日本オオカミ協会がミッチ博士を招聘し、6月にシンポジウムを開くことになった。
その詳細はもうすぐ公開されるが、その前に、ミッチ博士のことを紹介しておきたい。
デイビッド・ミッチ博士は、オオカミ研究の世界では、最も長く、最も深くオオカミを知る、第一人者として誰もが認めている。
http://www.davemech.com/index.html
このサイトは、まるごとミッチ博士のものだ。(名前の読み方をMeechと書いているが、本人に聞いたらミッチでオーケーと言っていたらしいので、ミッチとする)
現在も、米国地理学研究所上席研究員、国際自然保護連合(IUCN)オオカミ専門家会議議長、ミネソタ大学生物学科講師、インターナショナルウルフセンター理事である。
彼はオオカミと獲物動物との関係を50年以上もミネソタ州や世界中で研究してきた。一九七〇年の彼の本『オオカミ』、そしてイタリア人研究者ボイターニとの共著「Wolves: Behavior, Ecology, and Conservation 」
は、オオカミの生物学書の決定版だ。彼はアラスカ州のデナリ公園(アドルフ・ムーリーがマッキンリー山のオオカミを研究した)で、そしてカナダ北極圏のエルズミア島でも、オオカミの調査を始めた。彼はナショナルジオグラフィック協会のテレビの特集番組に登場し、名誉ある世界自然保護連合(IUCN)のオオカミ専門家会議の座長をつとめている。
日本オオカミ協会主催
第14回 オオカミ オープンセミナー
写真家大竹英洋氏 をお招きしオオカミのいる森の魅力を伺います。
「北米ノースウッズにオオカミを求めて」
日時:2014年12月14日(日)14時~17時
会場:雑司が谷地域文化創造館 第1会議室B
東京都豊島区雑司が谷3-1-7
千登世橋教育文化センター内
電話 03-3590-1253
参加費:1000円
申込・お問合せ:
日本オオカミ協会 朝倉まで:hag04231@nifty.com
「ぼくはいつか野生の息づく、豊かな自然のなかで暮らしたいと思っていました。そこにはどんな生き物がいて、日々どんなふうに暮らしているのか、とても知りたかったのです。しかもこの森には、日本ではすでに絶滅してしまった野生のオオカミがいると聞きました。ぼくは野生のオオカミが歩くすがたを、この目で見てみたいと思いました。」
福音館書店 たくさんのふしぎ傑作集「ノースウッズの森で」より
はたして大竹氏はオオカミに出会うことができたのでしょうか…
当日のお話をお楽しみに。
大竹英洋 (おおたけひでひろ)
1975年生まれ。写真家。一橋大学社会学部卒業。北アメリカ大陸北部に広がる湖水地方「ノースウッズ」をフィールドに、野生動物や人々の暮らしを撮影。人間と自然とのつながりを問う作品を制作し、雑誌、絵本、写真展などで発表している。ナショナルジオグラフィック日本版 Webナショジオで写真エッセイ「ノースウッズの森へ」連載中。
オオカミを復活させるというアイデアは、必ず「オオカミのリスク」をはっきりしろと迫られます。
ところが、今現に増え続けているシカの害(リスク)は、農業被害や森林の被害などのような、人の体、健康、命に直接かかわる影響が出ていないため、その深刻さがまだ感じられないかもしれません。
シカの被害は、数え上げれればキリがないというほど広く、様々な分野にまたがるようになってきました。
・農林業被害:山村の畑作だけでなく、木材用人工林、林産物(しいたけなど)、水田、果樹も食害が見られる
・森林被害:高山植物の消滅、天然林の樹皮剥ぎ
・森林被害に付随する被害:下層植生がなくなり、裸地化、土壌流出、土砂崩れ、河川への流入
・漁業への影響:川の濁り、土砂堆積による河川漁業への影響、沿岸漁業への影響
・交通事故、鉄道事故
等々、日本全国で見られるようになりました。
さらにアメリカでは、以下のような病気まで、シカに関わりがあるとされています。
「捕食者なき世界」 ウィリアム・ソウルゼンバーグ(文芸春秋)
第六章 バンビの復讐
最初に蔓延した町の名前(コネチカット州オールドライム)から名づけられたライム病は、1975年に初めて診断されて以来、コネチカット州から森林の多い東部全体に広がり、やがて五大湖地域から西海岸の森でも感染する人が出てきた。合衆国における患者数は年間1万五千人から二万人に上るが、実際はこの10倍が感染していると見る人もいる。合衆国で目だって急増している感染症の一つになっている。
