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2013年2月

2013年2月28日 (木)

諏訪高島藩で何が起きたか①~日本のオオカミ襲撃事件簿

日本の古い記録、特に江戸時代には、オオカミが人を襲った事例が数多く記されている。

平岩米吉[「狼―その生態と歴史」等によれば、ちょうど徳川綱吉の治世元禄年間に、諏訪、加賀、越中で、その襲撃事件が記録に残っている。

記録好きの江戸時代の人たちが書きとめたものだから、これらは事実であろう。

この江戸時代に起きたオオカミによる人身被害の記録は、「オオカミ再導入」への反対の論拠として使われる。

「健全なオオカミは人を襲わない」という現代のオオカミ学者の言葉は、この資料によって否定される。

「日本では昔、オオカミに人が襲われた。しかも頻繁に。」

しかし、これは日本にだけ起きた特異な事件なのだろうか。

ヨーロッパでEUが、オオカミ保護に転じた後、ノルウェイ国立研究機関NINAは、ヨーロッパの著名なオオカミ研究者18人を集めて、オオカミによる人間の襲撃事件を、歴史をさかのぼって検証させた。オオカミによる襲撃がどのような状況で、どうして起きたのか、500年前までの文献から探し出し、すべてを分類した。そのレポートは、


A Large Carnivore Initiative for Europe (LCIE)

“The Fear of Wolves: A Review of Wolf Attacks on Human”(2002)

というタイトルで2003年に公表されている。日本オオカミ協会でHPに要約を掲載しているので参照されたい。


http://blogs.yahoo.co.jp/pondwolf39/33019216.html

LCIAレポートは検証できた全ての事例から、オオカミの攻撃を次の3つに整理している。

 

 

(1)狂犬病に罹ったオオカミによる攻撃、
(2)オオカミが人間を獲物とみているように思われる捕食的攻撃、
(3)オオカミが追い詰められたり、虐待されたりする時の対応として人に噛み付く防御的攻撃。





そして、オオカミの攻撃要因を4つあげている。



 

(1) 狂犬病: 狂犬病はオオカミの人間攻撃の大多数に関与している。

(2) 馴化: オオカミが人間に対して恐れを失った場合、たとえば、いくつかの保護区の例のように、居合わせた人間が襲われるリスクは大きくなる。

(3) 虐待: これには、オオカミを殺そうとしたり、わなにかけようとしたり、追い詰めたり、子オオカミのいる巣穴に入ったりすることが含まれる。

(4) 大きく改変された環境: 捕食性の攻撃の大部分は、さまざまなことが原因で起きている、きわめて人工的な環境で発生してきた。具体的には、ほとんど存在しない自然餌、餌になるゴミ捨て場や家畜のオオカミによる頻繁な利用、羊飼いを任されて放置状態の子ども、人間社会の貧困、オオカミを臆病にさせるための銃の不足などである。餌が非常に少ないからといって、子どもを食べなければならないとは考えられない。


こうした状況下でのオオカミの生態には、滅多に起きない捕食事件が起きるような状況がセットされる。すなわち、まさに、これらのことがオオカミを人間に異常に近づけるということなのである。特定のオオカミが一度人食いになれば、彼らは除去されるまでこの行動を続ける傾向がある。

***********

 

日本で起きた事例は、この分類に該当しない特異な事件であったのだろうか。

 

オオカミが、日本でだけは、突然に、理由もなく荒れ狂うことがあったのだろうか。
それを検証する必要がある

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2013年2月24日 (日)

絵でわかる生態系のしくみ 鷲谷いずみ著 ~そのキーストーンの理解は正しいのでしょうか?

絵でわかる生態系のしくみ 鷲谷いずみ著

http://www.kspub.co.jp/book/detail/1547582.html

出版社の紹介文にもあるとおり、生態学の第一人者、鷲谷いずみ先生の著書ですが、疑問に思うことがあり取り上げさせていただきます。

この本は生態学の初心者向け解説を目的にし、生態学用語を、一つ一つ見開き2pを使い、解説とイラストで説明しています。その用語の一つとして「キーストーン種」を取り上げています。そのキーストーン種に関しての疑問です。

