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2017年7月30日 (日)

オオカミは日本の森林を守ることができるか?

「日米独オオカミフォーラム2016」で来日されたシャノン・バーバマイヤ博士がインターナショナルウルフセンターの機関誌International Wolf Magazineに、日本のレポートを寄稿されました。

 

Kimg0013

A Look Beyond

 

という欄にありますが、HPに掲載されているのはさわりだけなので、全文を翻訳しました。

 

 

Shannon Barber-Meyer

 

シャノン・バーバーマイア (アメリカ)

 

 学術博士。イエローストーンや五大湖地方のオオカミによるシカ類の頭数調節を研究。合衆国地理調査研究所(USGS)研究員。

 

 

International Wolf Magazine

 

Summer 2017

 

http://www.wolf.org/wolf-info/wolf-magazine/summer-2017/

 

 

 

A Look Beyond

 

Can Wolves Help Save Japan’s Mountain Forests?
by Text and photos by Shannon Barber-Meyer

 

Japan is facing a major problem. The understories of its beautiful mountain forests are being killed by overabundant sika deer and wild boars. Even taller trees are suffering from bark stripping
and girdling by deer. Efforts to halt soil erosion on steep mountain slopes consist of concrete lattices and soil “dams” embedded into the mountainside. Fences are erected to keep deer out—but fences must be maintained, deer can jump fences, and fencing simply can’t be put everywhere it’s needed.

 

 

 

日本は大きな問題に直面している。美しい森林の下層植生が増えすぎたシカとイノシシによって殺されようとしている。高木でさえシカによる樹皮剥ぎで影響を受けているのである。

 

切り立った山の斜面からの土壌流出を止めるために格子状のコンクリートと砂防ダムが造られている。シカ入れないためにフェンスが建てられているが、フェンスは維持管理しなければならないし、シカはフェンスをジャンプしてしまう。それにフェンスが必要なところにどこでも建てるわけにはいかない。

 

正規のハンターになるには複雑な資格要件が必要なこともあり、ハンターの数は限定され、シカやイノシシの頭数を許容可能なレベルに抑えられずにいる。そして科学者は気候変動がこの問題を悪化させると指摘している。最近の降雪が少ないため、シカが今までなら通うことができなかった山岳地帯へ年間通じて通うことができるようになった。

 

オオカミはこうした死につつある日本の森林を救うことができるだろうか。

 

日本のオオカミは1905年までに、家畜を襲ったことが原因で人間が迫害し、懸賞金をかけて、また狂犬病やその他の病気が原因で絶滅した。ふたつの亜種がもともといたと認識されている。エゾオオカミは最北の島北海道に(この島はカムチャツカ半島に隣接している)、もう一つのニホンオオカミは本州と他の島で見つかっている。(朝鮮半島に隣接している)絶滅以来、オオカミ目撃の噂はあるけれども(おそらく野生のイヌだが)、アメリカ人動物学者が採集した標本によって本州で記録されたのが、日本で最後のオオカミである。

 

1990年代前半から、日本オオカミ協会(JWA)は農村地帯の生態系修復だけでなく、文化的にも重要な動物(オオカミは神話や民話に描かれ、多くの日本人にとって神聖な動物である)としてオオカミの日本への再導入を提案してきた。201610月、JWAは私と他に二人の人物を招聘し5都市で「日米独オオカミフォーラム2016」を開いた。私は、オオカミと獲物の関係に関して発表し、オオカミは獲物動物を減らす傾向があることが科学的に明らかになったと説明した。この効果は特に、オオカミが狩猟の対象とされず、人間が有蹄類を狩猟する(たとえばシカやムース)、そしてクマが存在する場合に起きる。

 

私が聞いた日本の森林に関する発表によれば、また三つの島(本州、四国、九州)を旅し、シカとイノシシの増えすぎによりダメージを受けた山を訪ね、また破壊の驚くべき速さを見て、私は確信するようになった。オオカミが役に立つ。

(ミッチ博士による予備的な分析には、「長い年月が必要であっても、最終的にはオオカミ復活は獲物動物によるダメージを緩和することができるだろう」と述べられている)

 

時がたてば、オオカミ再導入は、おそらくある地域では獲物動物を減らす。しかし、違う地域では別の反応をするかもしれない。獲物動物の減少は、森林の復活とまったく同じに進むわけではない。ある場合には、オオカミ再導入で獲物動物が減るまでに被害が大きすぎて、森林はもはや元に戻らないかもしれない。

 

JWA1993年以来意識調査を実施してきた。JWAはオオカミ再導入に関しての懐疑論や反対論に直面している。たとえば、野生のイヌのほうが安全で、シカやイノシシの頭数を調整することさえ効果的にできると誤った考えを信じている人たちや、証拠がないにも関わらず日本にはまだオオカミが絶滅せずに残っていると考えている人たち、また外国からオオカミを連れて来ることは外来種あるいは侵略的外来種を導入することと同じだと論じる人たち、あるいはオオカミを怖れる人たち(主に最近の熊の襲撃事件また歴史上の狂犬病の流行による)からの懐疑、反対である。JWAの最初の意識調査では、12.5%の人が日本にオオカミが必要だと答え、44.8%の人は必要ないと答えた。42.7%はわからない、であった。2012年までに、賛成は40.4%に変化し、反対は13.9%、わからないが45.7%になった。JWAは現在次の意識調査を実施している。その教育広報活動は、オオカミ再導入を肯定する市民の意見が十分に高くなり、政府がオオカミを復活させる行動を起こし、森林を救うという希望に向かって続いている。

 

もしオオカミが日本に再導入されるとしたら、それはどこからやってくるのか?遺伝的にもっとも近い同種に関する議論はあるけれども、オオカミは中国かモンゴルが供給源になるかもしれない。

 

いずれにせよ、歴史的な写真の比較や定点観測から明らかなように、日本の森林は急速に悪化し、救いを求めてもがき苦しんでいる。

 

有名なアメリカの文章を引用することで日本の現在の状況を表現することができるだろう

 

「ちょうどシカの群れがオオカミからの死の恐怖を感じるように、山はシカからの死の恐怖を感じて生きている」(アルド・レオポルド 1949 砂の国の暦、山の身になって考える)

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