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2015年8月

2015年8月 8日 (土)

IWMC2015 世界野生動物管理学術会議・見聞記 おまけ②

このスズキ氏とはもう少し突っ込んだ話ができるかな・・と思った時、向こうからスズキ氏に声をかけるべく近づいてくる人が。「やあ、さっきの質問はよかったねぇ。問題点が明確になったよ」って・・

Σ(゜Д ゚;) 梶教授だっ

 ってか、この二人やっぱり知り合いかー。知床のセッションの場がオオカミ復活に肯定的な雰囲気になってしまうのを阻止したかった想いは共通していたようです。


 

梶教授が来たからってそそくさとこの場を去るのはロコツで不自然だし、失礼だろうし、ええぃ仕方ない、この際思い切ってご挨拶だ!と名刺をゴソゴソ。 その動きにつられて梶教授も名刺を出しかけましたが、私がオオカミ協会を名乗ると「あ~・・」と意味ありげに笑い、手を止めてしまいました。私の名前など知る気がないオーラ全開。こ・れ・は、名刺を出すタイミングが・・と戸惑う私にむかって、梶教授は「やっぱりオオカミはダメですよ」と一方的に持論を展開し始めました。・・ヲヲッ?(゚▽゚;)ノノ


「有蹄類はやはりボトムアップですよ。なぜエゾオオカミが絶滅したと思いますか?大雪でエゾシカが大量死して、それで餌がなくなって牧場を襲って駆除されたんですよ」(はぁ、知ってます。ってか、その前に人間によるエゾシカ大乱獲があって、その影響が長く続いたと梶教授ご自身、ご自分の本でお書きになってますけど?)


「アメリカでだってオオカミによる家畜被害は多いし」(家畜損失の原因の中で、オオカミが占める割合は1~2%です)



「セッションの後で研究者に確認したら、イエローストーンではエルクがまた増えてきたらしいですよ」(それは初耳ですが、そういうこともあるかもしれません。日本でも、オオカミが来たからといってエゾシカが根絶される心配はないってことですよね)


「フランスでは、イタリアからオオカミが入ってきて、困った農家は何をしてると思いますか。ノロジカを増やして放しているんですよ。何でそんなことを、というと、オオカミに食べさせるんだと」(つまり野生餌さえ豊富にいれば家畜への害は減らせるってことですよね)


・・・etc. etc. とにかくご自身が見聞きして知っているオオカミ関連情報を次から次へと披露して下さるのですが、どれも断片的(もちろん立ち話ですから仕方ないことですが)で目新しい話もなし。教授の頭の中で「オオカミ=害獣=絶対阻止」という図式が強固に出来上がっていることだけはよく伝わってくるのですが、お顔はにこやかでもこちらの話は聞く耳もたずの姿勢で、話題は次々に変わるし、私はおろかスズキ氏も口を挟めません。


と、たまたま通りすがった主催者の方が「打ち合わせが始まりますよ」と声をかけたため、「とにかくオオカミだけでシカは減らせませんよ」と捨て台詞のように決めつけて、行ってしまいました。

ポカーン( ゚□゚;)


残されたスズキ氏も私も、何だかもうこれ以上話をする気が失せていました。「・・とにかく、ちゃんとした議論にならないと」とスズキ氏がいうから「こんなふうに、議論にならないんですよね~」と苦笑してみせると、さすがにたった今目の前で展開された梶教授の態度を否定することもできず、何だかお互い気まずい感じで「じゃ、どーもー」「よかったら明日の発表、聴きに来て下さいー」みたいな感じで別れたのでした。チャンチャン。


IWMC2015 世界野生動物管理学術会議・見聞記 おまけ①

おまけ。

 終わって会場を見渡してみても、先ほど反オオカミの意見を述べたスズキ氏の姿は無し。途中で入ってきて、言いたいことだけ言って先に出ていったらしい。・・結局ああいう人って、知床や日本の自然のことを全体として (現状だけじゃなく理念やら将来像やら社会的な面も含めて)考えようとはしないんだよなー・・と思いながら、さてホテルに戻るかーと1階に降りるエスカレーターに乗っていたら、降りた先のフロアを横切っていくスズキ氏を発見!思わず呼び止めて話しかけてしまいました。もちろん日本語で!(^^;)

