【メルマガ】日本ではなぜオオカミ復活理論が浸透しないのか?環境省も学会も理解できないのはなぜ?
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●2018年10月8日No.28
日本ではなぜオオカミ復活理論が浸透しないのか?環境省も学会も理解できないのはなぜ?~日米の過去の教育の違いに原因がある
2014年第186通常国会の衆議院環境委員会で、当時民主党の篠原孝議員と、日本維新の会百瀬智之議員が続けて日本のシカ被害の状況に触れ、「オオカミ再導入」について質しました。
○北川副大臣 ただいま委員のお話にある、オオカミを放せばどうかというお話であろうと思いますが、御承知のように、ニホンオオカミは一九〇五年の確認を最後に生息は確認をされておらず、絶滅をしたと考えられております。なお、オオカミはまた、今委員の方からもお話がありましたように、生態系の頂点をなす捕食者であるとも認識をいたしております。
しかし、オオカミを再び自然に導入することにつきましては、ニホンジカの個体数の減少に対する効果が定かでない上、人身被害の発生、先ほどイエローストーンのお話がありましたが、家畜等や愛玩動物への被害、感染症による他の動物への影響、狂犬病など、動物だけでなく人にも感染する感染症による人への重大な影響などの懸念があるということであります。こういう点もあり、現時点におきましては、オオカミの導入を検討する状況にないと我々は考えております
○トップダウンとボトムアップ
この回答の中には、オオカミという動物の生態系内でのポジションに関してこう表現されています。
・生態系の頂点をなす捕食者であると認識
・ニホンジカの個体数の減少に対する効果が定かでない
頂点捕食者であるけれども、ニホンジカの個体数はコントロールできないかもしれない(いやできないのだろう)と言っています。
この答弁から見えるのは、環境省には、「トップダウン効果の考えかたはない」ということです。
○栄養カスケード
現在話題になっているのが、キーストーンをもう一度はめこんでみたら大変なことが起こった、ということです。次々に下位の栄養段階の動物植物たちがよみがえって、生き生きとした生態系が戻ってきた、それはなぜかというテーマ、「栄養カスケード」が中心に議論されています。
イエローストンのオオカミ復活でおきた栄養カスケードは、初期には、オオカミが起こしたものだと言われ、次にはいやいやオオカミだけではない、気候の変動もあったりクマやクーガーも増えたからだ、という人も出てきました。
トップダウン=ボトムアップの議論から、キーストーン、そして栄養カスケードへと論争のテーマは変遷しています。
でも環境省はいまだにボトムアップ。
お役所は常にトップダウンで物事が決まると思っていましたが、そうでもないのかもしれません。次々にやってくる大臣、副大臣、政務官が一様にオオカミ反対に染め上げられていくのは、まさにボトムアップですね。
それはなぜなんだろう、という疑問を解いていきます。
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