以下に鷲谷先生の文章を引用します。

***********

ある生物種が一種だけ、侵入あるいは絶滅したために、群集が大きく変わってしまうことがよくあります。陸上生態系では、大量に植物を食べる消費者、すなわち体の比較的大きい草食動物が、そのような役割を果たしていることが知られています。

たとえば、多くに島で、人間が持ち込んだウサギやヤギが植生を大きく変えてしまう例が認められています。森林が失われて、まばらな草原になってしまうのです。一部でも森林が残されているときにフェンスを張って、草食動物が入れない区画をつくっておくと、そこでは樹木の芽生えが育ち、再び森林への遷移が進み始めます。

それまでその地域に見られなかった樹木を植林することが、生態系を大きく変えてしまう例は、ダーウィンが自らの進化論を記した著書『種の起源』の中でも紹介されています。親戚の所有地の貧栄養なヒース草原に、何エーカーかにわたってトウヒを植林したら、植生が大きく変化し、昆虫相が変わり、鳥の種類が増えたという例です。

海の生態系では、海獣の役割が注目されています。ウニを大量に食べ、海藻のケルプにくるまって眠るラッコは、ケルプの海中林にとって、なくてはならない動物です。乱獲でラッコがいなくなり、ケルプを食べるウニが爆発的に増えて、海中林が破壊されてしまった例も知られています。

キーストーン種は、その生態系における生物間相互作用のネットワークにおいて、扇の「要」、あるいは西洋建築のアーチにおけるキーストーン(要石)ともいうべき役割を果たしている種です。その種の侵入や喪失により、生態系の性質や動態が大きく変わってしまうため、生態系の保全の場面では注目される種であるといえます。

ダムをつくることで川をせき止め、一帯を湿地に変えるビーバーは、物理的な基盤条件の大きな変更によって、生態系全体を異なるシステムへと誘導します。そのような種は、エコシステムエンジニアと呼ばれています。

**************


説明のために描かれているイラストは、ウサギです。ウサギと草原を描いて、「ウサギが持ち込まれた生態系は『まばらな草原に変化』」、と説明し、「ウサギがいない生態系=樹林」では、「ウサギが『キーストーン種』になっているんだね」とコメントを入れています。

「キーストーン(要石)」の言葉の説明にはアーチ橋の絵をもってきます。「アーチ橋のようにキーストーン種は生態系における生物間相互作用のネットワークの扇の『要』なのね」と案内役のカエルに言わせています。

キーストーン種の例として取り上げているのは、陸上生態系では「ウサギ」や「ヤギ」で、「大量に植物を食べる消費者、すなわち体の比較的大きい草食動物が、そのような役割を果たしている」と書かれています。これでは陸上生態系での「キーストーン種」は大型の草食動物だけであるように読めます。

??????

前にも生態学事典の「キーストーン種」の説明を引用しましたが、

http://nikkokekko.cocolog-nifty.com/wolf/2012/11/post-eeb8.html

生態系における食物網の最上部に位置し、他の種の存在に大きな影響力をもつ種を「キーストン種」とよんだのが(Paine、1969)、生態系におけるこの語の使われはじめである。

となっています。つまり肉食の上位消費者のことを指すのが使われ始めです。

その後定義は拡張され、

キーストン種であるかないかは、食物網内の位置にかかわらず、系内の他の種に与える影響の程度により決まるとされる。

とありますので、草食動物がキーストーン種と呼ばれることを否定するものではありませんが、「陸上生態系においては」との前提で、草食動物だけしか挙げず、食物網内の肉食の上位消費者を無視されているのは、片手落ち、初学者の理解を妨げるものではないでしょうか。

ちなみに図書館に並んでいる他の生態学の教科書的なものも確認してみましたが、どれも生態学事典の説明を踏まえたものでした。

また、鷲谷先生は、ダーウィンの親戚が植林したというトウヒの例がお好きで、よく取り上げられますが、そのトウヒの植林によって生物相が変わったという例のようにキーストーン概念を植物に拡張した例は、他にあるのでしょうか?鷲谷先生のオリジナルでしょうか?