「あーさっきの質問ね。あれは司会者がダメだよ、喋ってたの誰か知らないけどさー(スズキ氏はマッカラー博士のことを知らないらしい)、好き勝手にベラベラベラベラ一方的に喋らせて。30分くらい一人で喋ってたぜ。 ああいう時は司会者が議論の方向性を示さなきゃいけないのに、何も言わないで聞いて、ハイ次。あれじゃだめだよな。議論になってなかった」

(・・・スズキ氏のこの反応からも、よほどマッカラー博士はオオカミ復活に有利な話をしてくれた、のかな?と思うのですが・・嗚呼、英語力の無さが返す返すも悔やまれる・・ダメもとでコッソリ録音すればよかった・・)

「イエローストーンでのオオカミ復活は俺もいいと思ったけど、カナダではオオカミはものすごく増えて駆除されてる。そういう現実を考えると、日本で、というのはさすがにねー(肯定はできないの意)。俺は科学者だから。」

(・・・なにそれイミフ。俺様基準?)


しかしここで議論をふっかけるほど私も子供じゃないです() せっかくの機会を逃す手はありません。ニッコリ礼儀正しく、カナダ在住だというスズキ氏からオオカミ情報をゲットする方向に話を変えました。

 前々からfacebook等で断片的に情報に触れて気になっていたカナダでのオオカミ駆除のこと。カナダでは、ウッドランドカリブー(シンリントナカイ)が減少しているので、その保護のためにオオカミを駆除している。「でもカリブー減少の原因は天然ガス開発のせいだとも聞いたのですが」と私。するとスズキ氏、やおらまじめな顔になって少し詳しく話してくれました・・というのも、翌日に彼はそのテーマで口頭発表をする予定だったのです!自分の発表内容に関することですから、関心をもって質問されるのは研究者としては嬉しいことですよね(笑)


かいつまんでいうと、シンリントナカイは未開の森林(成熟林)に適応した動物で、ガス田開発のために成熟林を切り開くと、林縁や草地が増えて、そういう場所を好むエルクやムースが進入してくることになる。そしてそれを追ってオオカミが来てしまい、増えてしまった。シンリントナカイが、増えたオオカミに捕食されるのは困るので、オオカミを駆除することになった、と。


・・・これって一見、因果関係がもっともらしく思える。でもよくよく考えると、ちょっとへんだな、と思いませんか。

 彼ら反オオカミ派は、オオカミは生態系に必須の動物とは認めず、邪魔な、余計な存在で、いない方がいろいろと都合が良いという発想から出発しています。だからオオカミがやってきたら困る、増えると困ったことが起こるから駆除する、という流れ以外にはないと思い込んでいる。

でも一方で彼らは、動物の生息数は利用可能な資源量に規定されるという「ボトムアップ理論」を信奉しています。オオカミは餌である有蹄類に依存して生きているだけであって、有蹄類の生息数を制御することはない、まして有蹄類の健全な存続や能力の発揮に貢献している・・などという発想はない。


・・・とすれば。彼らの信奉するボトムアップ理論からすれば、カリブーを追い詰めているのは、オオカミではない、はずです。カリブーを追い詰めているのは、成熟林を切り開いて彼らの好適な生息地を奪い、林縁を作り出したり草地にしたりしてしまった人間の開発であり、その恩恵にあずかって進入してきたエルクやムースとの「餌の競合」が、カリブーにとっては第一の脅威と考えられます。科学的な思考をするなら、そういう結論になるはず。


・・では、なぜその事例が、日本でのオオカミ復活に反対する根拠となるのでしょう?

 「俺は科学者だから」って、何?

 

 

 

本当はこういうふうに「そちらが信じるボトムアップ理論から言ったら、それはへんじゃないですか?」「もし仰るとおりなら、問題の焦点はそこではないですよね」・・って感じの議論を、感情的にならずにやりたいんですよね。そういう「科学的な事実を踏まえた理詰めの議論」をすることで、賛成反対お互いに見えてくるもの、学べることがある。マッカラー博士もそれを肯定するからこそ、あえてコメントでオオカミ問題を取り上げてくれたのかもしれません。でも日本は往々にして「議論になった」=よくなかった、という雰囲気があります。議論の場で主張をたたかわせ「今日はお互いに有意義だったな!HAHAHA!」という風土が日本人研究者の中にないのです。



