ヨーロッパのオオカミ保護政策:ベルン条約、エメラルド・ネットワーク、生息地指令、ナチュラ2000とオオカミ保護
ヨーロッパの野生動物保護政策の歴史をたどると、以下のような条約、指令が登場します。
1979年4月 欧州経済共同体(EEC) 鳥類指令採択
1979年5月 欧州評議会 ベルン条約
1989年 欧州評議会 エメラルド・ネットワーク
1992年 欧州連合 生息地指令
1992年 欧州連合 natura2000ネットワーク
始まりは1979年EECの鳥類指令と欧州評議会構成国によるベルン条約でした。
- 鳥類指令
当時の調査で現在のEU域内の鳥類種が減っていること、種によっては個体群レベルで減っていることが明らかになったことから鳥類指令が制定され、特別な保全措置の対象となる約200種を定めました。
当時はヨーロッパの大部分で狩猟期は8月から5月までの長期に及び、鳥が繁殖地に向かう途上で撃たれ、巣にいる時にでさえ撃たれていました。ツル、ノガン、サギ類やほとんどの小鳥が狩猟対象種であり、猛禽類はヨーロッパ大陸全土でごく普通に撃たれ、毒殺され、わなにかけられました。イギリスの大部分では猛禽類が居なくなり、野鳥を販売する大きな市場がベルギーの首都ブリュッセルで繁盛していました。現在「密猟」と呼んでいる行為のほとんどが合法だったのです。当時「害鳥」と考えられていた猛禽類や他の鳥を殺すことには報奨金が出され、国によって推奨され、実施されていました。この点、オオカミと同様です。
無差別に野鳥を虐殺していたことが世間の騒動を引き起こし、鳥類指令の採択に至ります。
- ベルン条約
ベルン条約の締結も同じ1979年です。
ベルン条約は、正式名称を「欧州野生生物及び自然生息地の保全に関する条約」といい、1979年に欧州評議会によって設立されました。
拘束力のある国際法であり、欧州とアフリカの一部の国の自然遺産を対象として、特に自然生息地と絶滅危惧種(渡り鳥を含む)の保護に力を注いでいます。
この条約は次の3つの主要な目的を掲げています。
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