ライム病は、梅毒疹に関係のあるスピロヘータ菌、ライム病ボレリアに感染すると発症し、治療を怠ると、ときには複視、神経痛、焼けるような皮膚の痛みが引き起こされる。慢性疲労症候群やリウマチ性関節炎、多発性硬化症に誤診されることもある。症状がはっきりしないので、誤診されたり、適切な治療がされないこともよくあった。末期には髄膜炎、顔面マヒ、一時的な幻覚、不安発作が起きる。長引くと車いす生活を送ることになったり、自殺を考えるほどの痛みに苦しめられたりする。このライム病が蔓延する場所には必ずシカがいる。
最初の流行から30年が経過した今、ライム病と社会の敵とのつながりに新たなひねりが加わった。かつては単純に、シカが多くなるとライム病が流行すると考えられていたが、そこにもうひとつの要素が加わったのだ。一頭のシカは数千匹ものクロアシダニの成虫を体に忍ばせており、そのダニは確かにライム病を媒介する。しかしボレリア菌をヒトの血流に流し込むのは、成虫ではなく、小さな幼虫のほうだとわかった。そして、その危険な幼虫は通常シマリスやシロアシネズミの血を吸ってボレリア菌を獲得する、どちらも広く森の地面近くに暮らすかわいい小動物である。
ニューヨーク州にある生態系研究所のリチャード・オストフェルドは、こう推測する―植民地時代以前は、シカもダニも現代よりもはるかに少なかった。20世紀半ば以降のどこかの時点で、シカの個体数が閾値を超え、それがきっかけとなってダニの数が異常にふくれあがった。ネズミがライム病の病原菌の宿主だとしても、アメリカから捕食動物が消え、その結果、シカが増えたことによって、病気を媒介するダニの大群がネズミの通り道に送り込まれ、ひいてはアメリカ人のズボンのすそに食らいつくようになったのだ。
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この文章にある例は、コネチカット州のものですが、ミネソタ州健康局(Minnesota Departmento of Health)のHPには、ダニ媒介疾病のハイリスク地域の地図が掲載されています。
ライム病パンフレット
http://www.health.state.mn.us/divs/idepc/diseases/lyme/lyme3fold.pdf
この地図にあるように、ライム病ハイリスクエリアは、シカの高密度地域です。
補償
オオカミにより家畜が殺された場合の補償は、ミネソタ農業局(MNDA)のプログラムにより支給される。オオカミの捕食被害と証明されれば、家畜の市場価値と同等の額が補償される。
被害補償は次のような条件が適用される。
1.家畜の所有者は捕食被害を、発見後24時間以内に報告する。そして証拠を保全する。
2.調査局は、その損失がハイイロオオカミによるものかどうかを決定する。そしてMNDAの委員会に報告する。
3.MNDA委員会は補償が必要とされる場合かどうかを決定する。
ミネソタ農業局オオカミ被害補償
被害申請(件) | 補償額 | |
2006 | 71 | 72,895ドル |
2007 | 82 | 81,683ドル |
2008 | 82 | 95,526ドル |
2009 | 87 | 88,366ドル |
2010 | 104 | 106,615ドル |
2011 | 128 | 102,230ドル |
2012 | 61 | 81,300ドル |
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合衆国農務省野生生物局による報告では、被害を受けやすいパターンが3つある。
①畜産農家がオオカミが高密度に生息している地域の中に、「島」のようにある(被害地の10~15%が該当)
②農地と森林が混在している(70~80%が該当)
③農地に取り巻かれてオオカミ生息地が「島」になっている(10~15%が該当)
オオカミ対策
被害を起こしたオオカミを駆除する以外にも、オオカミ被害の予防柵として、このようなことが推奨されている。(合衆国農務省野生生物局)
電気柵
ガーディングドッグ
フラドリー:(ヨーロッパではこう呼んでいる)
赤いひらひらが張り巡らされているだけで、オオカミは侵入をためらう。いわば結界。
ドンキー!(ロバ)
ロバはオオカミ対策には最強の家畜。ヨーロッパでも同じことが言われている。ロバはオオカミの気配を察知すると、雄たけびを上げて周囲の注意を喚起し、オオカミと見るやものすごい勢いで突進していく。
