頂点捕食者であるオオカミを復活させ、食物連鎖を復元することが必要不可欠である。

人間と違ってオオカミはエサ動物を捕食することがフルタイムの仕事なのだから。


 頂点捕食者が生態系の中でどのような重要な機能をもっているかを、日本の生態学者は語らない。

それでは、アメリカからの発信に頼るしかない。

http://nikkokekko.cocolog-nifty.com/wolf/2012/09/post-6d5a.html

【大型捕食動物の減少、地球の生態系を破壊 米研究】

カリフォルニア大のジェームス・エステス教授は

「食物連鎖の頂点が自然の生態系の構造、機能、多様性に多大な影響をもたらしていることを示している。こうした捕食動物は、食物連鎖のなかで機能することで最終的に人類を守っている。これは彼らだけの問題ではない。私たち自身の問題だ」

と啓発している。

日本でいえば、それがオオカミである。




ではオオカミは人間と共存できるのだろうか。

その答えは、オオカミを駆逐した100年後に復活し、10年経過したドイツからの報告を聞いていただきたい。

http://nikkokekko.cocolog-nifty.com/wolf/2012/05/post-57ac.html

連続シンポジウム西日本「「ドイツに見るオオカミとの共生」

講演の要旨は


1.
オオカミは広大な原生自然地域にしか棲めないのではなく、人間が日常的に生活しているごく当たり前の文化的環境(cultural landscape)(ヴェッセル氏は「里山」というニュアンスが近いかもと言っていた)でも十分に人間と共存することができる。


2.
健康なオオカミは、人間が間違った態度で接しなければ、人間に危害を加えることはなく、その臆病な性質ゆえにいつも人を避けている。


3.
オオカミの生息にとっては、シカやイノシシなどの野生餌が十分に生息し、オオカミが巣穴を堀り、子供を育てることができる、人間によるかく乱がないわずかな地域が存在すればよい。だからヨーロッパでも各地で生息している。


4.
家畜への危害は、護衛犬(ガーディングドッグ)、電気柵(高さ1.2m、イノシシ用のものと同じ)などの適当な防除方法を講じれば防ぐことができる。


5.
オオカミとの共存にとって大切なことは、自然などの環境条件というよりは、人々のオオカミに対する理解である。



日本の生態系から、日本人が取り除いてしまったため失われた頂点捕食者を復活させる「生態系の修復」は,、日本人の手で行わなければならない。

オオカミが国境を越えるだけで復活できたドイツと異なり、海を隔てられてしまった日本列島に、オオカミの自然復活はありえないためである。

そして、日本の生態系に「オオカミを復活」させることは、必要不可欠である。

2013年1月 3日 (木)

狩猟振興策でシカ抑制ができるか?~無理だと思います

 狩猟者を増やそうという努力が官民で始まっている。

目的は、狩猟人口をこれ以上減らさないことにある。これ以上減っては、鳥獣保護管理の目標が達成できないからである。

(狩猟者登録数の変遷グラフ)

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 このグラフも古くなって、最後の棒が2000年である。その後の経過も含めて新しい図表が作られないものだろうか。最後の棒が示す登録数は約20万人であるが、2~3年前に猟友会の会員が10万人を切ったというニュースがあり、登録数も時間の問題と見ていたが、登録数もそろそろ10万人を割り込んでいい頃だと思っている。

 昨年はいろいろな機関から狩猟の魅力を発信する試みが発信されていた。

●狩猟の魅力まるわかりフォーラム(環境省)

http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=15844http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=15844

 




 こうした呼びかけだけでなく、他各自治体や都道府県の捕獲手当ての増額や猟期、狩猟種等の規制緩和によって、狩猟の意欲を高めようという試みも多くなった。

ジビエ振興策というのもその一環であり、ジビエによる狩猟者の収入増があれば、狩猟意欲も湧くだろうとの狙いである。

 このような努力は敬服に値する。必要なことであることには同意する。オオカミ再導入のためにも、欠かせないことであるのは確かなことである。

しかし、、現場対応のミクロの対策としては正しいが、マクロの、日本全国でのシカ頭数抑制対策(政策というべきかもしれないが)として、これが唯一の方法であるというのは間違っていると考える。狩猟だけでは、今の状態を改善することはできないからである。