これも本来の用語理解を妨げるものだと思います。

先生が取り上げたウサギの例でいえば、ウサギを抑える肉食獣の不在が、ウサギの爆発的な増加を可能にした原因であり、その不在の上位消費者こそ本来「少数でありながら生態系全体に影響を及ぼす」キーストーンという存在ではないでしょうか。

アーチ橋のキーストーンは、たった一個で全体の安定を支えている重要な位置にあります。食物網内で役割を持つ、そのような肉食獣の例を取り上げない解説は、理解できません。

「海の生態系」の例として取り上げられているラッコは、よく知られた最初の事例ですので、これで肉食獣の存在を説明されているとお考えと思いますが、「陸上生態系」「海の生態系」と分けられている以上、その二つは別物と受け取られます。

つまり「陸上生態系」のキーストーン種は、「ウサギのような草食動物」と「トウヒのような植物」であり、「海の生態系」におけるキーストーン種は「ラッコのような小型肉食獣」であると、読む側は受け取ります。

「海の生態系」におけるラッコとウニの関係を、ウサギにあてはめて考えれば、海藻を食べるウニは、陸上では植物を食べるウサギに当ります。ラッコが海のキーストーン種であるなら、陸上ではウサギを捕食する肉食獣がキーストーンでなければならないのではありませんか。

「キーストーン種」と題したテーマなのですから、ビーバーのような脇役を解説する字数で、本来のキーストーン理解を助ける例を取り上げるべきではないでしょうか。

鷲谷先生は、「オオカミ再導入」はきっぱり否定されていると聞き及びます。

オオカミに言及することを避けるために、このような訳のわからない解説になったのではないかと勘ぐってしまいます。

「キーストーン種」という用語自体、依然としてあいまいであり、意味の拡張を続けている用語なのは承知の上で申し上げますが、鷲谷先生の独自の解釈で語義を拡張され、初学者向けのご著書で展開されるなら、もう少し学会の中で議論されてからにしていただけませんか。

読む側は、混乱するばかりです。

【追記】

もう一冊見つけました。鷲谷先生と同じように、ウサギをキーストーンとしている教科書、と思ったら著者は鷲谷先生でした。

保全生態学入門 著者:鷲谷いずみ 矢原徹一 文一総合出版

この本のコラムに、キーストーン種の用語解説として、鷲谷先生がキーストーンと考えるウサギの事例がやや詳しく説明されています。

1950年代に南イングランドのシルウッドパークのイングリッシュオークの林に、食肉目的でウサギが放されました。その後(捕食者のいない環境で:筆者注)増えたウサギがオークの林を食べつくし、まばらな草原に変わってしまいましが、1970年代のある年、ウサギを死なせるウィルスを人為的に投入し、ウサギが激減したのです。ウサギがいなくなった後、カケスが種を運んでくるようになり、オークが復活したところから、この林の景観を変えていたのがウサギだったことがわかった、というエピソードです。原典は、Dobson & Crawley(1994)。

鷲谷説の根拠となる文献はこれでしょうか。この原典に、このウサギがキーストーン種であると書かれているかどうかは、未確認です。

その前後の本文中にもキーストーン種の意味が説明されています。キーストーン種とは、外来種である草食動物であり、本来いなかった場所に入り込むことによって景観に影響を与えてしまうような動物だそうです。

キーストーン種の索引で開いたページには、このような意味の解説しかありませんでした。肉食獣の話は一言も登場しません。本当にこれで正しいでしょうか?

肉食獣は鷲谷先生の目には、入っていないようです。

これでは、キーストーン種であるウサギを捕食する可能性のあるオオカミの再導入は、日本にいてはならない外来の肉食獣の導入、としか映らないかもしれません。

でも、ペイン博士が発見した現象を素直に読めば、キーストーン種はウサギではなく、ウサギを捕食する肉食獣ということになると思うのですが、いかがでしょうか。

2013年2月 8日 (金)

ドイツのオオカミの現在

NABUのHPからです。

中央の塊がラウジッツ地方です。

そろそろベルリンを取り囲むほどになってきています。

Photo


このイラストの元記事に何が書かれているのでしょう。

ぴんぷすさんが翻訳してくれました。

ドイツのオオカミ ~その生息状況について~  

かれらがドイツに帰ってきた… 1998年ザクセン州オーバーラウジッツ演習場に2頭、2000年には6頭(子供を含む)の野生オオカミが山林監視官によって確認され、以来毎年子供が育っている。東部ドイツへのオオカミ再来は、おおむね肯定的に受け止められた。人とオオカミが出会うことは時折あったが、つねに距離と警戒感が保たれた。なぜなら我々ドイツ人は皆、自然保護家も含めて、隣人としてのオオカミと生きることを、人生初めて学びなおさねばならないのだ。

