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2013年4月27日 (土)

「狩猟の文化」ドイツでもやはり山崩れの被害多発・交通事故も多発



「狩猟の文化~ドイツ語圏を中心として」(野島利彰著)春風社2010

から、再び。

ドイツでは、前回書いたように、多数の狩猟者がいて、多数のシカ類を捕獲している。

年間捕獲頭数2005年度

アカシカ 62,902頭

ダマジカ 52,186頭

ニホンジカ 1,194頭

ノロジカ 1,077,441頭

日本の狩猟と違うのは、ドイツでは猟区の所有権がそのまま狩猟の権利として、その猟区の所有者にあることだ。猟区の所有者つまり狩猟家はその猟区を保全する義務が課せられる。猟区を持たない狩猟者は基本的にはどこでも狩猟をすることはできない。そういった意味で、ドイツでは狩猟は資産家や、大規模土地所有者の特権である。

「猟区の保全」には、狩猟動物を適度に増やし、かつ適度に間引きして群れを健全に保つことも含まれる。狩猟家が、狩猟家自身の手で狩猟動物を保護し、給餌して増やしてもいる。シカやイノシシは、健康で、色艶もよく、立派な角を持っていなければならない。獲物を健全な群にすることは、その猟区の所有者の義務になっている。

(こうした猟区の管理は、著者によれば家畜を飼育し、食肉にすることとほぼ重なる行為であるため、農家や畜産家と同じ意味で、「狩猟家」と呼んでいる。)


こうした管理を続けて、多数のシカ類を獲っているにもかかわらず、最近問題になっているのが、シカの増えすぎによる、森林や山の被害だ。


「(1980年代に山岳林崩壊がおきた)当時ドイツでは森林枯死が進行していた。この被害がとくにアルプスを中心とする山岳林でひどく、一部の地域では樹木が全滅したため、落石、山崩れ、冬期にはなだれの危険が出ているほどであった。林野庁は大気汚染に弱い針葉樹の純林から、広葉樹の混じった混交林に転換するように指導し、また実施していた。しかし、この施策の円滑な実施を狩猟動物が妨げていた。アルプスに近い森林地域は同時にアカシカの生息地域であり、枝角を求める狩猟家にとって、重要な狩猟区である。このアカシカやノロジカが樹皮をかじり、芽や葉を食い、その結果、樹木の生長を阻害し、枯死させた。」

 

ドイツアルプスは、おそらく天城山と同じ状態だ。

また、ドイツでも動物と自動車の事故が多発している。

ドイツ自動車連盟ADACの報告では、
1990年に、事故の件数は35万件、物的損害額は4億マルクに達している。

 

人的損害は、負傷3000名、死者50名である。



ドイツのアウトバーンは、日本の高速道路よりもシカが出入りしやすいのかもしれない。

1956年にハンブルク=ハノーヴァー間のアウトバーンが開通したとき、数週間で400頭のノロジカが轢かれた。森林を伐採して道路建設を進めれば、日光が差し込んで柔らかい草が生え、草をシカが食べるために通ってくる。開通後もそのままの習慣で路肩の草を食べていたのだろう。

こうした動物事故の対策の一つが、動物が渡る橋だ。フォルクスワーゲンがCSRの一環として援助していると紹介されていたうちの一つがこのことだった。

(ちなみにドイツ国内で行われているもう一つの野生動物保護の支援が「ウェルカムウルフプロジェクト」)

http://nikkokekko.cocolog-nifty.com/wolf/2012/09/post-2153.html

ドイツのこのような状態を見れば、狩猟に関する制度の違いはあって一概には言えないが、狩猟による頭数管理がきちんと働けば、なんとかなる、というのは無理がある、と思う。

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