スズキ氏がセッション会場で、オオカミの困る点として挙げた長距離を移動する個体のことについても、私たちはミッチ博士のシンポジウムで既に情報を得ています。オレゴン州から州境を越えて150年ぶりにカリフォルニアに戻った雄オオカミ「OR-7」 愛称ジャーニー。彼に対してカリフォルニアの州政府は何をしたでしょうか。州境にハンターを配置して追い払った?進入阻止のフェンスを作った?いいえ。600ページに及ぶオオカミ管理計画を作成しました。たった1頭のオオカミのために、それだけの用意をしたのです。


 要は人間の側に「オオカミと共存する意志」があるかどうか、関係者にやる気があるかどうかの問題なのです。オオカミがどんな動物であるかの問題ではない。

オオカミを論じることで、実はそのことがあぶりだされてしまうのです。だから反オオカミ派は「オオカミは危険だ、何か悪いことがあるに違いない」と言い立て、いかにもオオカミ復活が非現実的なアイディアのように演出をし、それ以上の議論をさせたがらないのです。余計な仕事はしたくない、というのが本音なのかもしれません。



IWMC2015 世界野生動物管理学術会議・見聞記③

・・・そしてマッカラー博士は、既述のとおり情熱的かつ容赦ないスピードのネイティヴ英語でイエローストーンでのオオカミ復活の経緯やその後に起こったエルクの生息数減少・ほかの動植物に及ぼした影響などについて語り、発表者③キース・オーネ氏も有蹄類をめぐるエコシステムの変化についてそのことを肯定。図らずも外国人発表者が3人とも、結果的には何がしかオオカミについてコメントすることになりました。

 細かい言い回しやニュアンスはよく分からず()、結局のところ議論がどこに落ち着いたのかいまいち分かりませんでしたし、マッカラー博士自身、オオカミの復活は時間がかかるもので、日本はまだ時期尚早かも、ということも口にしていましたから、知床関係者側としては「ご意見ごもっとも」と拝聴する姿勢を貫いただけ、とも言えますが、少なくとも知床のセッションで「オオカミ問題」は議論の俎上にちゃんと載りました。

やったー、無視されなかった\(^^)

 

 

 会場には、知床の科学委員会の最初の座長をつとめ「オオカミ問題は長期的な視点で取り組む問題だからこの委員会で扱う分野ではない」と宣言し(エエッ Σ(@@;)科学委員会が長期的な視野の問題を議論しないで、誰がするっていうの?)「そもそも知床にエゾシカは殆どいなかったのだから、根絶させてもかまわない、それぐらいの覚悟で強い捕獲圧をかけろ」と強度の間引きを主導している梶教授の姿がありました。また、反オオカミ論文として一番多く引用される米田論文(2006)の、草稿の段階から内容の方向性を主導した自然環境研究センター(環境省の外郭団体)の常田氏もいました。でも両者とも沈黙。



かわりにカナダの大学所属のスズキノブヤという人が司会の指名も待たずにマイクのところに進み出て「自分は途中から参加したからここまでどんな議論になっていたのか知らないが、イエローストーンでのオオカミ復活には賛成するけれども、オオカミはカナダではカリブー保護のために駆除されているし、北米では家畜被害もあり、オレゴンからカリフォルニアまでとんでもなく長距離を移動するオオカミもいる。地域によって事情が違うのだから、知床だけでオオカミを考えることはできないのではないか」ということを英語でまくしたてました。


これに対しマッカラー博士は、苦笑交じりに肩をすくめて「だから私が10年前に提案したのは、入れたオオカミがどこかに行っちゃうのがいやなら半島の基部にフェンスを張るといった方法もあるよ、ということだった。いずれにせよ、知床をどういう地にするのか、決めるのは日本人だ」


・・・その10年の間に日本人がやってきたことと言えば、観光資源としての利用状況の改善(これは将来に向けてとても大切なことだけど)、そしてエゾシカを減らすために、駆除の利便性向上のための仮設フェンスを張ったりヘリを飛ばしたり餌づけをしたり狩猟規制を緩和したり。オオカミやカワウソを復活させEcological Integrityを目指す動きは(少なくとも外部からは)まったく感じられず、「エゾシカ駆除はこんなにうまくいきましたよ」と誇らしげ。でも一応、世界自然遺産地域なので「これで良いとは思ってません」のポーズで「知床の将来像はどうあるべきか、また誰がその責任を担うべきでしょうか」と、ひどく答えにくい問いを会場全体に投げかけて終了。