グレーブラウンのヨーロッパオオカミ(Canis lupus)は、家族単位でルーデル(Rudel)と呼ばれる群れを作って生活する。なわばりのパトロールに、時に一晩で往復20kmまたはそれ以上も移動する。オオカミが生きるためには、獲物となるシカ、ノロジカ、イノシシの棲む広いなわばりが必要である。

~イラストの説明~

ドイツから東ポーランドにかけての個体群(2012.11.19)

 おとなのオオカミが47

(内訳)

18 …子連れのペア(=群れ)(計36頭)

2 …つがい (計4頭) 

7 …単独行動のおとな 

l 南の地域のオオカミは、以下の群れに分類される。

  Italien,  Dinar-Balkan,  Westalpen,  Karpaten

2013年2月 4日 (月)

北アルプス情報整理~シカの生息域拡大

北アルプスにシカが侵入し、関係者は大慌てです。

早く手を打たなければ手遅れになる。

ですが、早く手を打っても、方法論が間違っていれば他の地域と同じ轍を踏むことになります。

では他の地域は手を拱いていたのでしょうか。

そうではないと思います。

生息密度が低ければ、捕獲効率は上がりません。

捕獲効率が上がるほどに生息密度が高くなれば、もう手遅れです。

人間が手を下すのではなく、自然の摂理に任せられるように、オオカミを森に戻しましょう。

北アルプスにシカ定着、高山植物食べる恐れ 環境省が調査

2013/2/1 11:26

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG3105B_R00C13A2CR0000/

 環境省松本自然環境事務所(長野県松本市)は1日までに、北アルプスを中心とす

る中部山岳国立公園の標高1500メートル以上でニホンジカの目撃が増え、山麓では定

着しているという調査結果を明らかにした。松本市で開かれた対策検討会で報告し

た。

 今後、標高2500メートル以上の高山帯にまで生息地域を広げ、貴重な高山植物を食

べる恐れがあるという。

 検討委員の泉山茂之信州大教授(動物生態学)は南アルプスの例から、ニホンジカ

が短期間で爆発的に増える危険性があると指摘。「山麓でいかに抑えて高山帯へ入り

込まないようにするかが大切」と述べた。

日本経済新聞

北アルプス・シカ侵入で対策検討会

(長野県)

 http://www.news24.jp/nnn/news8842958.html

動画

これまで生息していなかった北アルプス一帯へのニホンジカの侵入を防ごうと、松本

市で対策検討会が開かれた。環境省長野自然環境事務所が調べた今年度の北アルプス

でのニホンジカの目撃件数は21件。来年度、低山帯での捕獲を強化する方針。

[ 1/31 18:32 テレビ信州]

ニホンジカ、大町東部で越冬 県が移動経路調査

0129日(火)

http://www.shinmai.co.jp/news/20130129/KT130128SJI090008000.php

 北アルプス周辺のニホンジカの移動経路を衛星利用測位システム(GPS)を使っ

て追跡した県の調査で、昨年の春~秋に大町市西部などの北ア山麓にいたシカの多く

が、11月に同市東部の八坂や美麻などの地区に移動し、越冬していることが分かっ

た。季節によって餌を得られやすい環境を選んでいるとみられる。移動の際は平地も

通り、JR大糸線や国道148号を横断していた。県は調査結果を、シカの拡大を防

ぐための効率的な個体数調整(駆除)に生かす方針だ。

信濃毎日新聞

北ア・高山植物 シカ食べた跡? 研究者らに危機感0128日(月)

http://www.shinmai.co.jp/news/20130128/KT130121FTI090003000.php

 北アルプス爺ケ岳(2669メートル)に近い中部山岳国立公園内の標高2245

メートル地点で、高山植物のタテヤマアザミのつぼみが大量に食べられた痕跡が見つ

かっていたことが分かった。専門家は、1カ所で集中的に食べられている状況などか

ら、ニホンジカの可能性が高いと指摘。環境省松本自然環境事務所(松本市)による

と、同国立公園内でシカが草花を食べたとみられる例は初めてという。北アではシカ

が分布を広げているとされ、研究者らが危機感を強めている。

 