 そう考える理由を以下に述べようと思う。


まず趣味の狩猟者がいくら増えてもシカの頭数を減らすことにはつながらない。


・技術が伴わない。狩猟者として一人前になるために必要な時間は、頻繁に出猟する人でも
10年は必要ではないだろうか。都市在住の趣味のハンターが年に何回出猟できるのだろうか。やはり猟友会主体の管理捕獲に参加してもらうほかないが、趣味の域を超える負荷を覚悟する人はどの程度いるのだろうか。


・趣味のハンターはノマドハンターと呼ばれることがある。ノマドは遊牧民のことである。遊牧民は家畜のエサを求めて草の多いところを選んで移動を続ける。ノマドハンターは、シカ密度が低くなれば、成功率が低くなり、獲物の多い猟場へ移動してしまうから、シカの密度を減らすことにはつながらないのだ。技術がなければなおさらなのだ。

 その事例は、世界各地にある。ドイツでは、34万人のハンターがいて、130万頭ものシカ類を狩猟しているが、山間地では、森林の食害がなくならない。狩猟者団体の代表は、「人数は問題ではない」と言っている。

 アメリカにも全米で80万人のハンターがいるらしいが、各地の森林でのひどいシカの食害が「捕食者なき世界」に紹介されている。

 本当に狩猟者を養成してシカを減らす意思があるなら、本格的な猟師養成プランが必要である。ドイツには、そうした養成機関がある。2~3年の養成期間で、年に30~40人ほどのハンターを養成し、なおかつ専門職としての収入を得られる職を用意しているのである。そのドイツの情報は、環境省職員も出席したあるシンポジウムに招聘された狩猟者団体の関係者が講演したということなので、環境省も知っているはずなのだが、その動きはないのだろうか。

 

 また、本気でシカの頭数管理を猟師の増員で成功させようとするなら、最低でも10~15万人程度の元気な若いハンターが必要であると考える。

 シカの増加が問題として研究者の目に入ってきたのは1980年代になってからである。それ以前の70年代に狩猟者登録数はピークにあった。約50万人の狩猟者が登録されていた。このうち大物猟に出猟していたのがどの程度の割合になるかは、不明であるが、現役ハンターに聞いた印象では、シカ、イノシシを対象とした猟を行う割合は2~3割だというから、多めにみて、3割15万人、平均年齢30代の猟師がシカ猟を行っていたと推測できる。その時期は、シカは増加の気配を見せなかった。その猟師が減り始めるとすぐにシカは増え始めている。


 15万人の40歳未満の猟師がアクティブに活躍する山野であれば、シカの頭数抑制も期待できるかもしれない。だからその程度に狩猟者養成数目標を置いてもいい。狩猟フォーラムとは、そのような目標値を置いての環境省の施策なのだろうか。



 でも、それ以前は、もっと少ない猟師だったじゃないか、という声も聞こえてきそうだが、それにも背景がある。

 終戦からの数年間、日本中を食糧不足が襲っていた。600万人の引揚者は生活の糧もなく、そのうちの推定100万人が全国各地の山間地に入植し、開拓部落を開いていった。昔の開拓部落という集落はどの地域でもあり、聞いたことがある人は多いと思う

森林を切り開いて作った農地では数年の間自家用できるものでさえ十分に栽培できるかどうかわからない。

 その結果、狩猟免許の必要性など感じない山間地の青壮年がたくさんいたから、野生動物は集落に現れればたちまち食糧にされてしまった。狩猟者を増やす必要があるのは、山間地、中山間地の住民としてなのだ。しかし、山間地集落は既に撤退が完了しそうなところまで来ている。