・・しかしこの問いかけも、申し訳ないけど、国際会議用のパフォーマンスとしか思えなかったです。オオカミやカワウソの復活問題は、知床の理念にとって非常に重要なキーファクター(カギとなる要素)なのですが、それを真剣に、深刻に考えているような印象は今回、日本側から感じることはできませんでした。


 

今回のこのセッション内容、はたして今後、広く日本社会へ向けて発信されるでしょうか(たとえば前回のシンポ内容が出版されたように)

もし何らかの発信があれば、それでも少しは希望の芽が知床にも残っていることになります。でも「寝た子は起こすな」とばかりに封印お蔵入り、ということも十分ありえます。


 

その後、場所を斜里町に移してタウンミーティングも開催されたようですが、そこでもオオカミの話題が出たかどうかは分かりません。

IWMC2015 世界野生動物管理学術会議・見聞記②

 

 

 

こんなことなら、想定問答やら日本情報やらを事前に準備しておくんだった!・・などという後悔をしている余裕もなし!とにかくブロークンイングリッシュで話をするしかないっ(^^;) マッカラー博士、すっごく優しくて親切で、「学びたい日本人には何でも教えてあげるよっ!!」オーラ全開でした() ・・ ただ、そのわりには容赦ないネイティブのスピードと語彙で、喋る喋る喋る喋る・・・

 

 ・・わ、わからないっ \(^^;)/ オテアゲ

 

 

 

でも、即答でしたよ。「オオカミ?ああ、シカを減らすよ。知床にオオカミが戻ったら役に立つと思うよ(大意)」ですって。

 

オオカミは生態系に有益である、確かに家畜被害などは出すがそれは割合としてはごくわずかである、そして人々が想像しているような「悪い」動物ではない。この3点が人々に共有されれば、再導入は可能だろう。だが社会が変わるのには時間がかかる。米国でできたから日本でも、と考えるのは違う。まして羨望(jealous)が動機ではいけないよ、みたいなことを仰って下さってた・・・気がする・・・英語力の無さが、む、無念。。。orz

 

 

 

 

 

 それから、苦笑まじりに「どうも日本人研究者は、オオカミを恐れているようだねJapanese scientists seems to be afraid of wolves. (←正確な文章ではありませんが)」 みたいなことを。

 

あ、やっぱり、お感じでしたか。

 

それで「私たちは、オオカミ復活に賛成でも反対でも、とにかくオープンに議論がしたいんです、議論することから分かってくることがあり、得るものがあると思っています。でも反対派は議論そのものを望まず、オオカミを無視しようとするのです」と申し上げました。

 

それに対して博士は「古い時代の科学や伝承を信じている人はオオカミを受け入れないだろう。いいかい、そういう人は、いくらあなたが頑張っても考えを変えない。しかし社会は変わり、新しい科学のもとで育った若い世代はそうではないかもしれない。大切なのは若い人たちへの教育だ」と。

 

 

 

教育が大事。

 

それが休憩室での会話の結論でした。

 

 

 

もう私自身はこれで大満足で、「じゃあね」と立ち去るマッカラー博士にお礼を申し上げて見送り、あとは午後のセッションを楽しみに、心を落ち着けて、お昼を食べていました。

 

 

 

・・午後の知床のセッションが、あんな感じになるとは予想もせずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしていよいよ午後、知床のセッション。

 

 世界自然遺産登録から10年、知床ではどのような取り組みが進み、イエローストーンは今どういった状況なのか。加えて、ロシア極東のシホテ・アリン保護地域は北海道に近く、オオカミもカワウソもいる豊かな自然が残っており、大いに参考になる地域なので、その情報も交えて、① 3地域の共通点と相違点の理解 ② 知床の将来像を考える、という趣旨の集会です。

 

・・・まず冒頭で、撮影禁止と言われた(ように聞こえた・・orz )ので、写真は無しです。

 