ドイツではリャマも推奨されている。ロバと同じように、オオカミも蹴飛ばして撃退する動物である。
「ミネソタオオカミ管理計画」関連文書は、当然家畜被害についても重要な項目として取り上げています。
ミネソタ自然資源局オオカミ短信:(2012年1月5日ミネソタ自然資源局HP)は、以下のように、正確な数字を挙げて説明しています。
・2006年以来、オオカミ被害報告は、年平均200件あり、うち約100件がオオカミによるものと認定された。
・80軒の農家から、被害報告が確認され、平均して170頭のオオカミが被害確定の対象として捕獲・駆除されている。
2011オオカミ被害管理データ(農務省)
被害申請受付合計 211
確認被害申請合計 109
家畜被害申請合計 88
確定率 51.7%
内確定被害農家 96
内確定被害飼育犬 9
わな猟 97
オオカミ捕獲 215
オオカミ捕殺 203
オオカミによる食害にあった地域を地図にプロットしたものがこの地図です。
では次には、ミネソタの畜産と日本を比較して、何が違うのかをしらなければなりません。
アメリカの畜産の基本は放牧です。カリフォルニア等ではフィードロットという集約的な飼育方法がありますが、全米にはどの程度普及しているのか、今のところ材料は入手できていません。下のような写真を見ると、ミネソタでは、放牧が中心でフィードロットはそれほど普及していないように見えます。(ミネソタの畜産について情報が十分ではありません)
・州全体で牛の飼育頭数 約40万頭
・オオカミ生息域での牛の飼育頭数 約16万5千頭
被害防除
また、「オオカミのテリトリー内に生きるミネソタの農家畜産家へのガイド」は
「いかにしてオオカミ被害を防ぐか」を以下のように書いています。
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ミネソタ大学は1999年初めにオオカミの家畜被害を防ぐ管理手法を決定する研究を行った。その研究では、オオカミの被害を防ぐ確実な手法は見つからなかった。オオカミ被害を防ぐ唯一の証明された手法は、農場から加害オオカミを除去することであった。しかし、農家、畜産家があるケースで助けになるいくつかの方法を報告していた。
それは、
・エサを十分にやって健康を保つこと。オオカミは概して弱くて簡単な獲物を選ぶ。健康は動物は捕食が難しい。足の不自由なあるいは病気の動物は可能なら安全な場所へ移動する。
・ガードアニマルを使う。常に効果的ではないが、ガーディングドッグの存在は防御になる。オオカミに対してガーディングドッグを使うときは、一頭の動物ではオオカミに殺されるかもしれないため、複数頭のイヌを使うことが重要である。巡回的に採食されるように羊を動かし、まとめることはガーディングドッグをより効果的にする。しかし、巡回採食は母羊と当歳仔の結束を中断するような子育ての期間は適当ではないことは憶えておく必要がある。
・移動、仔を生み、育てる活動は、農家の庭に近い。生まれたばかりの羊は簡単なエサである。ある農家は子育て期間中は農家の庭の近くに動かす、より頻繁な監視が可能だからである。
オオカミ被害の警告サイン
農家は、その土地に侵入したオオカミが示すいくつか共通のサインを報告している。
そのサインとは
・動物が放牧場に広がるのではなく、固まろうとする
・牛や羊の群れが混乱する
・羊が牧羊犬の存在にパニックになる
・農場にオオカミの侵入を示すサインが増える
・牛が外へ出ようと放牧場のフェンスにぶつかる音を立てる
・群れの性質に急な変化がある
このようなサインを見逃さず、家畜を安全なところに移動させるべきである。
歴史的には、ミネソタではオオカミは大型のひづめのある動物(有蹄類)を捕食した。オジロジカやエルクジカ、カリブー、ムース、バイソンである。
オオカミは生息地を限定される動物ではない。というのは、彼らは獲物が豊富ならどこでも生きられるからである。彼らは大型の有蹄類を捕食することができるし、他のいろいろな小動物たとえばウサギやビーバーで常食を補うことができる。
オオカミは有蹄類の中でももっとも頻繁に若い個体と老齢の個体を捕食する。彼らは経験がなかったり衰弱していたりするため、群れの中ではもっとも捕獲しやすいからである。
