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2015年8月 8日 (土)

IWMC2015 世界野生動物管理学術会議・見聞記③

・・・そしてマッカラー博士は、既述のとおり情熱的かつ容赦ないスピードのネイティヴ英語でイエローストーンでのオオカミ復活の経緯やその後に起こったエルクの生息数減少・ほかの動植物に及ぼした影響などについて語り、発表者③キース・オーネ氏も有蹄類をめぐるエコシステムの変化についてそのことを肯定。図らずも外国人発表者が3人とも、結果的には何がしかオオカミについてコメントすることになりました。

 細かい言い回しやニュアンスはよく分からず()、結局のところ議論がどこに落ち着いたのかいまいち分かりませんでしたし、マッカラー博士自身、オオカミの復活は時間がかかるもので、日本はまだ時期尚早かも、ということも口にしていましたから、知床関係者側としては「ご意見ごもっとも」と拝聴する姿勢を貫いただけ、とも言えますが、少なくとも知床のセッションで「オオカミ問題」は議論の俎上にちゃんと載りました。

やったー、無視されなかった\(^^)

 

 

 会場には、知床の科学委員会の最初の座長をつとめ「オオカミ問題は長期的な視点で取り組む問題だからこの委員会で扱う分野ではない」と宣言し(エエッ Σ(@@;)科学委員会が長期的な視野の問題を議論しないで、誰がするっていうの?)「そもそも知床にエゾシカは殆どいなかったのだから、根絶させてもかまわない、それぐらいの覚悟で強い捕獲圧をかけろ」と強度の間引きを主導している梶教授の姿がありました。また、反オオカミ論文として一番多く引用される米田論文(2006)の、草稿の段階から内容の方向性を主導した自然環境研究センター(環境省の外郭団体)の常田氏もいました。でも両者とも沈黙。



かわりにカナダの大学所属のスズキノブヤという人が司会の指名も待たずにマイクのところに進み出て「自分は途中から参加したからここまでどんな議論になっていたのか知らないが、イエローストーンでのオオカミ復活には賛成するけれども、オオカミはカナダではカリブー保護のために駆除されているし、北米では家畜被害もあり、オレゴンからカリフォルニアまでとんでもなく長距離を移動するオオカミもいる。地域によって事情が違うのだから、知床だけでオオカミを考えることはできないのではないか」ということを英語でまくしたてました。


これに対しマッカラー博士は、苦笑交じりに肩をすくめて「だから私が10年前に提案したのは、入れたオオカミがどこかに行っちゃうのがいやなら半島の基部にフェンスを張るといった方法もあるよ、ということだった。いずれにせよ、知床をどういう地にするのか、決めるのは日本人だ」


・・・その10年の間に日本人がやってきたことと言えば、観光資源としての利用状況の改善(これは将来に向けてとても大切なことだけど)、そしてエゾシカを減らすために、駆除の利便性向上のための仮設フェンスを張ったりヘリを飛ばしたり餌づけをしたり狩猟規制を緩和したり。オオカミやカワウソを復活させEcological Integrityを目指す動きは(少なくとも外部からは)まったく感じられず、「エゾシカ駆除はこんなにうまくいきましたよ」と誇らしげ。でも一応、世界自然遺産地域なので「これで良いとは思ってません」のポーズで「知床の将来像はどうあるべきか、また誰がその責任を担うべきでしょうか」と、ひどく答えにくい問いを会場全体に投げかけて終了。


・・しかしこの問いかけも、申し訳ないけど、国際会議用のパフォーマンスとしか思えなかったです。オオカミやカワウソの復活問題は、知床の理念にとって非常に重要なキーファクター(カギとなる要素)なのですが、それを真剣に、深刻に考えているような印象は今回、日本側から感じることはできませんでした。


 

今回のこのセッション内容、はたして今後、広く日本社会へ向けて発信されるでしょうか(たとえば前回のシンポ内容が出版されたように)

もし何らかの発信があれば、それでも少しは希望の芽が知床にも残っていることになります。でも「寝た子は起こすな」とばかりに封印お蔵入り、ということも十分ありえます。


 

その後、場所を斜里町に移してタウンミーティングも開催されたようですが、そこでもオオカミの話題が出たかどうかは分かりません。

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