 北アでは長くシカは生息しないとみられていたが、1998年の環境省のアンケー

ト以降、目撃例が相次いでいる。2010年には県林業総合センターが同公園外の野

麦峠(標高1672メートル)などでシカが樹皮を食べた痕跡を見つけた。昨年7月

には、爺ケ岳西方、鳴沢岳(2641メートル)の高山帯稜線(りょうせん)上でシ

カが撮影されている。

信濃毎日新聞

北ア山麓で多数のシカ越冬 松塩筑猟友会、駆除で目撃

0114日(月)

http://www.shinmai.co.jp/news/20130114/KT130113SJI090009000.php

 松本、塩尻市と東筑摩郡の狩猟免許を持つ人でつくる松塩筑猟友会は13日、ニホ

ンジカの個体数を抑えるため、松本市安曇の北アルプス山麓で初めての駆除を試み

た。約60ヘクタールの範囲でシカ10頭ほどを目撃。かつて北アに生息しないとみ

られていたシカが多く越冬している現状が分かったが、捕獲はできなかった。

 下山後の反省会では「足跡がかなりあった」「(周辺の山で)越冬しているシカは

かなり多いようだ」との声が出た。同猟友会安曇支部長の斎藤浩幸さん(52)=松

本市安曇島々=は「シカがあまりに増えれば脅威になり、手遅れになる。(今回は使

わなかった)猟犬を使ってまた駆除をしたい」と話した。

信濃毎日新聞

20130116

北アルプス山麓「ニホンジカ捕獲大作戦」が実施されました!

113日(日)松本市安曇地域で、多数の松塩筑猟友会等によるニホンジカの

駆除作業が行なわれました。その結果は?

http://matsuchi.nagano-ken.jp/e10477.html

 晴天に恵まれた当日、松本市安曇支所に梓川、安曇、奈川の各松塩筑猟友会猟友会

員や環境省、県、松本市の関係者約40名により、松本市安曇地区の「大明神山」の南

斜面にて「巻狩り」による「ニホンジカ捕獲大作戦」が行なわれ、そこに参加させて

いただきました。

ライチョウ保護、野生動物対策を 岐阜・高山で研究者ら会議

http://www.47news.jp/CN/201210/CN2012101301001695.html

 岐阜県高山市で開かれた「第13回ライチョウ会議」=13日午後

 国の天然記念物で絶滅危惧種に指定されているライチョウの保護について研究者や

関係者が意見交換する「第13回ライチョウ会議」が13日、岐阜県高山市で開か

れ、参加者から「高山帯に侵入した野生動物の対策が必要」との指摘があった。

 会議では、南アルプスや北アルプスの高山帯にシカなどの野生動物が侵入すること

で生態系が破壊され、ライチョウの生息に悪影響が出ている事例などが報告された。

 中村浩志信州大名誉教授(鳥類生態学)は「かつては狩猟者が野生動物の数を抑え

ていたが、高齢化が進み、動物の数も大幅に増えた。行政が主導して駆除チームを作

るべきだ」と指摘した。

2012/10/13 19:00 【共同通信

『ニホンジカ、食害対策で北アルプス追跡調査へ

http://ameblo.jp/jokeness1445/entry-11276916166.html

[読売新聞 613949分配信]

北アルプスに生息範囲を広げているニホンジカの食害から高山植物を守るため、環境

省は7月にも、シカの追跡調査を初めて実施することを決めた。

同省と林野庁、長野、富山、岐阜、新潟の4県などでつくる「中部山岳国立公園野生

鳥獣対策連絡協議会」が12日発足し、報告された。

同省長野自然環境事務所によると、調査は白馬岳、乗鞍岳、上高地の3地域で実施。

シカを1頭ずつ捕獲して全地球測位システム(GPS)装置を首輪で取り付けて放ち、

シカが移動する経路を追跡し、北アルプスに侵入するルートや越冬する場所などを把

握する。

2013年2月 3日 (日)

