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2020年8月23日 (日)

栃木県のシカ、カモシカ事情

8月初めに下野新聞に下記のような記事が掲載されました。
 
ニホンジカ生息域拡大で試行錯誤、有効策なく… 県北、県東地域

https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/342613?fbclid=IwAR01Bt0ozBkZYdAd3DVfSWSH6U6tjUUwigwCZmg2kgraAXvlgfPTFc3JxTw

栃木県はごくごくおおざっぱに言うと北西部に高標高の山岳地帯があり、南部は平地、北部は茨木福島に隣接した那須の高原地帯が広がっています。
この記事は、北西部の日光地域から拡大したであろうシカが県北の大田原市周辺に定着し、林業被害が既に発生しているという内容です。
ところで下野新聞は一年前には下記のような報道をしています。

県獣のニホンカモシカ生息域に変化 シカに縄張り追われる? 栃木県
2019/7/14
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/194735
 

記事はシカの生息域が拡大し、それに押されたカモシカが従来の生息地から追われて今まで確認されていない地域に移動している、と報じています。
専門家の話として、「生息域が拡大しているニホンジカの影響で分散した」とも書かれています。

Photo_20200823094001
 
ニホンジカとカモシカはどちらも草食の哺乳類で競合していますが、種の違いもあり、生活の仕方も異なっています。
ニホンジカは食性がカモシカよりもやや広く、ナワバリを必要とせず、群れがどんどん大きくなりますが、カモシカは食性をニホンジカと比較するとどちらかというと木の葉を食べることが多いようで、またナワバリの中でメスは母子で、オスは単独で生活しています。
体のサイズはカモシカのほうが小さいため、数の多い大きな群れの関係には無神経なニホンジカにナワバリに進入されると、カモシカは逃げださざるを得ません。
もう20年も前、足尾ではニホンジカにカモシカが追い出されて低所に移動し、結果として発信機を付けた個体すべてがカモシカが生息するためには悪条件の場所で死んでしまったという事象がありました。
20年以上前から日光ではニホンジカの増加が止まらず、カモシカを追い出しました。生態系被害と言えます。さらに広がっていきました。いまや県北の山地にも定着し、農業、林業に被害が懸念されています。
生態系被害と人間社会の被害、どちらもシカが『増えすぎ』ていること、が起こすものです。生態系のタガがはずれた、といってもいいでしょう。

生態系を元に戻しましょう。オオカミの再導入で。


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