 趣旨説明に続いて、発表者①(敬称略)環境省の担当者から知床の紹介。自然遺産とされるには評価基準(criteria)がいくつかあるのですが、知床は「海と森のエコシステムのつながり」と「生物多様性」の2基準で選定された場所です。そこで今、おこなわれているのは?そう、人の手によるエゾシカの間引きです。発表者②がその説明をしました。道沿いに誘因餌を撒いてシカを集め、国道を通行止めにして移動しつつ車上から効率的に撃っていく方法と、全長3キロの一時柵を半島内に設置してシカを追い込み撃つ方法。・・本来、人の手はなるべく加えず、自律的な健全な自然を保つべき世界自然遺産地域。そこで「我々は将来もこれを続けるべきなのでしょうか?」発表者①も②も、最後にそう問いかけるだけで、答えを示そうとはしません。

 

 続いて発表者③がイエローストーンの話。タイトルは大型有蹄類の保全と管理となってはいますが、そのベースとなる「保全と管理」の考え方、という部分に力点が置かれていました。いわく、守るべきは Ecological Integrity であると。システム・ダイナミクス、エコロジカル・プロセスが重要であり、個々の動植物をどうこう・公園地域かそうでないかというよりも、公園地域を核とする周辺一帯の、たとえば捕食という行動とか、季節移動とか、自然発火の野火とか、そういうものを我々は守っていくのだ・・・みたいな話でした。

 

 発表者④は知床のヒグマ管理の現状報告。高架木道とガイド付き少人数ツアーを行っていること、ウトロの町を電柵で囲い、人の生活圏とクマとを分離していること、餌やり禁止キャンペーンやウォッチングツアーの紹介などを行いました。休憩をはさんで、発表者⑤がイエローストーンのヒグマ管理の簡単な歴史と現状報告。当地のヒグマは、子グマの死亡率が以前と比べて高くなっているのに、数は増えているんだそうです。興味深いですね。そしてロシアの自然保護地域の話ですが、発表者がビザか何かの事情で来日できず、この地域でカワウソの生息地調査を行った日本人研究者が代読しました。

 

そして総合討論。日本人の司会者が「増えすぎているシカ問題」「公園内外を考えたヒグマ管理」「その他」について話題をふったりしていましたが、いまひとつ盛り上がらず。社会状況も違うし、だいいち、オオカミとカワウソがいなくてシカとクマが1種類ずつしかいない知床と、複数の有蹄類がいてクマも2種類いて大型ネコ科もいる他2地域とでは、噛み合う議論や助言はなかなか難しいのだろうな、という感じがしました。

 

 

 

 

 

そして最後にマッカラー博士のコメントです。

 

・・・ここまででお分かりのように、発表者からはほぼ「wolf 」という単語は出ませんでした。発表者⑤に対しての来場者からの質問に、子グマの死亡率増加には、再導入されたオオカミは影響しているのか?というものがあったけど、それくらいでした。

 

でもマッカラー博士は冒頭からオオカミの問題にズバリ切り込んできました。

 

おおっと!

 

 博士「10年前、ここ北海道で知床の話をし、そして10年後、同じディスカッションの場に戻って来れて嬉しい。いろいろな取り組みが進められ、状況が改善しているのを知って嬉しく思います。」

 

 司会者「 期待していた通りの方向か、どうでしょうか」

 

 博士「そうですね。でもオオカミの問題が進んでいないのは残念です」

 

 

 

 

 

 

 

思いがけず長期連載になってしまいましたww もう少し書きたいことがあるのでお付き合いください。

 

IWMC2015 世界野生動物管理学術会議・見聞記①

 

IWMC2015 世界野生動物管理学術会議・見聞記

 

南部成美

 

 

 

札幌でIWMC2015 世界野生動物管理学術会議というものが開催されました。

 

http://rgu-wildlife.info/iwmc2015/

 

 

 

2015726日~30

 

於:札幌コンベンションセンター

 

 

 

 

 

札幌で開催されたこの会議に参加 (…というか、発表はしなかったので聴講というのが正しい表現でしょう) してきました。

 

 事前の下調べでは、全5日間のスケジュールの中でオオカミがテーマやタイトルに含まれているものは口頭発表・ポスター・シンポジウム合わせてもたったの8題のみ。費用対効果を考えて、直前まで参加するかどうか決めかねていました。

 

でも、国際会議が日本で開催されるのはそうそう無い機会だし、知床が世界自然遺産に登録されて10年に当たる今年、10年前のシンポジウムと同じ研究者 Dr. Dale McCullough が再来日して話すというので、これはぜひ直接お話をうかがってみたい!と決心し、貯金をはたいて(涙) 行ってまいりました。