「肉食獣の再導入問題をめぐって」石城謙吉 中川元(2005)~オオカミ再導入の可能性は少なくない

「知床に再導入したオオカミを管理できるか」(米田政明2006)に関する疑問

http://nikkokekko.cocolog-nifty.com/wolf/2006.html

では米田政明氏の論考への疑問について書いた。

この米田論文がオオカミ再導入反対の論拠に使われることは多いが、同じ知床博物館研究報告2005年にある

「肉食獣の再導入問題をめぐって」石城謙吉 中川元

http://shir-etok.myftp.org/_media/shuppan/kempo/2606_ishigaki-nakagawa.pdf

が話題になることはほとんどない。

こちらは、オオカミ再導入容認派だからだろうか。

こちらの論考は、正確にオオカミの姿を捉え、米田論文にあるような恣意的な誘導のようなことを行っているようなものではない。

一部抜粋しつつ要旨を紹介する。

この論考は、肉食獣としてオオカミとカワウソを扱っているので、対象をオオカミ絞ることにする。

まずオオカミと人間の関係については、以下のように評価している。

家畜は別として,人間に対する危害に限ってみれば,オオカミがまだ生息していた時期の北海道で人間がオオカミに襲われた事例はない.また先住民族のアイヌにとってもオオカミは害獣ではなく,むしろシカ猟にたけた尊敬すべき神(ホーケルカムイまたはオオセカムイ)としてみられていた.さらに和人との長い歴史を持っていた本州以南のニホンオオカミの場合も,17世紀に日本に狂犬病が入って以降の狂犬病罹病個体によるものを除けば,彼らが地域住民に忌み嫌われていた形跡はない(平岩 1981).」

日本でもヨーロッパと同様狂犬病罹病個体によるものを除けば襲撃の記録はないことを述べている。

次に世界的には肉食獣の復元の潮流があることを紹介している。

大型肉食獣の復元運動-世界の動向

近年,世界の各地で“絶滅種の復元”の運動が進められている.ある地域で絶滅してしまった生物を,まだ生き残っている他の地域から再導入して復活させようとするものである.

  たとえば鳥類では,イギリスのスコットランドで,狩猟やコレクターによる卵採取で20世紀初頭に絶滅してしまったオジロワシをノルウェーから再導入して復元する運動が1956年から始められ,これはすでに成功している(Love 1988).哺乳類についてみると,Reading & Clark(1996)によれば,ヨーロッパではオオヤマネコの再導入による復元が1970年代以降ドイツ,オーストリア,スイス,フランス,スロベニアなどの諸国で取り組まれてその多くが成功しており,またオーストリアでは1992年にヒグマイギリス東部ではカワウソの再導入も行われている.そのほかスコットランドでは1994年頃からオオカミ復元のための運動が保護団体によって進められているようである.」

これらの復元の対象がすべて肉食獣であることについても触れる。

「一方北米大陸でも,オオカミ,アカオオカミ,カナダオオヤマネコ,ボブキャット,フィッシャーカワウソなどをはじめとするさまざまな哺乳類の絶滅地域への再導入が進められてきている.これらの早いものは1950年代に始められているが,大半はヨーロッパの場合と同様に1970年代以降である.また哺乳類の再導入はアフリカでも行われており,1980年代以降ライオン,ヒョウ,チーター,リカオンやハイエナなどの絶滅地域への再導入が各地で試みられている.

  こうしてみると,地域で絶滅した動物の再導入による復元は,現在世界の各地で行われつつあることがわかる.しかもそれらの多くは1970年代以降に行われるようになっている.これは近年自然の荒廃による生態系の破綻や生物多様性の喪失が,世界的に憂慮されるようになったことと無縁ではない.また,再導入の対象となっている動物の多くが肉食性のものであることは,肉食獣が食物連鎖の上位にあり,乱獲や自然の荒廃の影響をもっとも強く受けて絶滅しやすいためとみてよい.」


では肉食獣でなければならない理由はなにかと言えば、もちろん頂点捕食者の機能が必要だからである。


「では,なぜそうまでしての大型肉食獣の再導入なのか.その第一は,いうまでもなく本来の生物相の復元にある.しかも,それは単なる“欠員の補充”ではない.自然界における肉食獣の役割の見直しからきている.大型肉食獣は自然界の食物連鎖の頂点に立つ「ターミナルアニマル」である.したがって彼らは地域の生物群集全体に直接・間接の影響力をもつものと言ってよい.そのターミナルアニマルを失った結果として起こるのは,生物群集の中の特定の種の異常な増殖や減少といった自然の歪みである.その典型的な例が,現在の知床一帯の自然と言ってよい.絶滅を免れて徐々に数を増やしてきたエゾシカが,重要な捕食者であったオオカミがいない中で昭和60(1985)年頃から大増殖を始め(岡田ら 2000),それによって森林内の稚・幼樹が食い尽くされるようになり,さらに近年では大径木の樹皮食いが広がっているほか,ニワトコ,マユミ,ツリバナやガンコウランなどのエゾシカが嗜好する植物の絶滅も今では心配されている(石川 2005).

