富士山は鹿だらけだった
え~?ここでっていうところまでシカの痕跡があった。
静岡県側の十里木という地区から、高鉢駐車場から森に入る村山古道、それから富士スバルラインを登って、五合目あたりの森林限界を散策する御中道。そして青木が原樹海と大室山。富士山を南から北まで走ってみた。
十里木カントリー近くの植林地
標高1100m
食害写真はないが、それは植林地が柵でなんとか守られているため。
現地到着までの経路では、たくさんの食害地を見た。
推定10~20頭/平方キロ
西臼塚駐車場
1600m
林道ゲートには、「土日はシカ駆除が行われるので注意」とある。
樹木は、金網で巻かれている。
推定10~20頭/平方キロ
高鉢駐車場から村山古道
1600m
入る早々棒のようになったスズタケのお出迎え。
まだ苔むしたうっそうとした森の雰囲気は残っている。
推定30頭/平方キロ以上。ひどくなったのはおそらく最近2~3年。
富士スバルラインを登って五合目へ。
御中道は森林限界の線をたどるような散策路。
2300m
スバルラインの入り口を入ってからすぐに林床の開けた森の光景が。
推定30頭/平方キロ
御中道では、美しいコケの表面に足跡らしき痕跡が。
よくよく見直してみると、シカ道らしき痕跡が見えてきた。
推定10~20頭/平方キロ
青木が原
900m
林道のわきには樹皮をかじったあとがあるが、全体としてまだ樹海には入り込んでいない。
時折雑然とした枝折れがあり、シカの存在を感じさせる
推定5~10頭/平方キロ
大室山
1400m
青木が原を作った溶岩の切れめから先が大室山で、富士山麓の森の中でもっとも古い。
美しいブナ林のはずが、きれいにやられている。山頂あたりまで、続いているかもしれない。少し登ると樹皮剥ぎがあるらしい。
推定30頭以上/平方キロ
大室山は3000年の森
富士山の寄生火山(側火山とも言われる)としては2番目に大きいのが北西山麓にもっこりと盛り上がる大室山。もちろん富士最大の寄生火山は南東面に大きく口を開ける宝永山だ。宝永山は江戸時代の1707年(宝永4年)に誕生した最新の火山である。一方大室山の誕生、つまり噴火と成形は紀元前1200年前後とされているから、ふたつの山の誕生には3000年ほどの開きがある。地球史的にはわずかな差だが、現在見ることのできるふたつの山の表情は大きく異なる。片や火山砂礫に覆われた禿山、もうひとつはブナの美林に包まれた緑の山である。
北西部 大室山1468m
北西部 富士スバルライン
中核部 五合目お中道2300m
南東部 高鉢駐車場 村山古道 1600m
南部 十里木 西臼塚1000m
富士山をほぼ南北に縦断したようなルートで、標高約1000~2300mの地点を観察した。
白い丸でいうと一番上から青木が原、大室山、富士山五合目、村山古道、植林地。
これだけの地点で、同じように生息密度が上がっているのだから、富士山の周囲はほとんど同じように増えているはずだ。
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