無料ブログはココログ
2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

最近のトラックバック

« イエローストーンではオオカミ根絶後、エルクが激増した | トップページ | 「狩猟の文化」ドイツでもやはり山崩れの被害多発・交通事故も多発 »

2013年4月22日 (月)

「狩猟の文化」ドイツの狩猟産業は赤字

「狩猟の文化~ドイツ語圏を中心として」(野島利彰著)春風社2010



この本は偶然図書館で見つけたものだが、著者がドイツ留学で研究したドイツの狩猟文化について、歴史と現在を書かれた貴重な労作である。


この本から受ける示唆は数々あるが、まず最初に挙げるとすれば、「ドイツの狩猟経済は赤字である」ということだ。

赤字というのは、狩猟家全体として、食肉としての収入に対して、支出が大幅に超過している、ということだ。

具体的にいうと、食肉としての収入が1億8250万ユーロ(1ユーロ130円として、237億円相当)に対して、全体の狩猟のための支出は年間7億5470万ユーロ(約981億円)。


それには狩猟家が使う時間は算入していない。

また、健全な動物を維持し、動物数を制御、猟区の生物多様性維持、絶滅危惧種の維持等の自然保護活動ともいうべき内容も算入されていない。



ドイツと日本では狩猟制度そのものが違うため、支出項目も、日本では理解できないものも多い。したがって狩猟経済の赤字が日本でもまったく同じようになるとは限らないが、黒字化するとも思えない。ドイツの支出項目は以下のようである。

2005年度獲物の総額 182.5百万ユーロ(食肉としての流通:イノシシとノロジカの合計1億3234ユーロ=172億円)


2005年度の狩猟に関する支出 

 狩猟免許交付料 18.5百万ユーロ(2億4500万円)

 強制保険料 16.0

 猟区賃貸料 366.2

 狩猟税 65.0

 狩猟動物保護育成費 98.0

 狩猟保護 32.0

 農業加害補償・施設費 61.0

 装備・教育費 62.0

 猟犬飼育費 36.0

合計 754.7百万ユーロ(981億円)


このデータはドイツ狩猟保護協会(DSV)発行「DSVハンドブック2007」から取られたものであるという。以下の資料も同様である。



ドイツの狩猟経済は、金持ちの狩猟家が、装備や専用の狩猟場維持に金をかけて楽しみ、狩猟産業や、自然保護にお金が回るように組み立てられているもので、食肉で稼いだ金を自然保護(頭数調整)にまわすような構造にはなっていないらしい。

今日本では、ジビエで稼げれば、シカ頭数の調整に役立つと盛んに言われているが、ジビエの本場で、野生肉がどのくらいの価格で売られているか、というデータもあった。

狩猟動物の猟区渡し平均価格(1kgあたり)

アカシカ 4.5ユーロ(585円)

ダマジカ 5ユーロ(650円)

ニホンジカ 4ユーロ(520円)

ノロジカ 5ユーロ(650円)

シャモア 9ユーロ(1170円)

イノシシ 4ユーロ(520円)


前と同様、現在の相場1ユーロ130円で換算すれば、カッコ内の価格になる。

この価格帯であればこそのジビエの普及(もちろん歴史的な食文化と言う面がなければ成り立つはずもないが)である。

その結果、どこまでが食肉として流通しているかは不明だが、以下の頭数が捕獲されている。

年間捕獲頭数2005年度

アカシカ 62,902頭

ダマジカ 52,186頭

ニホンジカ 1,194頭

ノロジカ 1,077,441頭

ちなみに州単位で見ると、オオカミのいるラウジッツ地方、ザクセン州では、ノロジカがこのくらい獲られている。

ザクセン州 35,212頭

全体の頭数の2割獲られていると仮定すれば、ザクセン州周辺に17~18万頭程度のノロジカがいることが考えられる。これらはオオカミのエサでもある。

ドイツでは狩猟は、ビジネスマンや政治家が、あたかも日本でゴルフをそうしているように、接待に使うような位置づけにあるもののようだ。

今までは、ドイツはこのような狩猟のみによる野生動物の調整を行っていた。貴族の楽しみの延長のような狩猟であり、金のかかる遊びなのだ。

頭数調整を狩猟だけに頼るということは、お金をつぎ込み続けることだ。ジビエでも経済全体としては資金は回収できないと考えたほうがよい。


« イエローストーンではオオカミ根絶後、エルクが激増した | トップページ | 「狩猟の文化」ドイツでもやはり山崩れの被害多発・交通事故も多発 »

ハンター・狩猟」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/221774/57228624

この記事へのトラックバック一覧です: 「狩猟の文化」ドイツの狩猟産業は赤字:

« イエローストーンではオオカミ根絶後、エルクが激増した | トップページ | 「狩猟の文化」ドイツでもやはり山崩れの被害多発・交通事故も多発 »