大型肉食獣復元の狙いの一つは,このような自然界の歪み,乱れを正して本来のバランスを取り戻させることにある.


今ならキーストーン捕食者と呼ぶところを「ターミナルアニマル」と呼んでいるが、大型肉食獣が失われることによって、自然界に歪みが生じるため、「乱れを正して本来のバランスを取り戻させる」という。

それは単なる欠員の補充ではない。

次に北海道に再導入する場合の自然条件を確認する。



再導入のための自然条件はあるか-北海道の現状と今後

「一方オオカミについてみると,北海道は現在も全面積の7割にあたる560万ヘクタールの森林を維持している.そのうち150万ヘクタールは人工林化され,また天然林も戦中・戦後の過伐によって著しく荒廃してはいるものの,森林面積自体は戦前以来基本的に変わっていないのである.さらに,狩猟と並ぶ大きな絶滅要因だったエゾシカの激減も現在では大きく状況が変わっている.絶滅を免れたエゾシカは,かつての捕食者であったオオカミの不在と禁猟措置のもとで戦後一貫して全道的に増加を続け,その結果今日では農業と林業に多大の被害をもたらすまでになっている.森林再生専門委員会における第2次復元生物の検討の中でオオカミが取り上げられた背景には,運動地を含む知床一帯でのエゾシカの異常増殖を如何にして抑制するかの論議もあってのことだった.こうしてみると,さらに検討すべき点はあるものの,北海道にはオオカミ復元の可能性は,自然条件の面では少なくないと言ってよいと考えられる」.



北海道にオオカミ復元の可能性は少なくない。



では今後に向けて、オオカミ再導入に必要なものは何だろうか。


再導入の社会的条件-コンセンサスと法整備

「こうした島への肉食獣の再導入は,人への危害や一次産業への被害などを始めとする社会的影響についてのとくに慎重な検討と道民のコンセンサスが不可欠なのは言うまでもない。オオカミによる人身被害についてみると,オオカミが生息していた時期の北海道には先にも述べたようにその記録はない.また記録に残るヨーロッパや北米での事例も狂犬病の罹病個体やイヌとの交雑個体などによるものにほぼ限られていることが今では明らかになっている.ただ,インドなどの一部地域では現在もしばしば人身被害が起きている事が知られている.このような地域による違いは,住民の生活様式やそれによるオオカミとの接触の違いからきているものと思われる.それはオオカミとの間にどのような“ル-ル”が歴

 史的に結ばれてきたかによるとみてよい.したがってオオカミの再導入に関する論議は,こうした事実をふまえて人間との共存の可能性を検討する必要がある.また,オオカミがきわめて学習能力の高い,優れた社会性を持つ動物であることも考慮されるべきである.

 

 しかし,一定の家畜被害は予測されることから,それがどの程度のものか,その被害を社会的にどう補償するか,また被害を最小限に抑えるためのオオカミの個体群管理をどのようにするか等について,欧米の現状を参考にして検討する必要があるだろう.」



重要なのは住民とのコンセンサスと法整備である。

再導入地が知床である理由は、知床を原生の自然に戻すためには、オオカミとカワウソが必要であり、その二つの種は、再導入という人為的な手段なしには復元は望めない。



 「しれとこ100平方メートル運動の対象地である斜里町岩尾別地区は,大正初期に開拓の手が入って原生林が伐り開かれた地域である.しれとこ100平方メートル運動は,いったんは森林を失ったこの土地を再び本来の原生の自然に戻すことを目標に,ナショナルトラストとして立ち上げられた.それ以来続けられている森林再生の仕事が進むにつれて,ここには本来の生息種である各種の哺乳類や鳥類が戻ってくることが期待されている.

