無料ブログはココログ
2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

最近のトラックバック

« 「狩猟の文化」ドイツでもやはり山崩れの被害多発・交通事故も多発 | トップページ | 赤ずきんちゃんの物語は、嘘だ! ~4月30日オオカミの日 »

2013年4月28日 (日)

オオカミは危険か?オオカミ生息地の人々④イタリアの場合

イタリア・アブルッツィ山地のオオカミとヒト

エリック・ツィーメン「オオカミ」より

1941年スウェーデン生まれ。1967年北ドイツでオオカミを飼育、研究を続ける。WWFの委託によりイタリアオオカミの生態調査を行う。

「オオカミ」の後半は、イタリアでの調査に関する記録だ。

その調査地がどんな地域で、そこで最初に住民とどんなやりとりがあったのか、が書かれている。

オオカミ生息地の人々がどのような感情をもっているのか、非常に興味深いものがあり、抜粋で引用する。

まず調査地点の地域の概要である。

日本でいえば、首都からの距離、農地の点在する様等で日光か、八ヶ岳に似た地域だ。

http://www.youtube.com/watch?v=8MZTg9Ycj2w&feature=related

このような地域。



******************

ローマの東、アペニノ山脈の最高峰地域であるアプルッツィ山地 1972年当時25頭のオオカミが生息すると推定されていた。面積1700平方キロ(17万ha)

アブルッツィはアペニノ山脈の中心部である。この地域は北はアペニノ山脈の最高峰(コルノ山2914m)を含むグラン・ガッソディタリアが境をなし、西ではシレンテ山(2300m)が、東はマイエッラ山塊(アマーロ山2793m)、南はペトローソ山(2249m)を含むアブルッツィ国立公園が境をなしている。この地域の大部分は、ラクイラを主要都市とするアブルッツィ地方に属する。

気候は海洋の影響を強く受けていて、年間降水量は1300mm、降水日は年間110日、冬には高度1000m以上のところではふつう雪に覆われる。

北部はほとんど森林がないのに対し、標高1100~1800mの東部と南部の地帯では、密生したブナ林が急斜面をおおう。国立公園のいくつかの場所には松の原生林がある。その森の上方にはまず広大な牧草地帯が広がり、それがやまて岩だらけの草木のない高山地帯へと移行している。1100mより下方では、ヨーロッパブナがクマシデ(カバノキ科)とオークに押しのけられている。ここにもやはり広い牧草地帯があり、山間地ではトウモロコシや穀物の畑がある。さらに低い海抜700m以下の場所ではブドウ、果物、野菜そして穀物が栽培されている。

800m以上の地帯ではヒツジが飼われている。地元の群れはたいてい小さく、まれに100~200頭のヒツジと数頭のヤギといったところである。雪が積もっていない限りン津も冬も群れは毎日村と境をなす牧草地に話され、夜間は村の中にある石造りの家畜小屋に収容される。夏の間だけヒツジの一部はもっと高い山地にまで追い立てられ、その場合は夜間もそこの柵囲いに収容される。このような地元の群れにくわえて、夏には低地の大きな群れが山地に来て、6月の中旬から10月の終わりまで草を食べる。こうした群れは数千頭におよぶこともある。これらのヒツジも日中は牧羊者とイヌによって見張られ、夜間は柵が濃いに収容される。ここではスコットランドなどでふつうに見られるような、ヒツジが昼も夜も広大な地域に散らばって、見張りもなく草を食べる放し飼いはなかった。ヒツジの数が最近50年減り続けてきた一方で、ウシの飼育がやや上昇傾向にある。ウシは夏には山地で自由に草を食べる。

人間は主に山の低地に住んでおり、村や多くの小さな町、そしていくつかの大きな町がある。人口密度はアブルッツィ地方全体で1平方キロあたり109人である。高いところには、山麓から高度1100mまでの場所に小さな村がある。ここでは1平方キロあたり平均29人が住む。今世紀(20世紀)中ごろまでにはこれらの地域からの離村が相当あった。いくつかの村はまったく無人となった。ここ数年観光が盛んになるにしたがって、いくつかの地域ではそれとは逆の人口移動がはじまった。

アブルッツィの南部には約60から100頭からなるクマの小さな残存個体群、アペニノ最後のクマが生息している。シャモア(ウシ科)は国立公園にいる約500頭の小さなコロニーを除いて絶滅した。1972年に再移入の試みが国立公園ではじまった。イノシシもやはり姿を消していたが、現在ふたたび自然に分布を広げている。オオカミは、ルイージ・ボイターニが持っていた情報では、森林にかなりおおわれたマイエッラの一部と国立公園での報告だけだった。

(中略)

この地域でまず最初に村で唯一の飲食店「バー」で男たちの話を聞いた。

男たちは私たち(ツィーメンとボイターニ)にあれこれと尋ねた。なぜオオカミを保護したいのか、オオカミは何のために役に立つのか、そそてオオカミが怖くないのかと。

私たちも「なぜ怖がらなければならないのか」と聞き返した。ここの人たちがオオカミを危険な存在とみなしていることに驚いたからである。

オオカミが人を襲うということを、一度でも聞いたことがあるのか、と彼らに尋ねた。

「いいや、それはないけど、オオカミのことはたくさんテレビで聞くし、アメリカやロシアのオオカミのことも聞くし、本でも言われているじゃないか。どっちにしても、俺らは夜、一人じゃ歩かないしさ。それに、あんたがたが怖がらないのは・・・あんたがたは町の人間じゃないか。知らないからさ。」

そこに同席した一人の羊飼いは、これらの男たちがそれぞれわずかに所有するヒツジを朝引き取りに行って、晩に山から連れ戻す仕事をしていた。彼だけは、自分も夜道を歩く、と言った。「オオカミが怖いかって?ぜんぜんさ(ノー・マイ)」


オオカミに関する知識も経験もない住民は怖がり、経験のある羊飼いは「ノー・マイ」という。

世界中どこでも同じようだ。


« 「狩猟の文化」ドイツでもやはり山崩れの被害多発・交通事故も多発 | トップページ | 赤ずきんちゃんの物語は、嘘だ! ~4月30日オオカミの日 »

オオカミの生態」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/221774/57262904

この記事へのトラックバック一覧です: オオカミは危険か?オオカミ生息地の人々④イタリアの場合:

« 「狩猟の文化」ドイツでもやはり山崩れの被害多発・交通事故も多発 | トップページ | 赤ずきんちゃんの物語は、嘘だ! ~4月30日オオカミの日 »