極端に深い雪や遅い冬のような普通でない環境下では、オオカミは食べることができるより多くの有蹄類を捕獲できるかもしれないが、通常は彼らの生命を維持するためだけに狩をする。
ミネソタDNRにはシカのデータもあります。
データがいくつもあって、読みきれていませんが、この地図は平方マイルあたりの狩猟頭数が示されています。
北部の狩猟地域には、どこでもhunting trailという狩猟用のルートが設定されているようですから、そこで獲れる頭数がほぼ生息密度と重なるかもしれません。
DNRの狩猟のページからとったものですから、狩猟をどの地域で楽しむかというガイドになっているものと思います。
ゾーンA:
ゾーンA(北部ミネソタ)では、家畜食害オオカミの捕殺は直接的な脅威、つまり家畜や飼育動物、ペットの直接証明された損害の場合に限られる。
家畜、飼育動物、ペットがこのゾーンに存在するため、家畜被害対応手順は必要である。しかし、その対応は直接的脅威と証明された状況に限られる。
このゾーンは、捕殺された家畜被害を起こすオオカミの増加の結果に関わりなく、ESA家畜被害管理と同様のオオカミ保護のレベルを定めたものである。
ゾーンAでは、もし家畜や飼育動物、ペットがオオカミによって被害を受け、その所有者がオオカミの管理(つまり駆除)を望めば、DNRは捕食者管理エリアを期間限定で広くするだろう。訓練されたコントローラーが、家畜所有者や他の土地所有者の許可を得て、対応を検討する。
コントローラーには捕殺されたオオカミ1頭につき150ドル支払われる。これはUSDA野生生物局の職員により行われるオオカミのコントロールと同じ規制と制限の下にある。
ゾーンAでは、DNRは調査に基づく捕獲を記録し、回収したオオカミの死体の没収、その死体(毛皮や骨等)の販売や教育目的の寄付、月間報告等を行う。家畜やガード動物を巻き込んだケースでは、DNRは捕食被害リスクを低減する方法をMNDAにより開発されたベストマネジメントプラクティス(BMP)に沿ってアドバイスする。
ゾーンB:
ゾーンBでは、捕食オオカミの捕殺は、家畜や飼育動物、ペットを守るために認められている。急迫した脅威や証明された損害の記録は必要ではない。しかし、オオカミの捕殺は、土地保有者、飼育動物の所有者により放牧され、管理されている動物に限られ、捕食者コントローラーと認められた州のサービスに従事するものに限られる。
このゾーンにはゾーンAと比べて家畜、飼育動物、ペットが格段に多いため、そしてミネソタのオオカミ復活頭数にとっては不可欠な地域ではないため、家畜被害予防の手順を定めることによって、州内でオオカミの長期の生存を脅かすことなしに、普通にオオカミが存在することに土地所有者が、より寛容であるように促すものである。
このような家畜被害対応の手順は、ESAによる管理と比べて、多くのオオカミの捕殺という結果を招くようであるが、ゾーンBからオオカミを排除するものではない。
ゾーンBに対して異なる制限を課す効果は、予防しやすいが、繰り返されやすいオオカミの捕食被害をコントロールすることである。
ゾーンBでは潜在的な加害オオカミは捕殺される可能性がある。公有地ではオオカミは保護され続けるが、私有地では駆除される。公有地、私有地がミネソタでは混在しているため、「ゾーン」は、過去もそうであったよう見直しが続けられる。
人間とオオカミの摩擦がないところでは、オオカミは放置される。人間との摩擦がある場所では、問題のオオカミは駆除される。加害オオカミを駆除することによって、ミネソタのオオカミ分布に変化はないと予想される。
加えて、ゾーンBでは、家畜や飼育動物、ペットを守るために、州に認定されたコントローラーを雇うことができる。ただし、こうした環境下で、オオカミを撃つか、わなにかけたことをできる限り速やかに、48時間以内に報告しなければならない。
急迫した脅威という条件はゾーンBには適用されない。家畜や飼育動物、ペット等を守るために、いつでもオオカミを撃つことができる。
オオカミと人間の関係はつまり、人間の土地利用とオオカミの生息域がどう重なるかという問題です。
ミネソタでは、北部が森林、湖水地方、中部南部は畑、牧場とはっきり区分が分かれているようです。しかもアメリカ国内でも有数の農業地帯です。1990年の土地利用の区分地図がありましたので、掲載します。
http://www.mngeo.state.mn.us/landuse/
人間との相互作用