 

 

 

・・イエローストーンのオオカミ復活に多大な貢献をしたUSFWSMr. Ed Bangs 。彼は10年前、シンポジウムのために来日し、マッカラー博士とともに知床の森の惨状を見て、ここにもオオカミを入れるべきだと発言してくれました。のちに出版された『世界自然遺産 知床とイエローストーン』を読んで「この日本で『オオカミが必要だ』とハッキリ断言するとは、何て豪胆な人なんだろう!」と思い、エドってどんな人かなぁ・・と想像を膨らませていました。そして、ついに2013年秋、念願かなって直接会うことができ、本にサインをもらって(ミーハー ^^;) 年に2,3回はメールのやりとりをする仲になれたわけですが(←それって「仲」というほどじゃない、というツッコミは無しでお願いします) 今回、エドは来ません。日本の研究者や関係者はほとんどが「オオカミぃ?むりむり」という態度です。環境省も門前払いの姿勢を貫いています。

 

 

 

 

 

・・・10年後の今回、知床をテーマにしたセッションで、きっとオオカミは無視されるな。

 

そう思いました。そのガッカリを覚悟のうえで、出かけたわけです。

 

 

 

 

 

 

 

当日、朝一番の午前前半には、会場で一番大きいホールで Dr. Dale McCullough ( マッカラー博士)ともうお一人が『長期にわたるモニタリングから見えてくるもの』という趣旨の講義を行いました。マッカラー博士はシカの専門家です。かつてアルド・レオポルドをはじめとする初期の研究者たちが、有用な資源であるシカ類を保護するためにいろいろな研究をし、提言をしたわけですが、それが科学的に妥当な推測だったかどうか、自然のことは短期間の研究では見えてこないものがたくさんあること、また時代を経てDNA分析など新たな手法も使えるようになって新たな知見が加わっていること、などを話していました ・・・ま、だいたいそんなような話・・としか分かりませんでしたが(てへぺろ)

 

続いて次の方の、セレンゲティの有蹄類の話は、日本のオオカミとは関係ないかなーと思ったのですが、アフリカのセレンゲティは憧れの場所のひとつですし、せっかくだから聴いてみようと思いました。これも面白かったです。目からウロコというか。セレンゲティといえば見渡す限りの大草原、駆け抜けていくヌーの大群、太古の昔から未来へと永遠に続く、野生の王国・・みたいなイメージだったのですが、どうもそれってちょっと違ったみたい。いま目の前に見える景色からは想像できないことも歴史をたどると浮かび上がってくる、だからそれをふまえて未来を考えなければならない、とのこと。考えさせられる話でした。

 

 

 

 

 

さて、午前の前半は終了。集まった人々は午前後半の別のセッション会場へ向かったり、ランチに出かけたり、三々五々去って行きます。でもマッカラー博士は、午前は次の予定はないらしく、会場の片隅で知り合いと話したり質問者に答えたりしています。

 

・・午後はいよいよ知床のセッション。マッカラー博士は、発表はしないけど、セッションの最後に、全体の総括というか講評をするお立場なので、「ワタシ、お話を伺うのを楽しみにしてました」とだけ申し上げようと、勇気をふりしぼって声をかけてみました。(だって私の英語力では、午後のセッション会場の方で、並み居る参加者を前に、その場で英語での質問やコメントをするなんてとてもとても考えられませんから。しかもマッカラー博士ご自身は、オオカミについてどう思っているか分からないし。講義ではレオポルドに否定的なニュアンスで話をしていたし。反オオカミ代表格な梶教授の個人的知り合いだし・・・云々)

 

ま、ひとこと「午後のセッション、楽しみです」と申し上げるだけなら失礼にならないだろう、日本にはオオカミ復活を望んでいる人間がいることだけお伝えできればいいやと思って。

 

 

 

と こ ろ が。

 

 

 

かくかくしかじかで、せっかくエドが10年前に「知床にオオカミを」て言ってくれたのに~、日本は全然動いてなくて~・・みたいなことを申し上げたところ、マッカラー博士が「これから休憩室にお茶を飲みに行くんだけど、一緒にどう?ちょっと話をしようよ」

 

えええぇーっ\(@@:)/ あたふたあたふた

 

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