しかしオオカミとカワウソは北海道全域で絶滅した動物であり,再導入という人為的手段なしには復元は望めない.



最後にこう述べて締めくくる。



(肉食獣の再導入について)

森林再生専門委員会のこれまでの検討結果や集められた資料が,今後のより広い範囲の論議に役立てられ,日本における自然保護の新しいステップとして行政を含めた検討の段階へと進んでゆくことを願って止まない.」

 という訳でこの論考は、オオカミ再導入について賛成してくれている。

 生態学の専門家が、偏見や先入観なしに現状の世界の潮流を取り入れて。冷静な判断をするなら、こういう結論になるのが当然なのだが、どうして日本では専門家の間で、「オオカミ復活」が忌避されているのだろうか。

 



この石城謙吉さんの見解に基づいて、と思われるが、「オオカミ再導入推進」の方針が2002年知床100平方m運動の方針として機関紙にも掲載された。石城氏のご挨拶にも、躍るような文章でその決意が書かれていた。

これが知床の関係者の総意かと思われたが、そうではなかったようだ。

 

石城氏が「しれとこ100平方メートル運動地森林再生専門委員会」の座長を退任されてから、この委員会は沈黙したように見える。

 

そして、機関紙等でも方針変更のお知らせはなかったが、2011年に刊行された「エゾシカは森の幸」(大泰司紀之+平田剛士著 近藤誠司(エゾシカ協会会長)監修)という本に、知床のオオカミ再導入に関わる結論としてこう書かれていた。

「人身事故や家畜被害の防止対策と補償体制を含む総合的なオオカミ管理システムを構築し、リスクは覚悟のうえでオオカミ再導入の意義を社会が認めることが先決です。それがない限り、知床へのオオカミ再導入は限りなく不可能に近い、というのが上記専門委員会の結論だったといえます。」

石城氏の論考、機関紙の宣言とは正反対の結論が、その委員会で出たと読める。

 

100m運動の機関紙は、知床財団になっても毎回目を通しているが、そのような見解の変更を読んだ記憶はないまたこの著者たちが委員だったということも、ネットワーク上では知りえない。

 

外部からこの様子を眺めると、石城氏が退任された後、こうした関係者が委員会へ圧力をかけ

結論を覆されたように見える。

その経緯と結果は、外部にはもれていない。

2013年2月 2日 (土)

イヌとオオカミの違い~消化能力に関して

「オオカミは危険だからイヌを代わりに使えばいいじゃないか」、などと世迷言を言う人が多くて困ります。

アゴの力、消化能力、走力、独力で生きていく力等、野生での能力の、あらゆる点でイヌはオオカミに劣り、代役は務まりません。

以下は、イヌとオオカミの消化能力を比較した研究ですが、その結果は、イヌが雑食で、オオカミが肉食だということを示しています。

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2923074/10159117?ctm_campaign=txt_topics

【1月24日 AFP】イエイヌが肉食のオオカミから人間の残飯を食べる家畜へと進化したのは、でんぷんを豊富に含んだ食事を消化できるよう遺伝子が変化したためだとする研究結果が23日、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。スウェーデン、ノルウェー、米国の共同研究チームが、イエイヌ14品種60匹と、世界各地から集めたオオカミ12匹の遺伝子コードを比較したところ、複数の明確な違いがあったという。

 論文の共同執筆者であるスウェーデン・ウプサラ大学(Uppsala University)のエリック・アクセルソン(Erik Axelsson)氏は、AFPの電子メール取材に「イヌの消化器系がわれわれ人間の食事に似たものを食べられるよう適応したことを示す発見だ」と説明した。

 これまでの研究では、イヌの家畜化が始まったのはオオカミが人間の居住地域の近くで残飯をあさり始めたことがきっかけだと考えられている。イヌは推定7000~3万年前にオオカミから枝分かれしたとされる。

「われわれは(進化の)謎を解く全く新しいカギを発見した。それは、イヌがより効果的なでんぷん消化能力を持っているということだ」とアクセルソン氏は述べた。これは、残飯を消化できるようになったオオカミだけがイヌの祖先に進化して生き延びた可能性を示しているほか、「イヌの家畜化が農業の発展と同時期に進んだことも示唆している」という。(c)AFP

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