オオカミはネイティブアメリカンの文化や精神世界では崇められていて、オオカミの頭数を制限したり景観自然のなかから根絶させるような努力が払われることはない。
初期のヨーロッパ人毛皮商人は、彼らの生計を脅かすとか価値の高い毛皮であるとかではなく、オオカミに無関心だった。
逆にヨーロッパ人入植者は決してオオカミを評価せず、彼らの故地では既に長いオオカミ迫害の歴史をもっていた。
ミネソタでは、オオカミへの賞金制度が1849年にスタートし、1965年まで続いた。入植者は、根拠のないオオカミへの恐れを持っていたつだけでなく、家畜を殺すことを知っていたし、野生の有蹄類に対しては人間(狩猟者)と競合していた。文化的にはヨーロッパ人入植者にとってはオオカミは無価値であり、根絶すべき種であるとみなされていた。
ミネソタにおいてはオオカミの保護や保全は1960年代前半まで容認されることはなかった。
市民の態度
一般の人の態度は、1960年代に「環境革命」で著しく変化をはじめた。1966年までに最初の連邦絶滅危惧種法が通過した。その後、オオカミに関する調査やオオカミ支持の教育がなされるなど保護の努力が実際に増加していった。
一部ではオオカミは依然として根絶すべき種であり続けたが、徐々に多くの人がオオカミや、ミネソタにおけるオオカミの長期の生存に関心を持つようになっていった。
市民の安全
オオカミが人々を襲撃したり傷害した記録はミネソタでは無い。
にも関わらず、多くの人が最近のカナダオンタリオ州やインドの人々へのオオカミの襲撃記録を引きあいに出して、ミネソタでESAによって完全保護されるようになって以来、人間の居住地周辺で大胆な行動をとるようになったオオカミを見て、人間の安全に対しての脅威に深刻な関心を持っている。
こうした安全への関心を考慮して、一般の市民がその人や家族の生命を守るためにオオカミを捕獲すること、(take a wolf in defense of human life) が認められている。人間の生命を守るためにオオカミを捕獲した人( A person who takes a wolf in defense of human life )は証拠をすべて保全しなければならない。そしてDNR 保護事務所に48時間以内に捕獲を報告しなければならない。
アメリカ合衆国のオオカミ復活計画(1992年)は、ミネソタ五大湖西部地域の一部に1251~1400頭のオオカミを回復したことを確認した。
ミネソタのオオカミ生息数情報
ミネソタDNRは、組織的なオオカミ調査を1978年以来、10年あるいは5年の間隔で行ってきた。
その結果、下の分布地図に示したように、1978年以来、オオカミの生息数と分布地域を広げてきている。
【赤】1978~79年調査結果
【緑】1988~89年調査結果
1990年代
1990年代を通じて、様々な観察や報告等はすべて、オオカミが分布を拡大し頭数を増やしていることを示していた。ミネソタ州自然資源局(DNR)は1994年にミネソタには2000~2200頭のオオカミが生息すると推定した。
1997~98年の冬の調査では、1988~89年の調査と同様の調査をさらに広げ、2450頭のオオカミがおおよそ33,970平方マイル(8万7000平方キロ?)の範囲に広がっていると推計した。
【目標頭数】 ミネソタオオカミ管理計画は(2001年)は、州全体の最低限の頭数目標を1600頭と確認している。頭数目標の上限は存在しない。また州全体でオオカミの生息に適した場所であればオオカミの生存は許容される。
2007~2008年
ミネソタ州で追跡されているオオカミパックの平均的なナワバリ面積(104km2×1.37=142km2)【0.37は緩衝地帯の面積】から推定すると、ミネソタには503のオオカミのパックがいる。2003~04年より4%、1997~98年よりも26%多い。平均的なパックの頭数(~4.9)をかけ、単独オオカミが15%いると推定して計算すると、オオカミの頭数は2921頭、100km2の占有面積に対して平均4.1頭ということになる。
1998、2004、2008年の調査に基づくオオカミ生息数に1998年調査以来の重大な変化はない。
20年間以上にわたり、オオカミ生息地域は増加したが、過去2回のオオカミ調査は、ミネソタの広域分布は1990年代半ば以降変化がなかったことを示す。
次の調査は2012~13年冬に行われる。