中山間地でようやく一部の集落が残っている程度である。狩猟の担い手はほとんどいない、食糧としての要請もない。


 中山間地に新規就農しようという若者に狩猟技術は必須である。そのような狩猟者が増えることは有効である、が、就農者は本業で覚えることも稼ぐことも山のようにあるのに、狩猟に駆り出されるのは迷惑なことではあろう。



 結局、狩猟圧は、山間地の人口と食欲、金銭欲しだいなのだ。明治日本の乱獲は金銭欲が高じたものだが、戦後の狩猟圧は、食欲に駆られたものだった。そのどちらかのインセンティブが働くなら、狩猟者の意欲も持続するかもしれないが、シカ1頭獲っても1万円2万円の収入(それも集団で)にしかならないのでは、意味がない。それも本州では1人で獲れるわけではないし、獲ってからの手間もたいへんなものだ。下界に肉を持って下りてきても、その肉がひっぱりだこになるくらいならまだしも、誰も食べてくれない、皮や角を現金化しようとしても、二束三文の単価では、意欲も湧きようがない。


 ジビエについてもう一言付け加えるなら、食肉の量の点で、頭数を抑制できるほどの消費を作ろうとするなら、現に流通している多量の牛肉や豚肉を価格の点で押しのけるものでなければならない。逆に猟師に金銭的なインセンティブを与えるためには、今の単価、手当てでも足りない。その二つは、両立はできないのである。

 このような点から、いま都市の住民の注意を喚起して、狩猟者を増やし、昔と同じように狩猟圧を上げるというのは、まったくもって無理というものであると考える。

 ここまで広がったシカの分布をカバーして、全体の密度を適度に下げることは、これから手を挙げる趣味の都市在住ハンターにはできない。

 本格的に養成した少数のプロの狩猟者が、シカの分布と人間領域の境界を守り、人間の手の及ばない領域ではオオカミ再導入によって生態系を修復し、バランスを回復する。趣味のハンターは密度が下がって、より難度が高くなった狩猟に挑む「ディアハンター」になる、というのが理想的な姿ではないだろうか。


2013年1月 1日 (火)

「生態系の頂点幻のオオカミに逢う」滝川クリステルの見たオオカミの物語

明けましておめでとうございます。

新年早々、オオカミの関連番組が放映されます。

BSフジの二夜連続新春特別企画『Earth Walker』

http://www.bsfuji.tv/top/pub/earth_walker.html

滝川クリステルさんが旅人として、各地を訪問されているそうです。

注目は、

【第二夜】1月3日です。

「生態系の頂点 幻のオオカミに逢う~イエローストーン 地球再生物語~」

 世界で初めて認定された国立公園、イエローストーン。世界でも類を見ない地球の原風景を残すその特有の環境は、バイソンやハクトウワシなどイエローストーン圏生態系と呼ばれる独特の動物たちを呼び寄せているという。クリステルの眼前に広がる奇跡の絶景の数々…。
 しかし、この生態系の頂点であるオオカミを、人間が1926年に絶滅させてしまって以降、この生態系のバランスが崩壊。再び豊かな自然を取り戻すため、人為的にオオカミを増やすプロジェクトを1995年から進めているダグラス・スミス博士のもとを、クリステルは訪ねる。旅のパートナーは、日本で唯一オオカミと暮らす桑原康生氏。オオカミの生態を追い、イエローストーンはもちろんモンゴルや中国、欧州各地に赴き講演活動などを行うオオカミの研究者である。
 イエローストーンの地に再び蘇ったオオカミの姿を探して、特別な許可を得てより深き森林へと足を踏み入れるクリステル一行。極寒の環境下で旅を続け、道なき道を進む。はたして生態系の頂点、幻とも言われる、オオカミに出会うことはできるのか!? クリステルは旅を通して、生命のサイクルの大切さと、一度失ってしまったものを取り戻すことの難しさを痛感する。

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